「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

横綱同士の組み合わせ

2016年07月05日 | オーディオ談義

のっけから理屈っぽい話になるが「自分という人間ははたして何者であるのか、それを突き止めていくのが人生だ」とは、お堅い研修講話などでよく聞かされる話だが、これはオーディオにも当てはまるように思う。

「自分の好きな音、満足できる音はいったいどういう音なのか」これを求めて一喜一憂しながら生涯に亘って彷徨するのがオーディオマニアという人種のような気がする。

とまあ、冒頭から大上段に振りかぶってはみたものの
、オーディオが面白くてたまらないと思うことが第一条件で、そうでなければ長いこと続かない(笑)。

なにしろ終着駅が見えない世界だから、まるで標高が定かではない山の頂に向けて登るルートがいくつもあるようなもので、その選んだルートがはたして最適なコースかどうかもはっきり分からないところに未知の楽しみがある。

振り返ってみるとこの道に迷い込んでもう40年以上になり、随分回り道をしたような気もするが、現在、我が家には真空管アンプが6台、スピーカーが4セットあって、それらを日替わりメニューみたいにいろいろ組み合わせて聴いていると、なんだかいずれも80点くらいの似たり寄ったりの音になっているような気がする。

6台の真空管アンプはいずれも粒ぞろいだとは思うがそれでも性能の差は若干あるし、なるべくスピーカーの個性に応じて組み合わせていると、どの系統の音ともそこそこの音で鳴って欲しいのでどうしても平均化してしまうのだ。

これでいいのかどうか。

「これがベストマッチです」ともいえる決定的な組み合わせも欲しい気がするところ。

こういう「ストレイ シープ」のさなかに、つい先日同じ「AXIOM80」仲間のKさんが久しぶりに試聴にお見えになった。

4月中旬の熊本・大分地震で高速道がズタズタになり(現在は片側通行)、それに加えて福岡と宮崎の事業活動がメチャお忙しくなったそうで、このところオーディオどころではないご様子だったが、今回は宮崎に出張する途中の2時間あまりを割いて聴かせてくださいとのことだった。

Kさんの耳は自分と類似性があるので客観的に我がシステムを見つめ直すのにいい機会である。

この時に聴いていただいたアンプとスピーカーの組み合わせは次のとおり。

1 PX25シングルアンプ → ウェストミンスター(フィリップス社のウーファーとワーフェデールのツィーター)

2 「71Aシングル・1号機」(インターステージ・トランス入り) → グッドマン「AXIOM300+FANE社のツィーター」

3 「71Aシングル・2号機」 → 「口径10センチの小型スピーカー」

真空管71Aを出力管に使うと、どんなスピーカーでもうまく調教してくれるので大助かりだが、この日も相変わらずでKさんからも「もう全体的にほとんど言うことのない仕上がり振りですねえ。」との好意的なご意見だった。

ひとしきり、3系統のシステムを聴かれた後で「あの~、AXIOM80は鳴らしてないんですか?」と遠慮がちにお尋ねになった。

「ええ、新しいスピーカーやツィーターの入れ替えに夢中になってこの2か月ほどAXIOM80の出番がまったくありません。久しぶりに聴いてみましょうかね~」と、促される形で2の組み合わせでスピーカーだけ入れ替えた。SPコードを差し替えるだけだから簡単。

音が出るとすぐにKさんの顔がほころんだ。「う~ん、やっぱりこのスピーカーは次元が違いますね。引っ込めておくのは勿体ないですよ!数ある中のアンプの王様は何といってもPX25で決まりですが、スピーカーの王様となるとAXIOM80でしょう。」

久しぶりに聴くAXIOM80の妙なる音色と響きにはほんとうに参った!2カ月もほったらかしのままにしてゴメン(笑)。

Kさんがお帰りになった後で、さっそく「PX25シングル・アンプ」と「AXIOM80」との横綱同士の組み合わせへ移行した。今のところ我が家のベストマッチである。

       

さあ、こうなると必然的に「球転がし」へ~(笑)。

スピーカーがウェストミンスターだと低音域がだぶつき気味になるので音を締める方向で球の組み合わせを調整していたのだが、相手がAXIOM80ともなると、いかにして音を緩めるかという正反対の方向へ移行せざるを得ない。

まず、キーポイントになるのは前段管である。これ次第で音がコロッと様変わりするからまことに恐ろしい。これまで使っていたのは「3A/109B」(STC=ウェスタン・ロンドン支店)だが、STCの球に総じて言えることは低音域はやや薄いものの中高音域の美しさは比類がないというのが個人的な感想である。

しかしAXIOM80と組み合わせるとなると話は別で、この際は低音域の厚みが絶対欲しいところなので「112A」(アメリカ:1920年代製の刻印)へと差し替えた。このアンプはソケットを2種類準備してあって、両方差し替えられるようになっているのでとても重宝している。

また、整流管も「GZ33」(英国:ムラード)から、より高価なウェスタン422A(傍熱管:1952年製)へと変更。お値段が高いと音も高級になりそうな気がするから不思議(笑)。

周知のとおり整流管の交換はアンプ側の許容範囲の数値内に留意する必要があり、その矩を越えると痛い目を見るが、「北国の真空管博士」から「このアンプの場合はどんな整流管を使ってもほとんどOKです」とのお墨付きをもらっているので安心。

さあ、これでいよいよ音出し~。

この「横綱同士の組み合わせ」の試聴結果についてはもう「言わずもがな」なので省略(笑)。
 

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