見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

中華ドラマ『射雕英雄伝』(2017年版)、看完了

2017-05-18 21:49:09 | 見たもの(Webサイト・TV)
〇『射雕英雄伝』全52集(2017年、浙江華策影視)

 今年1月から本国の東方衛視で放送が始まった『射雕英雄伝』(2017年版)、YouTubeに流れてくる動画を追いかけて視聴し、最終回まで完走した。うん、面白かった!

 私は2003年の李亜鵬版が大好きなのだが、さすがに記憶は不確かである。2008年の胡歌版は、昨年、GYAO!ストアで日本語字幕版を見たばかりなのでよく記憶しているが、いろいろ気に入らなかった。2017年版の総合評価は、2008年版をはるかに凌駕し、2003年版より優れた点も目についた。まず、武侠アクションをいかにカッコよく撮るかという技術は、ものすごく進歩していると思う。虚空を走ったり、重いものを持ち上げたりする特殊能力の表現だけでなく、髪をなびかせ、木の葉を巻き上げ、ストップモーションを挿入するなどの小技も。たぶん日本のマンガやアニメーションの影響も受けているのだろう。ロケに力を入れて、美しい自然風景をたくさん見せてくれたのも嬉しかった。

 主役の郭靖(楊旭文)は、現代風の髪型なのがちょっと気に入らなかったが、ほとんど取柄のない阿呆の子から、少しずつ成長していく様子に好感が持てた。終盤は漢人らしい髪型になるのだが、前半の少年っぽい造型のほうが好きだ。黄蓉(李一桐)は拗ねても怒っても、いつも靖哥哥への素直な愛情があふれていて憎めなかった。そして意外と芸達者だったなあ。途中で男装するシーンも可愛かった。

 2017年版は、主役がこの二人であることが明確で、分かりやすいドラマだったと思う。楊康(陳星旭)と穆念慈(孟子義)とか、楊康と完顔洪烈の父子関係、欧陽克(劉智揚)と欧陽鋒の秘められた父子関係など、脇の人物関係も面白いのだが、これらにかかわりすぎると物語が散漫になる(2008年版の感想)。まあ、そもそも楊康と欧陽克のキャラがかぶっていたのは残念で、どちらももう少し印象に残る魅力が欲しかった。穆念慈は美人なのだがメイクが濃くて、薄幸なヤンキーのお姉さんっぽいなあと思って見ていた。

 天下五絶の配役は大満足。東邪・黄薬師(苗僑偉)は、こわもてなのに時々性格のよさが顔を出す黄薬師で可愛かった。香港の俳優さんなのね。北丐・洪七公(趙立新)は、お茶目で父性愛と包容力が感じられてよかった。出番は少ないのに、王重陽(韓棟)がインパクトのある美形だったのも見どころ。あと老頑童・周伯通(寧文彤)は、原作からしてむちゃくちゃなキャラクターだけど、この役に説得力がないとドラマが成り立たない重要な役である。寧文彤さん、さすがベテランで悪くなかった。梅超風(米露)は2003年版の印象が強すぎて難しい役だが、頑張っていたと思う。メイクで妖しい雰囲気を出していたけど、写真を検索したら、ふつうの美人さんだった。

 序盤と終盤のモンゴル編をしっかり描いてくれたのも嬉しかった。配役もよかったが、テムジン(鄭斌輝)はシンガポールの俳優さん、ジュベ(傅天驕)は漢族の俳優さんで、主要な役にモンゴル族を使っていないのだな、今回は。バージョンによってモンゴル族の髪型や服装が微妙に違うのも興味深く、モンゴル式の住居がすごく巨大に描かれていて苦笑した。

 なお、はじめはYouTubeを使っていたのだが、途中から中国の動画配信サイト「愛奇藝」というのがあることを知って、こちらに切り替えた。このサイト、最新作から2000年頃の懐かしいドラマまで無料で見ることができ、当分楽しめそうである。いい時代になったものだ。でも、やっぱり『射雕英雄伝』と言えば、主題歌は2003年版を何度でも聞き返したくなるのも不思議。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする