見もの・読みもの日記

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洞戸の地蔵菩薩立像(東京長浜観音堂)を見る

2022-11-24 22:15:33 | 行ったもの(美術館・見仏)

東京長浜観音堂 『地蔵菩薩立像(鞘仏/胎内仏)(長浜市高月町洞戸自治会蔵)』(2022年11月1日~11月30日)

 何も考えずに立ち寄ったので、ケースの中のお姿を見て、おや、今期は地蔵菩薩像だったか!と新鮮に感じた。この施設は、湖北の観音文化の発信を目的とし、「東京長浜観音堂」を名乗っているくらいなので、観音像のご開帳が圧倒的に多い。日本橋に移った2021年7月以降の公開は、これまですべて観音様だった。

 大きいほうの地蔵菩薩(鞘仏)は江戸時代の作。卵型の整った頭部。肩幅が広く肉厚で、黒光りする木肌と相まって、堂々とした威厳を感じる。

 背後にまわると背中が刳り貫かれ、蓋板が嵌められているのが、はっきり分かる。この中に収められている(いた?)のが、展示では隣に置かれている胎内仏の地蔵菩薩。室町時代の作。素朴な一木造で、専門仏師ではなく、当地の民衆が刻んだものと見られている。鞘仏と並んでいると、親子みたいでかわいい。

 洞戸地蔵堂は高月町の北部ということだが、初めて知った。かつて戦乱の中、地蔵菩薩を助けようとした老人が、自らの腹を割いて像を収め、焼失から守ったという(えぐい)伝説があるという。まあ鞘仏が先にあって生まれた伝説かなあと思ったが、真偽は分からない。しかし、特に彫刻的な価値があるとも思われない、たどたどしい造形の地蔵菩薩が、今日まで大切に守られてきたのは尊いと思った。

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