10/8産経新聞が伝えておりました。
-風力発電 洋上で研究加速 高効率化、コスト低減カギ-
東京電力福島第1原発事故を受け、政府が2030年代の原発ゼロを掲げる中で、多彩な再生可能エネルギーの研究が進められている。その中で「ずば抜けた潜在能力」(環境省)が期待されているのが、海上の風で電気を起こす「洋上風力発電」だ。世界で再生可能エネルギーの主流となっている風力発電は、平地が少ない日本では導入が遅れているが、四方を囲む広大な海を利用すれば悪条件を克服できる可能性がある。(伊藤壽一郎)
■広大な海は適地
「洋上で風力発電を目指すのは、日本の陸上では適地を見つけにくいのが最大の理由」。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の伊藤正治主任研究員はこう話す。
風力発電を事業として行うには、秒速6メートル以上の風が1年を通じて吹く場所が必要だ。地形に起伏があると風が乱れて安定しないため、広く平坦(へいたん)なことも条件となる。巨大な風車が回転する際の騒音問題があるため、住宅地は適さないが、一方で維持管理の作業員が行きやすい場所でなくてはならない。
「海は広大で無人の“平坦地”で、安定した強風を得やすい風力発電にうってつけの場所。発想を変えれば、日本は風力発電の適地に囲まれていた」と伊藤さんは話す。
NEDOは千葉県銚子市の南方沖約3キロで、洋上風力発電の実証実験を行う計画を進めている。風車は水深12メートルの海底に支柱を立てて固定する「着床式」というタイプで、10月中に完成する予定だ。
現時点の試算では、発電コストは陸上と比べて最大2倍以上と高い。支柱を固定するため海底を掘削したり、支えを作る工事で建設費がかかるためという。沿岸に近いため維持管理が容易という利点もあるが、建設可能なのは水深50メートル程度までで、条件に合う場所は日本では少ない。
■台風でも被害なし
着床式の課題を解決するのが「浮体式」だ。まるで釣りの浮きのように、プカプカと浮く筒状の「浮体」の先端に風車を取り付けたもので、流されないよう海底にいかりのようなワイヤを下ろすが、掘削や支持の工事は不要。この方式は環境省が今年8月、長崎県五島市の椛島(かばしま)の沖合約1キロ、水深約100メートルの海域で実証実験を開始した。
洋上風力発電の大規模な実証実験は、2つの方式とも日本では初めて。陸上とは異なる環境で巨大な風車がきちんと動作するか、台風の高波にもまれても強度は大丈夫かなどを確認することが共通の目的だ。
浮体式は実験開始直後の8月末、過去最大級の勢力に発達した台風15号の洗礼を受け、高さ約8メートルの波にもまれた。環境省によると「100年に一度のレベルの台風だったが、被害はまったくなかった。問題なく発電を続けている」(地球温暖化対策課)という。
■風車の大型化も
両プロジェクトは今後、風車の強度だけでなく漁業や環境への影響も検証し、数年後の事業化を目指すが、普及にはコスト低減が避けて通れない。そのため風車の大型化に向けた研究も進んでいる。
陸上の風車は現在、騒音などの影響を考慮して出力2千~3千キロワット級(風車の直径100メートル前後)が最大級。だが洋上では制限がないため、NEDOは出力1万キロワット級(同165メートル超)の「超大型風車」の開発に取り組んでいる。大型化しても建設費は大きく変わらないため、出力アップで発電コストの低減が期待できる。
ただ、日本の原発の総出力を1万キロワット級の風力発電で置き換えたとしても、昨年1月時点の単純計算で約5千基もの超大型風車が必要になる。
東京電力福島第1原発事故を受け、政府が2030年代の原発ゼロを掲げる中で、多彩な再生可能エネルギーの研究が進められている。その中で「ずば抜けた潜在能力」(環境省)が期待されているのが、海上の風で電気を起こす「洋上風力発電」だ。世界で再生可能エネルギーの主流となっている風力発電は、平地が少ない日本では導入が遅れているが、四方を囲む広大な海を利用すれば悪条件を克服できる可能性がある。(伊藤壽一郎)
■広大な海は適地
