呉市かまがり天体観測館

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第3回「日本天文遺産」が決定!

2021-03-17 13:20:07 | 天文ニュース

天文・宇宙に関わる貴重な史料の保護などを目的に設けられた「日本天文遺産」
の第3回が決まりました。

認定されたのは、「仙台藩天文学器機」、「臨時緯度観測所眼視天頂儀及び
関連建築物」、「商船学校天体観測所」の3つです。

「仙台藩天文学器機」は18~19世紀に仙台藩にいた当時の天文学者が製作、
使用したもので、渾天儀と象限儀、2基の天球儀の合計4点です。機器その
ものももちろん貴重なのですが、当時の仙台藩と幕府、朝廷などとの関係性
をうかがい知ることができる史料としても重要なものです。ちなみに、渾天
儀は天体の位置を測定する観測機器、象限儀(四分儀)は天体の高度を測定
する観測機器、天球儀は地上から観測される天球をモデル化した球形の模型
のことです。

「臨時緯度観測所眼視天頂儀及び関連建築物」は緯度変化に関する国際共同
研究のため、1899年(明治 32年)に臨時緯度観測所(現・国立天文台水沢
VLBI 観測所)に設置されたもので、1927(昭和 2)年まで緯度測定に使用
され、測定された観測データは、初代所長であった木村榮のZ項(地球内部
の流体核の章動によるもの)の発見につながりました。また、眼視天頂儀を
収納していた眼視天頂儀室やその北にある南北方向の較正用の位置標準光源
が設置されていた目標台と覆屋も併せて認定されました。

「商船学校天体観測所」は1903(明治36)年に建設された貴重な明治期の
天文台建築です。赤道儀室(第一観測台)は現存する日本最古のドーム屋根
形状の天体観測室、また、子午儀室(第二観測台)は八角錐形の固定屋根で
子午線観測用に屋根と壁面にスリットが設けられており、それぞれ 航海天文
学の研究・教育に使用されていたようです。


日本各地には貴重な天文史料・史跡が数多く残されているにも関わらず、その
ほとんどは貴重なものだと誰にも気付かれずに朽ち果てようとしています。

よく分からない標や石積、柱、やたらと長い直線道路などなど、一見関係の
なさそうなものが凄い史料だったりします。

もしかすると、皆さんの家のそばにもひっそりと天文遺産が眠っているかも
しれません。

消えてしまう前に何とかしたいものですね。

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