風のBLOG

東京演劇集団風の時事通信!
公演情報や稽古場速報、全国巡回公演の情報など
日々の出来事を速報!!

2013 『肝っ玉おっ母とその子供たち~あとから生まれてくる人たちに』ツアー 第七週

2013-06-30 20:59:18 | 全国巡回公演
今週も先週に引き続き、東北地域での公演でした。


6月26日 大船渡東高校(岩手県)

  27日 北上翔南高校( 〃 )

  28日 仙台三桜高校(宮城県)



大船渡東高校

体育館での上演でした。こちらは農業高校時代、工業高校時代の『星の王子さま』『Touch~孤独から愛へ』に続いて風は3度目です。

この公演をとても楽しみに待っていてくれたのが生徒のみなさんの入場時から伝わってきました。
そのワクワク感の中、開演。
芝居が進むつれて、そのワクワク感が出来事への関心に変わっていくプロセスがとても面白い印象を受けました。

ジメジメとした蒸し暑さ、しかし、そんな事はものともせずに向けられた視線にとても強いエネルギーを感じました。

カーテンコールでは、生徒会長の生徒さんが「卒業後、もしかしたら俳優や舞台に関わる人がいるかも知れません、その時はよろしくお願いします。」とあいさつを締めくくってくれました。
その時は、こちらこそよろしくお願いします!

終演後の撤去にはバレー部とバスケ部、そして、有志の生徒さんたちが元気よく手伝ってくれました。
本当にありがとうございました!
トップ画像と↓下の写真はその時の様子。この中には「中学一年生の時に『Touch』を観てホームページに書き込みました!」という高校三年生もいました。






 
↑撤去作業中、体育館裏に何と鹿が!凛とした美しさを漂わせながら、じっと佇む姿。
私たち人間に何を思うのか・・・ 


北上翔南高校

こちらは2004年の『星の王子さま』以来10年ぶりの再会、北上市文化交流センターさくらホールでの上演でした。

大きなホールで、生徒さんたちも700人以上というのは決して少ない人数ではありません。



しかし、そこにいる一人ひとり(私たちも含めて)が、それぞれの感覚とそれぞれの身体を持って、そこで起きている、または動いている何かに出会ったりぶつかったり出来る。

それは一瞬の出来事かも知れないが、でもそこにはきっと何かが生まれる、微かな衝撃或いは大きな衝撃を伴って。
そしてこの衝撃こそが演劇を通して人と人が繋がった証。
今、この公演を振り返ってみた時に思うことです。

生徒会長の女子生徒さんがカーテンコールでこんなことを話してくれました。
「劇の最初のほうで肝っ玉おっ母が言った“いい国には勇気なんていらない。誰も彼もふつうの人間でいいんだ。”という言葉が印象に残りました。今はふつうにいられて、大きな勇気もいりません。最後の詩を心に刻んでこれから生きていきたいと思います。」と。
きっと、彼女の中で一番大きな衝撃を受けた一言だったのだと思います。


仙台三桜高校

こちらも2004年(この時は仙台第三女子高校)の『星の王子さま』以来の再会でした。
そして今年は創立90年という歴史を誇る節目の年、共学になってからは4年が経つそうです。

以前もそうだったように、やはり午前中には舞台装置の中で合唱コンクールが開催されました。

そのころ私たちはと言うと、生徒さんたちのとても澄んだステキな歌声に包まれながら舞台裏や楽屋にて、衣装や小道具、照明機材などのメンテナンスをしていました。



時には客席にお邪魔したりしながら。



会場のみなさんが、クラス対抗にも関わらずそれぞれのチームに対して心からのエールと拍手を惜しみなく送っている姿がとても清々しく、心地のいい、素晴らしい空間でした。

そして午後、いよいよ私たちの出番。
開演するや否や午前中の疲れを全く感じさせない集中力を発揮して、細かいところまで受け取ったメリハリのある反応を見せてくれました。
さらにカーテンコールでは生徒さん全員がスタンディングオベーションで止まない拍手を目一杯送ってくれました。
誰かに言われたからではない生徒さんたちの自発的な行為。

人前で立ち上がるというのはとても勇気のいることです。
生徒さん一人ひとりが立とうと思わなければ出きることではありません。
私たちも敬意と感謝を込めて拍手を送りました。



終演後は演劇部がバックステージツアーを行いました。



演劇は、いえ、演劇に限らず芸術は時として人の人生を左右する力を持っていると思います。

私もその一人です。

今まで出会ってきた生徒さんたち、そしてこれから出会うであろう若い観客のみなさんにとって『肝っ玉おっ母とその子供たち~あとから生まれてくる人たちに』という作品が、人生を変えるほどではなくても“何か引っかかるもの”として心の片隅にでも残してもらえたらと思っています。

三十年戦争を生きた人たちに思いを馳せ、作者ブレヒトとその時代を生きた人たちに思いを馳せ、そして何よりもこの時代、共に生きる人々に思いを馳せつつ、肝っ玉たちの旅はまだまだ続きます!

文:イヴェット役 仲村 三千代