「洋上で風力発電を目指すのは、日本の陸上では適地を見つけにくいのが最大の理由」。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の伊藤正治主任研究員はこう話す。
風力発電を事業として行うには、秒速6メートル以上の風が1年を通じて吹く場所が必要だ。地形に起伏があると風が乱れて安定しないため、広く平坦(へいたん)なことも条件となる。巨大な風車が回転する際の騒音問題があるため、住宅地は適さないが、一方で維持管理の作業員が行きやすい場所でなくてはならない。
「海は広大で無人の“平坦地”で、安定した強風を得やすい風力発電にうってつけの場所。発想を変えれば、日本は風力発電の適地に囲まれていた」と伊藤さんは話す。
NEDOは千葉県銚子市の南方沖約3キロで、洋上風力発電の実証実験を行う計画を進めている。風車は水深12メートルの海底に支柱を立てて固定する「着床式」というタイプで、10月中に完成する予定だ。
現時点の試算では、発電コストは陸上と比べて最大2倍以上と高い。支柱を固定するため海底を掘削したり、支えを作る工事で建設費がかかるためという。沿岸に近いため維持管理が容易という利点もあるが、建設可能なのは水深50メートル程度までで、条件に合う場所は日本では少ない。
■台風でも被害なし
着床式の課題を解決するのが「浮体式」だ。まるで釣りの浮きのように、プカプカと浮く筒状の「浮体」の先端に風車を取り付けたもので、流されないよう海底にいかりのようなワイヤを下ろすが、掘削や支持の工事は不要。この方式は環境省が今年8月、長崎県五島市の椛島(かばしま)の沖合約1キロ、水深約100メートルの海域で実証実験を開始した。
洋上風力発電の大規模な実証実験は、2つの方式とも日本では初めて。陸上とは異なる環境で巨大な風車がきちんと動作するか、台風の高波にもまれても強度は大丈夫かなどを確認することが共通の目的だ。
浮体式は実験開始直後の8月末、過去最大級の勢力に発達した台風15号の洗礼を受け、高さ約8メートルの波にもまれた。環境省によると「100年に一度のレベルの台風だったが、被害はまったくなかった。問題なく発電を続けている」(地球温暖化対策課)という。
■風車の大型化も
両プロジェクトは今後、風車の強度だけでなく漁業や環境への影響も検証し、数年後の事業化を目指すが、普及にはコスト低減が避けて通れない。そのため風車の大型化に向けた研究も進んでいる。
陸上の風車は現在、騒音などの影響を考慮して出力2千~3千キロワット級(風車の直径100メートル前後)が最大級。だが洋上では制限がないため、NEDOは出力1万キロワット級(同165メートル超)の「超大型風車」の開発に取り組んでいる。大型化しても建設費は大きく変わらないため、出力アップで発電コストの低減が期待できる。
ただ、日本の原発の総出力を1万キロワット級の風力発電で置き換えたとしても、昨年1月時点の単純計算で約5千基もの超大型風車が必要になる。
一方、風車自体の発電効率アップを目指しているのが、九州大応用力学研究所の大屋裕二教授が開発した「風レンズ風車」だ。
風車の周囲に特殊な形状の輪をつけたもので、輪が風を集めるレンズのような役割を果たして風速が上がり、出力が通常の風車の2~3倍にアップするという。
現在、福岡県の博多湾で浮体を使って実証実験中。将来は風車と太陽光発電パネルを備えた浮体を多数組み合わせ、「魚の養殖いけすも設けた複合発電ファームに発展させたい」と大屋教授は話している。
-引用終わり-
津軽海峡はどうでしょう。海流発電の基礎調査は県で始めていますが、洋上風力の声が聞こえてきません。
環境省のポテンシャルマップでも、NEDOの風況図でも全国有数の強風を示しています。
津軽海峡に大型風レンズ風車でも並んでいれば、国際海峡を通るロシア、中国、韓国の船も日本の再生エネにまい進する姿を脅威と感じることでしょう。
問題は漁業組合の反対ですが、事業に漁業組合自身が参画できるビジネスモデルを構築できれば、解決の糸口になるのではないでしょうか。例えばファンドを立ち上げてSPCに入れるようにすれば良いでしょう。
日本の自然条件に適合した再生エネであり、かつ技術も活かし、雇用も確保できる優良な事業になると思いますよ。
