「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

2019年8月のヘッジファンドを振り返る@鎌倉七里ガ浜

2019-09-03 09:56:08 | モノ・お金
8月のマーケットを振り返る。


【1.株式市場】
 
英国のEU離脱問題は8月も大変な状態で、毎日のように新しい動きがあった。

ジョンソン氏の人柄は魅力的らしいが、彼は首相としてはあまり賢明ではなさそうだ。

しかしグローバルなレベルでは、Brexit問題はたいしたインパクトを金融市場に与えなかった。

日韓の対立なんてさらに扱いは小さく、同じくグローバルな金融市場にとってはまったく問題ではなかった。

8月の世の中で重要だったのは、やはり米中貿易戦争。

軽薄な米国大統領が何か言うたびに金融市場は大きく変動した。

下のチャートは米国株式市場(S&P500インデックスのトータル・リターン)。



S&P社のHPからデータをダウンロードして、エクセルでグラフ化してみた。

8月の日次ベースのグラフだ。

青いバーが日々の変化率(右軸、%)。

グレーに塗ったのが7月末を100とした時のインデックスの時価(左軸)。

日々の変化が大きく、全体としては月次ベースで少しマイナス。

大きく下げる時は日次ベースでマイナス3%ほども下げた。



主としてトランプ氏の発言にあおられて、毎日のように上げ下げを繰り返した。

迷惑な話だ。

こういうのが、私が購入したマクロ戦略のヘッジファンドが、一般的には嫌う相場つきだ。

だって儲けにくいでしょ?

上げなら上げ、下げなら下げにしてもらいたい。毎日のように方向が変わるのって、運用者からすると結構大変ですよ。


【2.ヘッジファンド(1)】

最近のブルームバーグの記事によれば、ここ何年かはマクロ戦略のヘッジファンドの不振が続いていた。


【Bloomberg】

上のグラフでオレンジのバーがマクロ戦略ヘッジファンド、年率リターン。

グレーのバーはヘッジファンド全体のそれだ。そもそもヘッジファンド全体がしばらく不振だったのだ。

しかし今年に入り、マクロ戦略が復活した。

下のチャートは2016年12月末を100としたマクロ戦略ヘッジファンドのインデックスの推移。



もとのデータをユーレカヘッジのHPからダウンロードし、エクセルでグラフ化した。

昨年2018年の冴えない展開から一転、今年は非常に良い。

さらに、一部のヘッジファンドはぼろ儲けしていたらしい。


【3.金(ゴールド)】

じゃあ、こんな儲けにくい相場つきなのに、どうやって彼らは儲けたのか?

ひとつは金。

世の中が荒んでくると、やはり人は金に向かうらしい。


【Bloomberg】

上のグラフの右端を見てみよう。

金(黒い線)は直近では急上昇。

長期的にはまったくひどいですけどね。株式投資の方がはるかに良い。

2008年の金融危機のあと、普通に米国株式(青い線)を買っていただけで、だれもが大儲けできたのだ。

ちなみに赤い線が世界株式のインデックスである。

こうやって見ると、米国株式の長期的パフォーマンスって絶対的にも相対的にもかなり良かったってことが改めてよくわかる。

しかしとにかく、ここ最近に限ると、「金投資に賭けたファンドは大儲け」(CNBC ↓)。




【4.ヘッジファンド(2)】

金しか儲かるものはないのか?

そうではないよ。

不冴えなマクロ戦略のヘッジファンドの中にも、市場のこの日々のブレの大きさから大儲けしているものがいくつもあるらしい。

この通り(↓)、Bloombergも報じている。



Vandaなんてシンガポールのヘッジファンドは年初から(7月末までしか判明していないが)のパフォーマンスが+278%。



すごいよね。年初に100投資したら、7月末には378になってたってことだ。

これを例えるとですね・・・仮に年初に5,000万円で横浜市内東戸塚の新築マンションを買おうとした人が、それをキャンセルし、5,000万円全額をこのファンドに投資した。そうしたら7カ月後、わずか7カ月後ですよ、その5,000万円が1億9,000万円ほどに増えちゃった。だからその人は、8月には横浜山手の丘の上、外人墓地の近くに豪邸を買えちゃいました、みたいな。私の理想の生活だー。山手の高台の港の見える丘公園の近くに住んで、毎日ランチ時には坂を下りて中華街に行く(笑)。横浜の地理をご存じない方は、下の地図をご参照ください。指し示しているところが、中華街の中心と、港の見える丘公園です。




