見もの・読みもの日記

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仏像好きを惹きつける/大津南部の仏像(大津歴博)他

2019-10-23 22:53:17 | 行ったもの(美術館・見仏)

大津市歴史博物館 第79回企画展『大津南部の仏像-旧栗太郡の神仏-』(2019年10月12日~11月24日)

 大津市南部、膳所・石山を含む旧志賀郡と、瀬田川の東側、草津市、栗東市、守山市の一部を含む旧栗太郡(くりたぐん)に残る仏像・仏画等、展示替えを含め約40件を紹介する。ずいぶん狭い地域限定なので、そんなに見るべき文化財があるのかと思ったら、見どころ十分だった。さすが近江である。

 同館の仏像展は、仏像好きのためにあると言って過言ではない。展示品には必ず写真を添えて、「頂上面」「条」など矢印付きで部分の名前を示すほか、「このしわの形が江戸時代初期に多い」「少し耳たぶが外に開くのは9~10世紀頃」など注目ポイントを教えてくれている。裏に回れない展示ケースの仏像には、必ず背面の写真を添えてあるのもよかった。そのおかげで、建部神社の袖で口元を隠した女神像(平安時代)の背面が大きく彫り込まれており、左右の腕(袖)の部分を連結した寄木造であることがよく分かった。

 瀬田・若松神社の獅子・狛犬(大津最古、11世紀)は、直立する丸太そのもののような重量感あり。これ、ぬいぐるみにしたら抱き心地がよさそうだなと不謹慎なことを考えていた。顔のいかつい四天王立像(大石中・若王寺)、小顔で表情のおだやかな四天王立像(田上・安楽寺)など、古い時代の天王像は懐かしくてよい。

 整った美しさで出色なのは、黒津・正法寺の帝釈天立像(平安時代)。調べたら、一時期は琵琶湖文化館が所蔵していたようで、私は『つながる美・引き継ぐ心-琵琶湖文化館の足跡と新たな美術館』という展覧会でも見ている。まだ落ち着き先が決まらないのが悲しいなあ。大津京町・九品寺の聖観音立像は参考出陳で、撮影可だった。これも美麗で驚いた。

■大津市歴史博物館 第80回企画展『大津絵-ヨーロッパの視点から-』(2019年10月12日~11月24日)

 この秋は企画展示室を2つに分け、同時に2つの展覧会が行われている。本展は、今年4月24日から6月15日まで、パリ日本文化会館において開催された、ヨーロッパ初となる大規模な大津絵展「OTSU-E:Peintures populaires du Japon」を一部再現したもの。パリ展そのまま(たぶん)のバナーやキャプションに日本語訳を付加して会場をつくっている。作品は、なぜか日本民藝館で見たことがあるものを多く見つけた。ギメ東洋美術館附属デヌリー美術館所蔵の鬼念仏立像コレクションは完全にいまのフィギュアで面白かった。

 このあと、三井寺の特別ご開帳に寄ろうと思っていたのだが、雨が強くなってきたのに音を上げ、京都駅に戻る。まだ1ヵ所くらい回れそうだったので、龍谷ミュージアムに向かう。

龍谷ミュージアム 秋季特別展『日本の素朴絵-ゆるい、かわいい、たのしい美術-』(2019年年9月21日11月17日)

 この夏、三井記念美術館で開催されていた展覧会の巡回展である。東京で2回か3回見ているのに「展示内容が少し違う」と聞いて、また来てしまった。京都会場のほうがファミリー向けの雰囲気で、展示ケースも整然と並んでいないし、床に投影するアニメーションや、ちょうちんのようなバナー、クイズなど、カジュアルな演出が楽しめた。東京展では、やや唐突に感じた円空仏や木喰仏、兵庫・満願寺の薬師如来坐像は、この空間にはぴたりと収まっていた。

 たぶん京都展だけの出陳と思われるのは埴輪の力士像。とにかく巨大でびっくりした。『仏鬼軍絵巻』(京都・十念寺)もなかった気がする。これは、むかし京博で見たことがあって懐かしかった。滋賀・宝蔵院の『地蔵十王六道絵巻』は、東京では2幅か3幅しか出ていなかったが、京都では6幅並んでいて圧倒された。実は21幅あるそうで、いつかまとめて見たい。キャラクター人気投票では、まさかの南天棒『雲水托鉢図』が圧倒的首位だった。

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