-風力発電 洋上で研究加速 高効率化、コスト低減カギ-
東京電力福島第1原発事故を受け、政府が2030年代の原発ゼロを掲げる中で、多彩な再生可能エネルギーの研究が進められている。その中で「ずば抜けた潜在能力」(環境省)が期待されているのが、海上の風で電気を起こす「洋上風力発電」だ。世界で再生可能エネルギーの主流となっている風力発電は、平地が少ない日本では導入が遅れているが、四方を囲む広大な海を利用すれば悪条件を克服できる可能性がある。(伊藤壽一郎)
■広大な海は適地
「洋上で風力発電を目指すのは、日本の陸上では適地を見つけにくいのが最大の理由」。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の伊藤正治主任研究員はこう話す。
風力発電を事業として行うには、秒速6メートル以上の風が1年を通じて吹く場所が必要だ。地形に起伏があると風が乱れて安定しないため、広く平坦(へいたん)なことも条件となる。巨大な風車が回転する際の騒音問題があるため、住宅地は適さないが、一方で維持管理の作業員が行きやすい場所でなくてはならない。
「海は広大で無人の“平坦地”で、安定した強風を得やすい風力発電にうってつけの場所。発想を変えれば、日本は風力発電の適地に囲まれていた」と伊藤さんは話す。
NEDOは千葉県銚子市の南方沖約3キロで、洋上風力発電の実証実験を行う計画を進めている。風車は水深12メートルの海底に支柱を立てて固定する「着床式」というタイプで、10月中に完成する予定だ。
現時点の試算では、発電コストは陸上と比べて最大2倍以上と高い。支柱を固定するため海底を掘削したり、支えを作る工事で建設費がかかるためという。沿岸に近いため維持管理が容易という利点もあるが、建設可能なのは水深50メートル程度までで、条件に合う場所は日本では少ない。
■台風でも被害なし
着床式の課題を解決するのが「浮体式」だ。まるで釣りの浮きのように、プカプカと浮く筒状の「浮体」の先端に風車を取り付けたもので、流されないよう海底にいかりのようなワイヤを下ろすが、掘削や支持の工事は不要。この方式は環境省が今年8月、長崎県五島市の椛島(かばしま)の沖合約1キロ、水深約100メートルの海域で実証実験を開始した。
洋上風力発電の大規模な実証実験は、2つの方式とも日本では初めて。陸上とは異なる環境で巨大な風車がきちんと動作するか、台風の高波にもまれても強度は大丈夫かなどを確認することが共通の目的だ。
浮体式は実験開始直後の8月末、過去最大級の勢力に発達した台風15号の洗礼を受け、高さ約8メートルの波にもまれた。環境省によると「100年に一度のレベルの台風だったが、被害はまったくなかった。問題なく発電を続けている」(地球温暖化対策課)という。
■風車の大型化も
両プロジェクトは今後、風車の強度だけでなく漁業や環境への影響も検証し、数年後の事業化を目指すが、普及にはコスト低減が避けて通れない。そのため風車の大型化に向けた研究も進んでいる。
陸上の風車は現在、騒音などの影響を考慮して出力2千~3千キロワット級(風車の直径100メートル前後)が最大級。だが洋上では制限がないため、NEDOは出力1万キロワット級(同165メートル超)の「超大型風車」の開発に取り組んでいる。大型化しても建設費は大きく変わらないため、出力アップで発電コストの低減が期待できる。
ただ、日本の原発の総出力を1万キロワット級の風力発電で置き換えたとしても、昨年1月時点の単純計算で約5千基もの超大型風車が必要になる。
東京電力福島第1原発事故を受け、政府が2030年代の原発ゼロを掲げる中で、多彩な再生可能エネルギーの研究が進められている。その中で「ずば抜けた潜在能力」(環境省)が期待されているのが、海上の風で電気を起こす「洋上風力発電」だ。世界で再生可能エネルギーの主流となっている風力発電は、平地が少ない日本では導入が遅れているが、四方を囲む広大な海を利用すれば悪条件を克服できる可能性がある。(伊藤壽一郎)
■広大な海は適地