【5.債券市場】

8月の株式市場には一定のトレンドがなかったので、そこで儲けるのは難しかったかもしれない。

しかし債券市場なら稼げたはずだ。金に加えて、債券も比較的単純な動きだった。

実際私の購入したヘッジファンドは8月に約14%のリターンを稼いだが、それはもっぱら債券のポジションからだ。

株は大きくマイナス。理由は冒頭述べたとおりだろう。稼ぎにくいのである。

毎度のことながら、為替やコモディティはほとんどプラスマイナス・ゼロで、このファンドは金では稼いではいないようだ。



内訳はご覧の通り(↑)。

8月の稼ぎ頭となった債券市場を細かく見てみよう。

8月ってなかなかエキサイティングだった。

下の画像は米国の国債の利回りである。

オレンジの線が10年国債の利回り(1)で、左軸、%。

青い線が2年国債の利回り(2)で、左軸、%。

グレーに塗ったところが利回り差で、(1)-(2)、右軸、%。



もとになるデータは米国中央銀行のホームページからダウンロードした。

7月からこの2つの線のギャップはどんどん縮まり、8月についに逆転したのが見てとれるでしょう?

2つの差であるグレーに塗った部分がマイナスになったのだ。

こういうデータを見るのは楽しい。またヘッジファンドを購入した以上、見ざるを得ないし。

自分の購入したヘッジファンドが何で儲けて何で失敗しているかくらいはチェックしておかないと、エライ目にあう。

こうやっていろいろグラフ化すると直感的に理解できるようになる(というか、理解したような気分になっているだけかもしれないが)。

さてこの逆転は、将来(通常は1~2年後の)の景気悪化トレンド入りを暗示するサインだ。

米国の中央銀行はつい先日まで何年もの間、短期金利を引き上げ続けて来ていた(直前に少しだけ引き下げたが)ので、それにつられて短めの2年債の利回りは相対的に高止まった。

しかし市場はトランプ氏が引き起こす米中貿易摩擦を主たる原因として将来の景気悪化を見込んでいるので、長期債の10年債利回りはより大きく低下した。



軽薄なトランプ氏は、彼よりはるかに知的で上品で控え目なパウエル氏(上画像の右手、米国中央銀行FRBの議長)を何度も無能呼ばわりし、この長短金利逆転を「パウエル氏のせいだ」と言って憚らない。

パウエル氏やその前任者が短期金利を上昇させて来たのは事実だが、多くの市場関係者はそれを概ね適切なことだったと考えている。

一方、長期金利の低下の原因の多くはトランプ氏がわざわざ作ったと言っても過言ではない。

したがって長短金利逆転という現象をパウエル氏のせいにするトランプ氏はあまりに厚かましく、嫌なことの責任を人に押し付けているとしか思えない。

会社組織でもよくある話だ。いいことは自分の成果、悪いことは他人のせい。私がパウエル氏ならとっくに辞任しているだろう。

話が逸れちゃった。

ところで債券(通常の固定利付債)って、利回りと価格は逆方向に変化する(わかりますか?)。



したがって8月のような状況(↑のグラフで、青とオレンジの線がどんどん近接して行く状況)、つまり10年債利回りが大きく低下し、2年債利回りが相対的に高止まりするような場合は、10年等の長期の国債を購入し、同時に2年等の短期の国債を売却していたら、相当儲かっていたはずなのだ。

トランプ氏は貿易摩擦を引き起こしたが、先述のように、それは株式市場からリターンを得ることを難しくし、一方で期せずして債券市場からリターンを得る機会を提供したのである。

金利関連で8月にあった意外なことのもうひとつは、ニュージーランドの政策金利の引き下げだ。

前々回の投稿で書いたように、地球温暖化へのインパクトとしては、自動車の排気ガスよりも牛のゲップやおならのCO2あるいはメタンガス排出の方が影響が深刻と悩むような田舎で何があったのか?



下のグラフはOCR(ニュージーランドの政策金利、Official Cash Rate)の推移である。

ニュージーランドの中央銀行のホームページからどなたでもダウンロードできる統計だ。

OCRを上げ下げすることで、ニュージーランドの中央銀行は金融の調節を行っている。



そのOCRは8月になって、いきなり0.5%引き下げされ、1%という水準に定められた。

史上最低水準なのだが、この0.5%という引き下げ幅が市場にとってサプライズだったようだ。

私の投資しているヘッジファンドは、このニュージーランドの短期金利引き下げに賭けていたようで、これで結構儲けたとか。

驚いたな。このファンド、ニュージーランド市場まで見ていたのか・・・。


【6.日本も一部はすごいらしい】

ところで、我が国の株式市場は?

終値ベースでは昨年10月1日が直近のピークだ。

それ以来11カ月経ったが、まったく冴えない。



画像は日経平均(225インデックス)、日次ベースのデータをグラフ化したもの。

なんとも冴えない動きだ。見ていても元気が出ない。

長期的に見ると、安倍さんが首相になると決まってからしばらくは、四半世紀ぶりくらいの力強さで上げ続けたが、その後はもうずっと同じようなところを行き来している。

しかし日本株のヘッジファンドのいくつかは、こんな状況でもちゃんとかなりのリターンを稼ぎ出しているらしい。

すごいねぇ。近いうちに調べてみようと思う。
コメント (22)
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