日頃から近隣の3か所の図書館を巡り、「新刊本」を中心に「何か面白そうな本に出会えるといいなあ」と、こまめに行脚しているのだが、まずもってめったに当たることがない。
3か所すべての借入限度を合わせると「30冊」になるのだが、そのうち2~3冊あれば上出来かなあ・・。
つまり、当たりの確率は1割程度だが、このほどその狭き門をくぐり抜けた本に出会った。
筆者は「紀伊国屋書店新宿本店」で、25年間に亘って同じ売り場に立たれ、このほど退職された読書大好きの「小出 和代」さん。
その間、数々の思い出の本に恵まれたが、本書ではその中から特に印象的なエピソードとともに選りすぐりの書籍が編集されている。
いつぞやのブログにも記した通り「署名のある書評」は、数々のしがらみがあって信用できないが、退職された方なら「ホンネ」のお話が聞けるはずと踏んだが、やはり期待に違わぬ内容で「一気読み」だった。
後日のために、記録しておくことにしよう。
左から「小節のタイトル」「書名」「著者」
☆ 幸福な出会いと巡り合わせ 「さよなら妖精」米澤穂信
☆ わからないは面白いの始まり 「パレード」吉田修一
☆ 応援ペーパー作りませんか 「夜は短し歩け乙女」森見登美彦
☆ 慇懃無礼な帯が人を呼んだ話 「謎解きはディナーの後で」東川篤哉
☆ 走るピクウィック・クラブ 「観光」ラッタウット・・
☆ 大地が揺れた日~東日本大震災~ 「GOSICKⅧ」桜庭一樹
☆ 「IQ84」最速の一日 「IQ84」村上春樹
☆ ヨハネスブルグで電子書籍 「ヨハネスブルグの天使たち」宮内悠介
☆ 狙撃犯はカーテンの向こう 「マイライフ クリントンの回想」ビル・クリントン
☆ 頭から尻尾まで!芥川賞と直木賞 「ホテルロ-ヤル」桜木紫乃
☆ ハリー・ポッターと買い切りの掟 「ハリーポッターと賢者の石」JKローリング
☆ 売れる人はタイミングがいい 「物乞う仏陀」石井光太
☆ 想定外です、お客様! 「愛の流刑地」渡辺淳一
☆ もっと売りたい! 本屋大賞 「博士の愛した数式」小川洋子
☆ ほんのまくらで大騒ぎ 「求愛瞳孔反射」穂村弘
以上、15冊も書くとだんだん疲れてきました。あと18冊もあります・・。
え~い、面倒くさい、この本を買うことにしようっと・・(笑)。
最後に、どういう「書きっぷり」か、一例を紹介しておくと、
「本屋で一番よくある事件」(抜粋)
私が勤めていた書店でも謎や事件はよく発生していた。詐欺、脅迫、盗撮に偽造カードに放火未遂。漏水で下のフロアの棚が水浸しになったり、トイレに立て籠られて機動隊が駆けつける騒ぎもあった。中でも頻繁だったのは、万引き・・窃盗事件である。
防犯カメラを設置し、店員、制服警備員、私服警備員などの巡回を行ってもヤツらはこっそり、あるいは堂々と盗んでいく。バレなければ構わないと親子連れで盗みに来て小さい子供に当たり前のように盗品を持たせていた親もいた。
本一冊の価格のうち、書店の取り分というのは大体2割だ。千円の本なら書店に入るのは二百円。一冊万引きされるとまるごと店の損失なので、カバーするには五冊売らないと取り返せない・・。実際はここから光熱費や人件費といった必要経費を捻出するわけで、ほんとうは五冊でも損失を埋められない。
・・現行犯で犯人が捕まることもあった。そういう場合は警察官が来店し、警備担当や店の管理職が対応する。私のような下っ端の店員はそれを遠巻きに見るだけだ。
ただし、昔一度だけ私自身が警察署まで出向いたケースがあった。証言が済んで帰りはパトロールに出るという制服警察官二人組にパトカーで店まで送ってもらうことになった。
パトカーは店の正面に横付けされる。警察官に扉を開けてもらい「ご協力ありがとうございました」と敬礼で送り出された。
書店員が制服姿のまま、店の前でパトカーから降りてくるのだ。人目を引かないわけがない。あ、着替えて店出れば良かった・・とここでようやく思い至ったけれど、後の祭りである。
目撃していた社内の人に、呆れ顔で聞かれた。「あんた何したの」何もしてませんってば。
全編だいたいこういう調子です。
とても微笑ましく読めたが、本に関するエピソード満載で「本好き」にはこたえられない本ですね~。
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