子役で有名な女優の芦田愛菜さんが、”将来の夢は病理医”と、テレビ番組で話したことが病理医仲間のフェイスブックの中で話題になっている。
もちろん職場でも話題となり、ひとしきり盛り上がった。来週の病理学会でも話題になるだろう。
この話、認知度が低いことが悩みのタネの病理医にとってスターからいわば推薦状をとったようなもので、私自身とても大変嬉しい。
ドラマで知ったということを言っていたらしい。昨年放映された長瀬智也主演のフラジャイルだろうか?
それはさておき、そういうことで少しずつ認知度を上げていくしかない。このブログもその一助になれたらいいと思っている。
一般の臨床医はどんなマイナーな診療科であっても、宣伝をするので人の目に触れる。というか、自分の診療科を知ってもらうことがそもそも仕事の始まりなので、それが当たり前だ。だが、病理医はこれまでそのようなことはしないできた。
これは、一般病院における病理医と臨床各科との、主に人数の差による力関係もあったと思うが、長い間、標榜科として認められることもなくずっと日陰の存在だった。
それでも、最近やっと病院の看板に”病理診断科”を標榜できるようになり、少なくともその文字だけでも一般の人の目に触れるようになった。
そうすれば、”どんなことをやっているところだろう?”と思う人も増え、小説にもドラマにもなる。
中学生になったばかりの、芦田さんが初志貫徹、病理医になるまでには、まずは医学部に入り、国家試験に合格し、初期研修という病理を忘れてしまう臨床科を回る研修の後となるので、少なくとも病理学会でお会いできるのは15年後となる。
その頃に、芦田さんと一緒に仕事がしたいと思って、今から病理医になろうという人が増えてくれるといい。動機が不純であっても、まずは病理の仕事を知ってもらわないことには始まらないし、それで病理医になり、それが天職と思ってくれるようになればいうことはない。
最近、若い病理医が増えているが、まだまだ少ない。病理医と臨床検査技師だけでやっている病理は、看護師や医療事務員など多数の人がいる臨床現場と違って、極端に地味な職場なので人間関係など注意が必要だ。だから、一つの職場に最低でも3人は必要だと思っている。
早く、そうなって安定してほしいというのが本音だ。
人がいなければはじまらない
芦田愛菜、将来の夢は「病理医」に加藤浩次ら驚き (gooニュース 2017年4月19日)
慶応義塾中等部に入学した子役女優の芦田愛菜(12)が、将来の夢は「病理医」だと明かし、お笑い芸人の加藤浩次らを驚かせた。
芦田は19日放送の日本テレビ系「スッキリ!!」にVTR出演し、この春から始まった中学生活について語った。また、将来は「医学系の道に進みたい」という芦田だが、その中でも「病理医」になりたいと考えているという。「(病理医のことは)ドラマで知ったんですけど、ほかにも知らない職業がいっぱいあればいいなと思っています、今は」と語った。番組の説明によれば、病理医とは「人の細胞や組織を顕微鏡などで観察して病気の診断をする医師」だという。
ハリセンボンの近藤春菜は、「小さい頃も天才子役って言われてほんとに素晴らしい演技でいっぱい(ドラマ等に)出てたから、お勉強できてるのかなって勝手に心配してましたけど、ちゃんとやってるし、天才って言われてますけど、努力とご家族のサポートがすごいんだろうな」と感心した。
加藤は「病理医なんて言葉が出て来るなんて、具体的なんだよね。どんどん聡明な感じになっていきますね」と驚き、コメンテーターの宮崎哲弥氏も「医者になりたいって言うんだったらわかるけど、病理医っていうのが出てくるのがすごいですよね」と語った。