折句ラッシュ・クリスマス

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、縦読み
クジラうえリクエストした水族館マダイが歌うスローバラード、クリスマス

天空の正座(IFの未来)

2021-01-09 16:09:00 | ナノノベル
 情報は突然私を呑み込んで、虚無へと突き落とそうとするようだ。私は不安の中を歩いている。「手を読む」ということは、ただ直線的に先を読むということではない。種々の可能性について枝を広げながら、時に疑い深く、内なる声に耳を傾け、道を歩いて行くことだ。
 どれだけ行っても、見えているのは私の周りのほんの一部のような気がする。いくら読んでも、私は私自身を見ることができない。対局というルールの中では、私は外の世界から遮断されている。

 頭の上には鳩がとまっているかもしれない。毛先をいたずらに引っ張りながら妖精が踊っているかもしれない。探偵が背後からマークしているかもしれない。後ろにゾンビの行列ができているかもしれない。肩に銀杏の葉がずっと載っているかもしれない。背中にオワコンと書いた貼り紙がくっついているかもしれない。窓の向こうは雨かもしれない。不安を駆けるIF。

IF、IF、IF、IF、IF、IF、IF、IF、IF、IF……
(IFの向こうに何を見つけられる?)

 仮定の話から逃げていては、未来を読むことはできない。

 色々と読みを掘り下げていると少し疲れてしまった。
 もしも椅子だったなら……。
 直線的に集中して読む時には前傾姿勢。
 今のような時には、背中を後ろに預けてしまえるのだが。天を仰ぎ、大局を俯瞰し、目を瞑り、頭の中に絵を描くことができる。
 私はまだ正座を崩さなかった。
 正座のまま不安の中に独り浮いていた。

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記録するサル

2021-01-09 10:35:00 | 幻日記
 ライオンが歩いてきた。ライオンが歩いてくるとはこのことだ。狐に毛が生えていた。狐に毛が生えるとはこのことだ。まさにこのことよの。のーサルよ。サルよ、おるかー。虫が飛んで日が暮れてきた。虫が飛んで日が暮れるとはこのことよ。まさにこのことよのー、サルよ。サルよ書いておけ。

 もうすぐ雨が降りそうだ。雲行きが妖しいとはこのことよ。俺たちは横断歩道を渡る。横断歩道を歩いて渡るとはこのことよ。疑うまでもないことよの。のー、サルよ。まるで見たままのことよ。疑ってかかるのは愚か者よ。
 まったくよのー。
 そこも誰かが歩いて渡ったところだろう。俺たちはたどったところをなぞっているだけかもしれん。のー、サルよ。面白いのー。みんな書かねばならんぞ。

 ライオンが我が物顔で歩いておる。我が物顔で歩くライオンとはこのことよ。のー、サルよ。税が上がり雨が降り雷さえも鳴り響く。そんな時にライオンは我が物顔で街を歩く。流石のライオンとはこのことよ。のー、サルよ。流石にここは漏らさず書かねばならんのー。忙しいのー。
 サルは誠に忙しいのー。

 なんだなんだ、背中に羽が生えてきた。背中に羽が生えるとはこのことよ。のー、サルよ。
 サルよ、おるかー。
 ちゃんと書いておけ。

 俺たちの記憶はデタラメよのー。
 だから記録して残すべきよの。

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