じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

貫井徳郎「乱反射」

2023-06-03 10:44:37 | Weblog

★ 高校の中間テストも終わって、束の間の平穏。貫井徳郎さんの「乱反射」(朝日文庫)を読み終えた。

★ 街路樹が倒れ、母親とベビーカーに乗っていた2歳の子どもが下敷きになった。母親にケガはなかったが、子どもは頭から血を流していた。

★ すぐに駆け付けた救急車は子どもを病院に搬送しようとしたが、最も近い病院からは受け入れを拒否され、次の病院へは渋滞に巻き込まれた。どうやら車庫入れがうまくできず、道路の真ん中に車を乗り捨てた人がいたらしい。

★ ようやく病院にたどりついたものの、子どもは亡くなった。

★ 子どもはなぜ死ななければならなかったのか。なぜたいした風でもないのに街路樹は倒れたのか。両親は真相を追い求める。そこで見えてきたのは、「些細な自分勝手」の乱反射だった。

★ バタフライ・エフェクトという言葉があるが、いくつもの小さな無責任が連鎖し、悲惨な事態を招いてしまった。誰もが当事者意識をもっていない。非を追及されると、謝罪はおろかみんな一様に開き直って怒り狂う。彼らにとってみれば「言いがかり」に過ぎないのだ。

★ 法や司法制度には限界がある。しかし、不運で終わらせるにはあまりに悲惨だ。

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