オーディオ仲間から借りた真空管の専門誌「管球王国」(2017・冬季版)に実に興味深い記事が載っていた。
それは「30センチ口径フルレンジユニットのチューニング法 大公開」(159頁)という記事で、5タイプのオールドユニットを実例として、そのチューニング法を詳しく述べてあり、我が家でも「口径30センチンフルレンジユニット」を愛用しているので、大いに参考にさせてもらおうと興味深く拝読した。
結論から言うと、記事の中で挙げてあった主なチューニング法は次のとおり。
1 箱の裏蓋の木ネジを緩める
2 箱の内部にティッシュペーパーを張り付ける
3 相性のいいパワーアンプを選択する
4 スピーカーを角材に載せる
といったところだが、一番興味を惹かれたのが2のティッシュペーパーの活用で、ほとんどすべてのユニットの実験に用いられていた。
「たった2~3枚のティッシュペーパーを箱の内部に張り付けただけで音が変わるの?」といささか驚いたが、専門誌に登載するほどの専門家の言だから信用に値するだろう(笑)。
そもそも「吸音材の研究」は音質に多大の影響を与える割には、どうも“なおざり”にされている感が拭えない。
市販されているスピーカーの大半がユニットとエンクロージャーが一体型となっており、それらを購入する人が圧倒的に多い。したがってすべてメーカー任せとなり吸音材の研究がなおざりにされているのもよく理解できるが、ユニットとエンクロージャーは別物なので、それぞれ個別に対応するクセを身に付けないとオーディオの楽しみは半減すると言っても過言ではない。
「メーカー製のオリジナル・エンクロージャー何するものぞ」という気概が欲しい、ま、要らん世話だが(笑)。
いずれにしても、本書を読んで我が家の自作のエンクロージャー(AXIOM80用)の吸音材はこれでいいのかとガンと頭を叩かれた思いがした。
これは1か月ほど前の製作当時の画像だが、1センチ厚ほどのフェルトを内部にびっしり張り付けている。このままでも音質には十分満足しているものの、もっと薄い吸音材に変えればさらに音が良くなるかもしれないという誘惑にはとても抗し難かった(笑)。
思い立ったが吉日「過ちを改むるに憚ることなかれ」と、すぐにフェルトをはぎ取った。接着剤ボンドで部分的に張り付けているだけだから簡単だった。
実際にはぎ取った量を見てみると両チャンネル分合せて大きなゴミ袋いっぱいになったが、これほどの量が箱の容積を占めていたのかと思うと、思わず背筋がゾッとした。
フェルトの代わりに張り付けたのが薄~いウール材でグッドマンの箱に使用してあったのを流用。ティッシュペーパー2~3枚で代用できるくらいだからこのくらいの厚さで十分。
これまたボンドで根気よく張り付けていって完成後が次の画像。
ちなみにX型の補強材は強度のupとともに箱の内部の定在波防止の役割も兼ねている。また、昔使用していた羽毛の吸音材(白色の袋)をユニットの真後ろに配置しているがこれはご愛嬌で精神安定剤だ(笑)。
さあ、問題は音だ。
はたして、これでどういう風に変わったか、ハラハラ、ドキドキの一瞬!
ここから先は「また、いつもの我田引水か」と言われそうだが、特筆しておきたいこととして「音がメチャ明るくなった。これがAXIOM80本来の音だろうと思わせる。また周波数レンジが拡大し、音が軽やかになってより繊細な表現力が出来るようになった、それに低音域の量感が増えてサブウーファーが不要になった。」
と、いいことだらけ!(笑)