「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

お客さんとの試聴中にトラブル発生!

2014年06月06日 | オーディオ談義

我が家がある住宅地域は150区画ほどの団地だが、ここ1~2年新築ラッシュが続いており、(我が家の)正面玄関の斜め向かい側、距離にして30mほどの宅地にも家が新築されてからおよそ半年あまりが経った。東京在住の方が別荘として使用されており、ときどきお見えになっているという噂を耳にしていた。

そのお宅の裏に住む方が家内の朝のウォーキング友達なのだが、(家内に)言うのには「ご滞在中に夜遅くまで音楽がかかっていることが多いみたいよ。お宅のご主人も音楽好きだからもしかすると話が合うんじゃないかしら」。

こと「音楽&オーディオ」のことになると、がぜん積極的になるのが自分の習癖。それ以外は完全に“おくて”ですがね~(笑)。それを家内から聞いた翌日のこと、朝のウォ-キング時に、丁度タイミングよくご主人が外に出てお庭の草むしりをされていたので思い切って話しかけてみた。

「斜め向かいに住んでいます〇〇と申します。もしかして音楽がお好きなのではありませんか?大したシステムではありませんがよろしかったらお聞きに来られませんか。」

「そうですか、Mと申します。音楽は好きですよ。それはぜひ一度お伺いしてきかせていただきたいですね。さっそくですが明日の午後2時頃ではいかがでしょう。」

「ええ、もちろん結構ですよ」というわけで、みごとに商談(?)成立(笑)。

翌日(2日)の午後はあいにく雨だったが、むしろ室内遊戯にはもってこいの日。きっかり2時にお見えになったMさんだが、オーディオ・ルームに入られるなり、「ワァ~、これは凄い!」。別にこの言葉が聞きたさに招待したわけでもないのだが(苦笑)。

「どういうジャンルがお好きですか?」「タンゴをきかせていただけませんか」「それではアルフレッド・ハウゼをかけてみましょう」

まず「AXIOM80」から試聴開始。以降、ヴァイオリンとピアノをご所望だったので、ヒラリー・ハーンの「プレイズ・バッハ」とクララ・ハスキルの「ピアノ協奏曲20番第二楽章」(モーツァルト)を一緒に鑑賞した。

その間、ご近所同士だし、長いお付き合いになりそうなのでお互いに細部にわたって自己紹介をした。

Mさんは千葉県のお生まれで、当年とって80歳になられる。ず~っと都内の中野区で敷地90坪の一戸建にお住まいで、東京工大の応用化学科をご卒業され、とある大手企業にご就職。(いつものことだが音楽好きはどうしてこんなに理系に多いのだろう!)

別府とのご縁は30代の頃に10年間ほど大分コンビナートに出向されたときとのことで、たまたま別府市内の高台にある温泉付き住宅地が目に留まり、老後に住もうと土地だけ購入された由。

「東京では、福岡や熊本と違って大分といってもピンとこない人が多くて困ります。」

そうでしょうねえ。読み方からして「だいぶん県」だったり、「滑って転んで大痛県」なんて小咄をよく聞く。いっそのこと「別府温泉」と言ったほうが通りがいいのではなかろうか(笑)。

Mさんは、実に進取の気性に富んでおられ、現在、都内でピアノ教室に通われており、書画の表装を覚えるために職業訓練校で学んだり、料理の勉強のために教室に通ったりで、今回お土産として持参された手作りのお菓子が実に凝ったもので、夕方に帰宅した家内が驚いていた。こういっては何だが、お歳を召した割には活発なご活動に驚く。

「オーディオの泥沼にだけは絶対に足を踏み込まないようにしましょうねえ。」と、冗談を飛ばしたいところだが、まだ初対面なのでなるべく軽口は叩かないでおこうと遠慮した(笑)。

さて試聴の方は、順調に進んでJBL3ウェイ・マルチ・システムを試聴。ズバリ、「どちらのシステムがお好きですか」とお訊ねしたところ、「JBLシステムに低音の魅力を感じます」とのことだった。

オーディオにそれほど熱心でない方には、やっぱり音の“彫の深さ”などよりもスケール感の方が訴求力があるようだ。

ところがその試聴中のこと、肝心のJBLシステムの中のメインである「375ドライバー」の右チャンネルから、急に音が出なくなってしまった。さあ、これは大変!どこが故障したんだろう?

Mさんにはたいへん悪いが、それからは会話の方にまるっきり
身が入らず“うわの空”のまま、犯人さがしに躍起となってしまった。

はじめに疑ったのは「375」を駆動している真空管アンプ。

まず、一番高くつくのが「刻印付き2A3」(1940年代製造)の出力管だが、ちゃんと内部の点火が見えたのでひとまず安心。次にSPコードの途中に接続しているコイルやコンデンサーのハンダ付け部分を入念に点検していくと、ようやく原因が判明。

375のハイカット用(クロス1万ヘルツ、6db/oct)に挿入したムンドルフの「ゼロ抵抗コイル」とSPコードの接着不良だった。

                        

湿気の多い時期になるとどうもハンダにクラックが入ったり、剥がれやすくなるみたいで、すぐに半田ごてを暖めてガッチリくっつけて作業完了。

皆様、これはアドバイスですがこの時期に何か故障が起きたときはまずハンダのトラブルを疑った方がいいですよ!

その間、わずか15分あまりのことだったがお客さんとの試聴中に故障するなんて、こんなことは珍しく、極めて「心臓」によろしくない(笑)。

「どうもお待たせしました」と再び、Mさんと向き合って、お話再開。音楽の話になって、「美空ひばりは若い頃は嫌いだったのですが、老年になると好きになりました。やはりうまいですね~。」とMさん。

それではとばかり最後に、“ひばり”ちゃんを聴いて2時間ほどの試聴会をお開きにしたが、お帰り際に「明日の午後、“サウンド・オブ・ミュージック”のDVDを観せていただきたいのですがご都合はいかがですか?」

「もちろん結構ですよ~」。この映画は二度ほど観たことがあるが、もう随分昔の話。

                      

次の日も、昨日に続いて梅雨時期特有の雨が降りそぼる中、14時ごろからJBLシステムで鑑賞したが、実に音楽マインドに溢れた映画で心がほのぼのと暖かくなった。やっぱりこれは名作!

映画の終盤にマリア(ジュリー・アンドリュース)とトラップ大佐との結婚式のシーンで、壮大なパイプオルガンが鳴り響くところがあり、そのズシ~ンと腹に響いてくる迫力にMさんが思わず「ウッ」と、椅子の上で“のけぞられた”のが印象に残った。こういう時にエンクロージャー(ウェストミンスター)の威力が発揮される~。


それにしても、3時間近く一度も席を立たれないまま、はじめからお終いまで熱心にご覧になったMさんの集中力には恐れ入りました(笑)。
 

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