だいぶ遅くなりましたが、私が運営する学習塾用の資料として、令和2年度ガス主任技術者試験の振り返りをします。試験は2020年9月に行われ、合格発表は12月末、甲種の合格率は10%,不合格の方は早い方はもう受験勉強を始めいてると思います。そこで昨年試験の振り返りをします。ご参考になればと思います。
(1)学科法令
全体的には問題中盤のガス工作物が難題揃いで、前半のガス事業法、後半の消費機器で得点を稼げる出題であった。高得点は難しい、16問中10問正解を目指して学習されたい。
問1は、久しぶりにガス事業法の目的が出題され、準備していた受験者とそうでない者で点差が出たであろう。問3は昨年に続いて供給条件の説明が出題された。問3ガス事故速報、問4ガス主任技術者は比較的容易な出題。問5は使用前検査の例外事項を問う問題で、難易度は高かった。
問6~問12はガス工作物の出題。法改正などはないが、受験生の曖昧な記憶を引っ掛ける出題が続き、例年同様、正確な理解が求められた。
(2)基礎理論
15問中10問の選択が可能なため、全体としては、法令、ガス技術に比べて高得点が期待できる問題であった。
問1,2はモル分率と気体の状態方程式で解ける容易な問題。問7の一次反応、問10質量流量から流速を求める問題も、繰り返し出題されており、簡単な問題であった。
逆に難易度が高かったのは、問5断熱圧縮の近似式で解く問題と、問6平衡定数の計算問題、最近出題がなかった問題で、受験生にとっては、マークしずらかったと思われる。
(3)学科ガス技術
製造は、どの問題も難易度揃いで、業務に従事していないと高得点は難しかったと思われる。難しそうなら選択から外すという手段もある。
供給は、製造に比べていくらか手が出る問題が多かった。ただし問13難解な管厚計算式がいきなり出題されたのは驚いた。この式は事前に記憶しておくのは難しいだろう。
消費も製造・供給と同じく、細部に亘って正確な理解が求められる問題が多かった。
ガス技術は法令と同様、誤り又は正しい選択肢の数を問う形式であり、これは合格ライン60%を大幅に上回る理解をしないといけない。この科目は、得点で60%の合格ラインを目指したい。
(4)論述
法令は、例年と異なり、経済産業大臣の命令と供給条件の説明であった。前者は学科試験の学習で取れる問題であり、後者は令和元年度の学科試験を学習しておけば得点できた問題である。従って、今回も受験者の平均得点は高かったであろう。
また、ガス技術は、製造は地震対策で出題サイクルの一環で事前学習が可能であったであろう。
供給は他工事対策と出題サイクルの一環の出題で、テキスト学習でも十分得点できるが、日頃から自職場以外の業務にも関心を払っておきたい。
消費は、業務用厨房の問題であったが、最近は家庭用と業務用のCO中毒、着火等、そしてガス事業者の対策に集約されつつあり、過去問題の解答例で学習しておきたい。
論述は、学科の法令、ガス技術の難易度が増していることから、基礎理論とともに得点源としたいところである。法令は出題が絞られ、ガス技術は、3分野のうち2分野学習しておけば、リスク分散になり、高得点に繋がるであろう。