「読売」紙が7月31日付で、次ぎのような平和意識調査結果を掲載しました。以下、紹介させていただきます。
「広島大と長崎大の学生を対象にインターネットで実施した平和意識調査では、57%が核兵器を『完全になくすべき』、26%が『減らすべき』と答え、8割超が核兵器廃絶・削減を望んだ」
「一方で、核が抑止力になるかを聞いたところ、『なる』(41%)が『ならない』(29%)を上回った。多くが核廃絶を望みながらも、不安定な国際情勢を現実的にとらえている姿が浮き彫りになった」
「核が再び使われる可能性については、『使われる』(12%)と『高い』(52%)を合わせた6割超が懸念しており、同じ設問に対する被爆者の約4割を上回った」
「被爆証言については、79%が『聞きたい』と回答。長崎大の女子学生(18)は『被爆者からの実体験を聞ける最後の世代として、原爆の恐ろしさを伝えていきたい』とし、教員志望の広島大の女子学生(18)は『平和教育でしっかりと戦争の事実を伝えていく』と誓う」
「朝日」紙5日付「社説」は、「原爆投下から75年 上」「核抑止依存から脱する時だ」を掲載しました。お読みになっている方も多いかと思いますが、私が、感じたところを紹介させていただきたいと思います。
「核による人類滅亡までの残り時間を見積もり、針が動く、今年1月、過去最悪となる『残り100秒』まできてしまった。(米国の専門誌『原子力科学者会報』が広島・長崎原爆の2年後から発表の『終末時計』)」
【抑止論にもとづく安全保障の概念を根源から問い直すとき】
「いまこそ、抑止論にもとづく安全保障の概念を根源から問い直すときだ」「人間の命を脅かす多種多様なリスクを総合的に捉え、持続可能な資源配分を考える。国家主体でなく、生身の人々の暮らしと命に着目する『人間の安全保障』への転換が求められる」
「気候変動対策や医療支援などを進め、地球規模で均衡のとれた安定的発展を図る。そのために多国間で協調する枠組みこそが世界の安全に欠かせない。その点で、核保有国の考え方は逆行している」
「コロナ禍で世界最悪の被害を出している米国は、核軍備支出で世界のほぼ半分を占める。核廃絶キャンペーン組織『ICAN』によると、その支出を感染対策に向ければ、集中治療室30万床、人工呼吸器3万5千台、医師7万5千人と看護師15万人が確保できるという」
【核兵器禁止条約が年内の発効もありえる段階にー被爆者の我が身をあかしに長年の訴えが】
「『核兵器は非人道的であり、二度と使わせてはならない。その唯一の道は、国際法で違法な存在と位置づけることだ』。3年前に採択された核兵器禁止条約には、そんな認識がある。批准国は着実に増え、年内の発効もありえる段階まで来た。広島・長崎の被爆者が我が身をあかしに長年訴えてきたことが国際的に定着し、違法化にまで至ろうとしている」
「だが日本政府は日米安保条約で米国の核による拡大抑止、いわゆる『核の傘』の下にいることを理由に、条約に背を向けている。狭い安全保障観にとらわれ、真の国際潮流から目を背ける態度というほかない」
「日本は核保有国と非保有国との橋渡し役を自任している。ならばなおさら、核禁条約への加盟を視野に関与すべきだ。加えて、核保有国に先制不使用の宣言や、多国間の核軍縮交渉を促す。そうした努力こそが戦争被爆国としての責務である」