見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

江戸幕府の奥絵師/池上本門寺

2005-06-15 22:17:13 | 行ったもの(美術館・見仏)
○池上本門寺霊宝館 特別展示『狩野常信・周信・養信の遺品』

http://www.honmonji.or.jp/

 池上本門寺には、江戸幕府に仕えた狩野派(奥絵師四家)の墓所があるのだそうだ。その縁で、本門寺に伝えられた狩野派の作品を展示しているというので行ってみた。

 行ってみてびっくり。確かに狩野派の作品が展示されていることに嘘はないのだが、それとともに、墓所の移転改葬調査の際に掘り出した、さまざまな副葬品が展示されている。作品と画家の遺品(たとえば絵筆でも日用品でも)を並べて眺める経験というのは、無いではない。しかし、地中からよみがえった副葬品となると、訴えかけてくるリアルさが違う。朽ちかけた煙管とか。ツルを失った眼鏡のレンズだけとか。銅製の筆箱はすっかり緑青を吹いているのに、硯だけはきれいだった。

 さらに会場には、常信・周信の墓所の概要図が掲示されている。これを見て、またびっくり。墓室が正方形というか、立方体なのだ。これって「屈葬」ってやつ?と思ったら、近世はさすがにそう呼ばず「座葬」と呼ぶらしい。ちなみに養信の場合は掘り出した甕棺が展示されている。うーん。窮屈そうだなあ...

 江戸時代の庶民って、座葬が一般的だったのだろうか。庶民はともかく、将軍に面会できたという奥絵師の身分でありながら、こんな埋葬法では、ちょっと浮かばれない気がするのは、現代人の偏見か。

★関連情報★

 私はこの展示会のポスターを見たとき、「狩野派+東京の有名寺院」という組み合わせに、ピンと反応してしまった。確か、東京のどこかのお寺が狩野○○(忘れた)の××羅漢図(忘れた)という、すごい作品を持っているはず。もしかしてアレが出てるのか?

 しかし、これは私の早とちり。「狩野○○の××羅漢図」は「狩野一信の五百羅漢図」が正解で、所蔵者は芝の増上寺であった。赤瀬川原平さんと山下裕二さんの『日本美術応援団:オトナの社会科見学』(中央公論社 2003.6)に載っているが、著者のおふたりは、現在非公開のこの作品(全百幅)の常時一般公開を強く要望されている。

 そうしたら、ネットで調べているうち、あれ?と思う情報が引っかかってきた。東京国立博物館の年間予定の先のほうに「幕末の怪しき仏画-狩野一信の五百羅漢図」(2006/2/14~2006/3/26)というのがあるではないか! まさしくコレである。アヤシイ仏画ですぜ~。さあ、来春を楽しみにしていよう。
コメント
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