折句ラッシュ・クリスマス

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、縦読み
クジラうえリクエストした水族館マダイが歌うスローバラード、クリスマス

【短歌】先生の仮定世界

2021-01-21 18:06:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
明らかな死を携えて踏み出した
ライブ僕らは一行の歌
(折句「アジフライ」短歌)


看板に小説ありと偽って招いた夜の政府会見

定番と話題の向こう埋もれても輝いている君の小説

答えなどみえなくていい投げかけて小説はただ仮定に終わる

リモートで原稿を書く先生の現実はある架空の国だ

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冬のバンズ・コーヒー

2021-01-21 01:14:00 | 幻日記
 カウンターに着き注文をする。
 店員の顔が強ばっているように見えた。
「申し訳ございません。ただいまホットコーヒー単品での提供はマシーンが壊れているためご注文いただけません」
「あー、そうなんですね」
 店員の顔に笑顔はなかった。きっと笑うところではないのだろう。
 冬はどうしても温かいものが飲みたくなる。そのためだけに出かけたくなることもある。温かさを感じてこその冬だとも思う。いつも簡単に手に入るからといって、それを当たり前のように思ってはならない。理屈ではわかってはいても、失うまでは気づかない私は愚かな人間だ。

「……セットで。お飲物は?」
「ホットコーヒーで」
「かしこまりました」
 隣のカウンターから、かしこまった声が聞こえた。

?   ?   ?   ? ホットコーヒー……

「もしかして、マシーン直りました?」
「セットですと大丈夫なんですが、単品の場合はマシーンが……」
 やはり、そう簡単に直るわけないか。
 一瞬浮かんだ希望はすぐに泡になった。
「もしかして、バンズから抽出されるんですか?」
「そうなんです」
「へー。そうなんですね」
「はい」
 店員は両手を合わせ待ちの姿勢を保っていた。

「美味しいんでしょうね」
「セットにされますか」
 私の欲しいのはコーヒーだけだった。

「直るまで待ってもいいですか」
「いつになるか約束できません」
 彼女の言う通りだった。
 きっと、待ってはならない冬もあるのだ。
 私は笑いながらカウンターを離れた。 

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