日本共産党の志位和夫委員長は、7月15日の党創立98周年記念講演で、「コロナ危機を克服してどういう日本をつくるかー7つの提案」を行い、その一つとして、『教育分野』について次ぎのように述べました。
「第3は、一人ひとりの学びを保障する社会をつくるということです。コロナ危機のもと、『40人学級』の矛盾が噴き出しました。子どもたちに学び、心のケア、安全を保障するうえで、20人程度の少人数学級の実現は急務となっています。学校の教員とスタッフを抜本的に増やし、長期の休校でつらい思いをさせた子どもたちに少人数学級をプレゼントしようではありませんか」
「コロナ危機による学生生活の危機は深刻であり、学費半減に踏み切ることを強く求めます。教育への対GDP比公的支出は、日本は2.2%、OECD35カ国中、最下位であります。これを平均の4.0%まで引き上げれば、教員を大幅に増やし、学費を半分にすることは、十分に実行できます」
「しんぶん赤旗」27日付に、教育研究者有志が始めた「政府に少人数を求める署名」の呼びかけ人の一人である東京大学教授の本田由紀さんの発言が掲載されました。 以下、本田由紀教授の発言の一部を紹介させていただきます。
「私は日本社会と教育の問題点を『垂直的序列化』と『水平的画一化』という言葉で表現しています。この二つは今世紀に入って強化されています。垂直的序列化は『学力』、近年はそれに加えて『人間力』などさまざまな『能力』が高いか低いかで人を選別、格付けするものです」
「水平的画一化は、特定のふるまいや考え方を押し付けるもので、『教化』という形をとります。戦前は教育勅語体制がそれでした。今世紀に入ってからは教育基本法が改定され、教育目標、教育内容、教育方法のすべてを通じて学校での『教化』が推進されています。それは道徳の教科化や子どもたちのふるまいを細かく規定する『スタンダード』、ブラック校則などに端的に表われています」
~ 中略 ~
「日本の子どもたちは学ぶことの楽しさを知らず、自信が持てない。テスト・成績への不安が強い。そして社会問題解決への意識も低いことなどが、いろいろな調査で明らかになっています。過剰な垂直的序列化と水平的画一化によって子どもたちは本来持っている活力を奪われているのです」
~ 中略 ~
「学校教育において垂直的序列化や水平的画一化を強める原因になっているのが、1学級当たりの児童生徒数が多いということです。学級の子ども数が多いと、きめ細かく目を配ることができません。学習内容が理解できなくてもそのまま置いて行かれ、序列の下位に位置付けられてしまう」
「また、大勢の子どもにたいして何とか秩序をつくろうとすると、個々の子どもたちの自由な発想や意見に対応することができなくなり、画一的に従わせる指導になります」
「日本の教育に足りないのは水平的多様化です。さまざまな異なる人びとのありようを肯定し、承認し、伸ばしていく。そうした考えをもっと教育現場に持ち込んでいくことが必要です。コロナで格差が拡大したいまは、それが強く求めらていいます」
「水平的多様化を拡充するためには、1学級の児童生徒数を減らし、すべての子どもをていねいに見てあげられるようにすることです。個人を尊重し、協力することを大切にしていく必要があります。校則などは最小限にすべきだし、子どもの意見と議論を尊重すべきです」
本田由紀教授の発言の全文を是非、「しんぶん赤旗」でお読みいただきたいと思います。