じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

篠田節子「夏の災厄」読了

2020-02-05 17:53:09 | Weblog
★ 篠田節子さんの「夏の災厄」(角川文庫)を読み終えた。590パージ、なかなか手ごたえのある作品だった。

★ 東京から50キロ離れた地方都市。田園都市とも新興都市ともいえる人口8万人余りのその街で、突然「新型脳炎」が集団発生した。患者から日本脳炎ウィルスが検出されたので、「日本脳炎」として処理されたが、その発生頻度と言い、劇症化と言い、従来の日本脳炎とは異なっていた。いつしか発生した窪山地区の名にちなみ「窪山脳炎」とも呼ばれるようになった。

★ 突然の未曽有のアウトブレイクが起こった時、行政はどう動くのか。マニュアルはあってもそれは想定される事態への対応だ。想定外の事態が起こった時、行政は機能を停止し、思考も停止する。

★ 役所は責任をたらい回し、首都圏に被害が及ばなければ政府の動きも鈍い。本腰を入れ出した時には既に相当の被害がでている。

★ ところで、なぜ窪山地区で集団発生が始まったのか。左翼偏向、変人と見られている医師・鵜川と小心者の地方公務員・小西、肝っ玉母さんのような看護師の堂元房代が謎に迫る。そこにはありえない事実があった。バイオハザードの事実が。

★ 金融界では起こりえないことが起こって壊滅的な被害を与えることを「ブラック・スワン」というそうだ。杞の国のある男の憂いをバカにできない時代になってきたようだ。
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ドラマ「テセウスの船」

2020-02-05 00:06:10 | Weblog
★ 録りだめしてあった「テセウスの船」、第1話から第3話までを観た。

★ 元号が昭和から平成へと変わった年。改元早々に起こった北国の小学生大量殺人事件。犯人とされたのはその小さな村の警察官だった。警察官の家族は殺人者の家族としてマスメディアや世間の批判にさらされながら隠れいるように生きてきた。

★ それから30年。時代は令和へ。自らも父となった警察官の息子は、憎むべき父親は無実で、ほかに真犯人がいるのではないかと、遠ざかっていた故郷を訪れる。そこでタイムスリップ。事件直前のその村に。

★ タイムスリップと言えば高視聴率を得た「仁」を思い出す。「テセウスの船」は今のところ「仁」ほどのインパクトはないが、竹内涼真さんの熱演(他のキャストも豪華だ)に後押しされて、面白い作品に仕上がっている。果たして真犯人は誰か、興味深い。

★ それにしても「テセウスの船」というのは魅力的なタイトルだ。人もまた「テセウスの船」だ。昨日の自分と今日の自分、そして明日の自分と果たして同じ「自分」なのだろうか。

★ タイムトラベルは必ず時のパラドクスに直面する。過去に戻り、自分が誕生する前の自らの母を殺害すれば、どうなるのか。そもそも自分は生まれないから、殺害も不可能だ。パラレルワールドを想定すれば可能なのか。

★ 屁理屈はさておき、これからのドラマを楽しみたい。

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