前々回の「245シングルアンプの登場」の続きです。
遠路お見えになったYAさんにいろんなスピーカーを試聴してもらったところ、結局、お気に入りのスピーカーはシンプルな構成のJBL「2ウェイシステム」に落ち着いた。
英国のスピーカーがひしめく我が家では唯一の亜流といっていいが、こればかりは好き好きなので「是非もなし」。
いわば、翳りを帯びた英国系のサウンドを溺愛する人間と、アメリカ系の屈託のないサウンドを愛好する人間との越えがたい溝を感じたといえばそれまでの話だが(笑)、たしかに我が家のJBLシステムはかなりいい線を行っているように思いますよ~、自画自賛だけどね・・。
で、このシステムの概要について、
低音域は「D123」(口径30cm)を「700ヘルツ」でハイカット、中高音域は「175ドライバー」を「2000ヘルツ」でローカットしている。
で、YAさんが持参された「245シングルアンプ」で「175ドライバー」を鳴らし、「D123」は我が家の「EL34プッシュプルアンプ」をあてがった。
すると「245」と「175」の相性が抜群で、まるで澄み切った青空のような見事なサウンドが出現した。
「175の魅力全開です、こんな音が出たのは初めてです!これならもうツィーターは要りませんよ、245とはとても相性が良さそうですね」と、思わず上ずった声を上げた。
一時期、「175」に高域不足を感じて「075」(ツィーター)を加えたことがあったが、こうなるとまったく悪夢のような出来事だった。
「ツイーターが必要だと思うときはそれは音の透明度が足りないからだ」と、ずっと昔のこと、あるベテランから聞いた言葉が実感となって湧き上がってくる。
そして、ふと我に返って、この「245」に太刀打ちできるアンプといえば、我が家では「WE300Bシングル」ぐらいしかないよなあ・・。
さっそくYAさんにお断りして、「245」から「WE300Bアンプ」に交換して耳を澄ましたところ、悪くはないんだけど「245」に比べてスピード感が少し落ちる感じがした。
そこで「WE300B」を「6A3」と交換した。この両球は通常互換性がないのだが、我が家のアンプに限っては定格が許容範囲に収まっているとのこと。
「6A3」といってもピンからキリまであるが、現在の手持ちは初期版の「刻印」付きのもの・・。
そしたら、即座にYAさんから思いがけなく絶賛の言葉が放たれた「ウ~ン、これがベストですよ!」。
自分も「はやる気持ち」を抑えて、ぐっと控えめに(笑)「どうやら245と遜色ないようですね」
フルレンジを鳴らすときは「WE300B」を、中高音域だけを鳴らすときは「6A3」という棲み分けが必要のようだ。
それからは、ジャズを聴きながら「まったり心」で「四方山話」へと移ったが、何かのついでに「プリアンプのコンデンンサーをマイカコンデンサーに変えたら音が見事にグレードアップしましたよ」とYAさんから情報提供があった。
「エッ、我が家にもマイカコンデンサーがありますよ。よろしかったらここで付け替えてくれませんか。試してみる価値がありそうです・・」
何しろ、YAさんから作っていただいた「プリアンプ」だから話は早い。定格数値もほぼ許容範囲だし、比較的大柄なマイカを収めるスペースもたっぷりあるのでさっそく、交換作業へ。
半田ごて、配線材そしてニッパー・・、と道具立ては揃っているのだが、いきなりの話なので「ためらい気味」だったYAさんだが、執拗な申し入れを仕方なく聞いてもらった感じかな~(笑)。
およそ30分ほどかかっただろうか。
これが裏側から見た交換後のプリアンプ。左の真空管は「整流管」の「EZ-81」(英国:エジソンマツダ)。
そして、肝心の音だけど、これがまあ・・、期待した以上の仕上がりでまったく非の打ち所がない。とりわけ、音響空間の中で楽器の余韻がまとわりつくように漂い、ス~ッと消えていく様が見事だった。
YAさんも自ずから感嘆しきりで、真空管オーディオにおける「コンデンンサーの重要性」をつくづく思い知らされた。
そして・・、
本日(18日)の時点で交換してからまる5日経ったわけだが、まるで夢のような「バラ色の日々」が続いている。
プリアンプが変われば、それに応じて相性のいいパワーアンプが変わる、するとスピーカーまで生き返ってくる・・、まるでドミノ倒しのように我が家のオーディオはドラスティックな変化を遂げたのだからまったく「一寸先は闇」ですね。
たった1ペアの「マイカ・コンデンンサー」の持つ破壊力に慄(おのの)くばかりだが、その変化の内容についてはこれから、おいおいと明らかにしていこう。
このところ心が弾んでどうしようもない、まったく年甲斐もなく・・(笑)。
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