「洋上で風力発電を目指すのは、日本の陸上では適地を見つけにくいのが最大の理由」。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の伊藤正治主任研究員はこう話す。
風力発電を事業として行うには、秒速6メートル以上の風が1年を通じて吹く場所が必要だ。地形に起伏があると風が乱れて安定しないため、広く平坦(へいたん)なことも条件となる。巨大な風車が回転する際の騒音問題があるため、住宅地は適さないが、一方で維持管理の作業員が行きやすい場所でなくてはならない。
「海は広大で無人の“平坦地”で、安定した強風を得やすい風力発電にうってつけの場所。発想を変えれば、日本は風力発電の適地に囲まれていた」と伊藤さんは話す。
NEDOは千葉県銚子市の南方沖約3キロで、洋上風力発電の実証実験を行う計画を進めている。風車は水深12メートルの海底に支柱を立てて固定する「着床式」というタイプで、10月中に完成する予定だ。
現時点の試算では、発電コストは陸上と比べて最大2倍以上と高い。支柱を固定するため海底を掘削したり、支えを作る工事で建設費がかかるためという。沿岸に近いため維持管理が容易という利点もあるが、建設可能なのは水深50メートル程度までで、条件に合う場所は日本では少ない。
■台風でも被害なし
着床式の課題を解決するのが「浮体式」だ。まるで釣りの浮きのように、プカプカと浮く筒状の「浮体」の先端に風車を取り付けたもので、流されないよう海底にいかりのようなワイヤを下ろすが、掘削や支持の工事は不要。この方式は環境省が今年8月、長崎県五島市の椛島(かばしま)の沖合約1キロ、水深約100メートルの海域で実証実験を開始した。
洋上風力発電の大規模な実証実験は、2つの方式とも日本では初めて。陸上とは異なる環境で巨大な風車がきちんと動作するか、台風の高波にもまれても強度は大丈夫かなどを確認することが共通の目的だ。
浮体式は実験開始直後の8月末、過去最大級の勢力に発達した台風15号の洗礼を受け、高さ約8メートルの波にもまれた。環境省によると「100年に一度のレベルの台風だったが、被害はまったくなかった。問題なく発電を続けている」(地球温暖化対策課)という。
■風車の大型化も
両プロジェクトは今後、風車の強度だけでなく漁業や環境への影響も検証し、数年後の事業化を目指すが、普及にはコスト低減が避けて通れない。そのため風車の大型化に向けた研究も進んでいる。
陸上の風車は現在、騒音などの影響を考慮して出力2千~3千キロワット級(風車の直径100メートル前後)が最大級。だが洋上では制限がないため、NEDOは出力1万キロワット級(同165メートル超)の「超大型風車」の開発に取り組んでいる。大型化しても建設費は大きく変わらないため、出力アップで発電コストの低減が期待できる。
ただ、日本の原発の総出力を1万キロワット級の風力発電で置き換えたとしても、昨年1月時点の単純計算で約5千基もの超大型風車が必要になる。
一方、風車自体の発電効率アップを目指しているのが、九州大応用力学研究所の大屋裕二教授が開発した「風レンズ風車」だ。
風車の周囲に特殊な形状の輪をつけたもので、輪が風を集めるレンズのような役割を果たして風速が上がり、出力が通常の風車の2~3倍にアップするという。
現在、福岡県の博多湾で浮体を使って実証実験中。将来は風車と太陽光発電パネルを備えた浮体を多数組み合わせ、「魚の養殖いけすも設けた複合発電ファームに発展させたい」と大屋教授は話している。
-引用終わり-
津軽海峡はどうでしょう。海流発電の基礎調査は県で始めていますが、洋上風力の声が聞こえてきません。
環境省のポテンシャルマップでも、NEDOの風況図でも全国有数の強風を示しています。
津軽海峡に大型風レンズ風車でも並んでいれば、国際海峡を通るロシア、中国、韓国の船も日本の再生エネにまい進する姿を脅威と感じることでしょう。
問題は漁業組合の反対ですが、事業に漁業組合自身が参画できるビジネスモデルを構築できれば、解決の糸口になるのではないでしょうか。例えばファンドを立ち上げてSPCに入れるようにすれば良いでしょう。
日本の自然条件に適合した再生エネであり、かつ技術も活かし、雇用も確保できる優良な事業になると思いますよ。