ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

カンカン照りの大台ケ原(2013.08.20)

2013-08-21 16:32:12 | 山日記

今年の暑さは記録的で、もう何日も連続して最高気温は35℃を超えている。この暑さからしばらくでも逃れようと、お盆の間は道路の混雑を予想して敬遠していた大台ケ原へ向かう。今日の空も真っ青に晴れ上がり、朝から強い陽射しが照り付けている。朝の道は予想通り空いていて明日香、大淀、吉野と順調に南へ走る。大滝を過ぎると殆ど車の姿を見かけなくなった。

伯母峰峠からドライブウェイに入ると、右手に大普賢岳から弥山に続く大峰北部の山々がくっきりとスカイラインを見せる。雨の心配はまず無さそうだ。


エアコンを止めて窓を開け、涼しい山の空気を楽しみながら山上駐車場に8時40分着。車の数はまばらで駐車スペースたっぷりなので、ビジターセンターに近いところに車を置く。しかし外に出ると予想したより暑く、慌ててトイレと身支度をすませて出発する。当初、♀ペンの意見で「帰りの登りが辛いのでシオカラ谷から回ろう」と思っていたが、やはりいつも通り展望の良い朝のうちに日出ヶ岳へ登っておくことにした。


8時55分、センター横から周回路に入る。「最近、クマが目撃されたという情報が数軒あった」という8月の掲示が付け加えられている。少し先の「大台ヶ原の動物」の掲示ではクマの他、カモシカ、シカ、アナグマ、サル、テン、モモンガ、ヤマネなど多くの動物がいるが、シカ以外には出会ったことがない。し・か・も・この日はシカも見かけなかった。長年、大台ヶ原へきているが一頭のシカにも出会わなかったのは始めてだ。あまりの暑さに谷の水にでも浸かっているのだろう。


しばらく林の中の平坦な道を行く。雨の多い時はいくつか渡る流れも涸れて、森の生物たちの「命の水」も今日は細々とした流れだった。この辺りにいつも咲いているトリカブトの色も思いなしか冴えない感じがする。

 

それでも時々、右手のシオカラ谷側からひんやりした冷たい風が吹き上げられてきて、ここからようやく始まる遊歩道の登りを慰めてくれる。昔と違って整備された道は味気なくなったが楽になって、簡単に稜線の鞍部に出る。熊野灘の見える展望三叉路の展望台には親子連れの姿があった。声をかけて追い抜いて行った女性の後を追うように、休まずに頂上へ向かう。


ここの木の階段も年数を経て、かなり周囲の自然に溶け込んできた。歩き易くはなったが急登で、はや汗びっしょりになった。


9時35分、日出ヶ岳頂上。去年、イタ友(イタリア・ツァーで知り合った仲間たち)と8人で登った時の展望は今一つだったが、今日は周囲360度遮るものがない。


展望台に登ると微かに御岳や中央アルプスの姿まで見えた。遠く霞んでいるのは、まさか富士山ではないだろう。ひょっとすると仙丈ヶ岳?もちろん懐かしい奥駆道の通る大峰の山々は、ずっと南の熊野の海に落ちるまで見えていた。


展望台下の休憩所で水分を補給して、親子連れが登ってきたのを汐に滞在15分で頂上を後にする。鞍部にあたる三叉路を過ぎて林を抜けると、正木辻(昔は正木嶺と呼んでいたところ)まで長い木の階段道が続く。


登りの途中で単独行の男性に追い抜かれたが、この人とはこの後も何度か出会った。私たちは歩くのは遅いが休まないので、先に行っては追い抜かれる格好になる。


ちょうど10時に正木辻の最高点に着いた。振り返ると、紅葉の進んだドウダンツツジを前景にして日出ヶ岳が見送っていた。行く手には正木ヶ原の緑の笹原が見える。


ここから正木ヶ原への下りは素晴らしい白骨林の中で、大峰山脈をバックにした眺めをゆっくり堪能したいところだが、何分にも今日は暑すぎる。10時になって気温はますます上昇したようだ。<続く>