今のところ真空管アンプを複数持っているので取り立てて購入するつもりはないものの、それでも万一「掘り出し物」があればと日頃からネットオークションを怠りなくチェックしている。
とりわけ「300Bアンプ」については、それなりに敬意を払って注視しているが、今回はたまたま同時期に出品された3台のアンプを俎上に載せてみよう。
以下はあくまでも個人的な意見なので、差し障りがある方はどうか軽く受け流してくださいね(笑)。
✰ AIR TIGHT ATM-300 Anniversary//30周年記念限定モデル
「AIR TIGHT」というブランドは使ったことがないが、すぐに故障するとか音が悪いとかの評判はこれまで一度も聞いたことがないのでおそらく堅実なメーカーさんなのだろう。
このアンプは2016年モデルで当時の販売価格は88万円、使用時間は1時間程度とのことでほぼ新品同様。
そして、肝心の落札価格はといえば「78万円」だった。
出力管が純正の「WE300B」ではないこと、前段管にミニチュア管を使っていることなどを照らし合わせると、はっきり申し上げてこのお値段なら購入しない。
プリアンプならいざ知らず、パワーアンプにミニチュア管を使っているといかにも貧相な音が出てきそうでイメージ的に拒否反応が起きてしまう(笑)。
✰ カンノ製作所 メインアンプ 300B-MN 2台
真空管アンプ愛好家の間で定評のある「カンノ」製の300Bアンプで、しかもモノラル形式の2台だし、出力管は純正のWE300B(1988年製)とくればどこまでお値段が上がるのかと期待(?)していたら落札額「895,000円」というカンノ製にしては常識的な価格に落ち着いた。
カンノ製のトランスは有名だしこれまでにもたびたび他家で聴かせてもらっているが、どうも相性が良くないようで「飛びつきたくなるほど欲しい」という気になったことは一度もない。
ごめんなさい、自分の耳が悪いんです(笑)。
それに今回のアンプは前段管に「6SN7」というミニチュア管に毛の生えたような球を使っていることにも賛同できなかった。芸が無いというのか、とてもWE300Bに相応しい球とは思えそうにないのがその理由。
このお値段であれば自分なら、さらさら購入する気にならない(笑)。
最後は、
✰ 新藤ラボラトリー SHINDO LABORATORY/Western Electric 300B SINGLE 真空管モノラルパワーアンプペア
定評のある「新藤ラボ」のWE300Bシングルアンプ(モノ×2台)とくれば、おそらく100万円は軽いだろうと値踏みしていたところ、結果は「111万Ⅰ千円」という線に落ち着いた。
市販の数あるWE300Bアンプの中では頂点に位置するアンプだと思っているのでそれ以上行ってもおかしくはない。
球の構成は前段管に「WE310Aを2本」「出力管はWE300B」「整流管はシルヴァニアの274B」と、いかにも王道スタイル。
ただし、有識者によるとこの「310A」という球をうまく使いこなせる達人ともなると国内でもごく少数に限られるという話である。
また、出力トランスは定かではないが名門「TRIAD」という噂で、これだけ素材がそろえばさぞかし「いい音」が出ることだろう。
お値段相応かどうか、一度は聴いてみたいですね(笑)。
以上3台の「300Bアンプ」だったが、気になったのはいずれも「インターステージトランス」についての(オークションでの)言及が無かったこと。
「300Bアンプはインターステージトランスに何を使っているかで決まる」とさえ言われているのにこの有り様。
最後に、各アンプの高いか安いかの価値判断はそれぞれのご自由にお任せするとして、もしそのくらいの金額が準備できるのであれば自分なら使用する球やトランス類を指定して信頼のおける方に特注し、作ってもらうのが一番賢いやり方ではないかと思っている。
例えて言えば「建売住宅」と「注文住宅」の違いといえばいいのだろうか(笑)。
この内容に共感された方は励ましのクリックを →