ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

春日大社新発見と若宮十五社巡拝(3)

2015-06-30 13:19:15 | 奈良散歩

いよいよご本殿へ。今回は金田さんのご縁で特別に今井禰宜さんにご案内頂いて、赤い回廊で囲まれたご本殿の南門を潜ります。
特別参拝受付で記念品を頂いた後、正面にある拝殿と思いがちな建物の前で、「天皇陛下のお供え物をいったん収める幣殿と宮中に伝わる神楽が行われる舞殿」との説明を受けました。

今井禰宜さんのお話しはユーモアを交えて、われわれ素人にも興味深く、すんなり頭に入る分かり易いものでした。この後も、私たちの今後の予定時間を気使いながらも「どうしても長くなる」と笑いながら、それぞれの見どころを詳しく説明してくださいました。

砂摺りの藤の前から直会殿角を北へ曲がり、御手洗川から導かれた水で穢れを落として林檎の庭へ入りました。

ここで今回の式年造替について、「伊勢神宮の遷宮との違い」や「国宝ご本殿特別公開は20年後にまた行われるかも知れないが」「ご本殿の磐座が公開されるのは史上初であり、宮司の大英断とはいえ実に驚いた」などとお話を聞いていると、居合わせた観光客たちも興味深く拝聴していました。

東南隅にリンゴの木がある林檎の庭は、式典の時に舞楽などが行われる処です。(余談ですが息子の結婚式で記念写真を撮った想い出があります)。対角の北西隅には樹齢千年の大杉が聳え、根本から生えたイブキが直会殿の屋根を突き破っています。

その横の石段を登ると御本殿正面の中門を右に見て、左の移殿(内侍殿)に入ります。移殿と本殿の御廊を結ぶ捻廊(ねじろう)は左甚五郎作と言われる斜めの階段です。

移殿(内侍殿)は御造替の時、本社と若宮から神様をお迎えするところで、また神前に仕える内侍が控えていた建物です。ここで神前に参拝して西側に出ます。

境内にいくつもある磐座の前で本殿の屋根を仰ぎ、勾配が優美なことや「軒を貸して母屋を取られる」の軒は庇(ひさし)ではなくて屋根の下で外壁から出ている部分なので、内部はかなり広い場所になることをお聞きしました。

明治維新以来140年ぶりに開門された後殿御門を入ると写真撮影は禁止。後殿(うしろどの)北側には様々な災難を防いで下さる神社が四社(佐軍、杉本、海本、栗柄神社)並んでおられます。

更に東の八雷神社を拝んで、四殿並んだ本殿の背面になる南側に回ると、第一殿下に初公開された磐座が鎮まっておられます。その姿は後ほど水谷神社で見て頂きます。

御門を出てご本殿正面に回り、「二位橋」を渡って中門を潜り、その奥の赤い鳥居(御内鳥居・おんうちとりい)の下にある「一位橋」(雲井橋)を渡って御本殿の四柱の神々の鎮まるお社(春日四社明神)に参拝しました。お社の間の白壁に描かれた神鹿や唐獅子などの美しい絵も、二度と見ることはできないと、しっかり心に留めました。

林檎の庭上部に帰り影向門を出ると、正面が御蓋山浮雲峰です。
鹿島のタケミカヅチノミコトが白い鹿の背に乗って天下られた神聖な山…「既にこの場所の標高がかなりあるので低い山に見えるが…」と禰宜さんが仰いました。ここは禁足地で普段は入れないのですが、今回は遥拝所で参拝することが出来ました。

遥拝所のある回廊の北東隅は回廊のうちで唯一、板葺の築地塀になっています。詳しくは写真の説明板に譲ります。

東から南側へ回廊を巡り、いったん桜門を潜り、南門を出たところで禰宜さんにお礼を言ってお別れしました。
これから若宮十五社巡りに向かいます。