「田舎暮らし」と「都会暮らし」のどちらを選びますかと問われたら、どう答えますか。
(自分なら)当然「田舎暮らし」と答えるが、これはいいとか悪いとかいう話ではなく、それぞれ好き好きの世界・・。
中には、若いうちは「都会暮らし」がいいが、歳を取ったら「田舎暮らし」がいいという方もきっといらっしゃるに違いない。
テレビで「ポツンと一軒家」(毎日曜日の夜)という長寿番組があるが、人気の原因の背景には「人里離れた田舎暮らし」への都会人の秘められた「ノスタルジア」があるのではないかと思っている。
で、自分の場合「なぜ田舎暮らしを選ぶのか」と、理由を問われたらきっと眉を顰めて「都会は人間が多すぎて・・」と答えることだろう。
日常的なクルマの渋滞、長蛇の順番待ちなど、まったく時間の無駄としか言いようがなくウンザリしてしまう。
とはいえ、「田舎暮らし」には当然マイナス面もあって、芸術・文化的な享受の機会に恵まれないのもその一つで、その象徴ともいうべきものが「大きな書店」が無いこと。
で、ときどき隣の大分市まで出かける羽目になる。
とはいえ、大分市だって大都会に比べたら、別府とさしてかわらず「五十歩百歩」みたいなもんだが、なにせ人口が4倍ほど違うので、スケールメリットのおかげでそれなりに書店も大きい。
別府からクルマで40分ほどの大分市郊外にある「K書店」は、大手の書店が撤退した後を引き継いだものだが、いつも閑散としている。
ヤバいなあ・・、そのうちこの書店も撤退の憂き目を見るんだろうと心配しているが、せいぜい今のうちに利用しておかないと~。
広い売り場のもとで「音楽&オーディオ」関係の本も充実していて、つい購入したくなるが「もう今さら・・」という気が沸き起こって押しとどめてしまう(笑)。
で、他のコーナーでふと目についたのがこの本。
この人の作品はどうもピンとこないというかあまりに長編過ぎてそれだけでもう億劫になるが、エッセイとなると的確にポイントをついてくるので参考になることが多い。
で、持ち帰って一読してみるとやはり期待通りだった。
その中に「村上さんが手放すことがのできない51冊の本について」という特集があった。
どれどれ、どういう本が挙げてあるんだろうと、ざっと目を通しながら本のタイトルを頭の片隅に入れていたところ、まさしく偶然というか、地元の別府市図書館の新刊コーナーで発見したのがこの本。
村上さんは本書についてこう紹介している。
「僕がジャック・ロンドンで個人的にいちばん好きな作品は、自伝的長編小説「マーティン・イーデン」だ。ローマに住んでいるときにペンギン・ブックス版でこの小説を読んでとても強い感銘(あるいはショック)を受けた。
長いあいだ日本語の翻訳が出ていなくて、残念に思っていたのだが、2018年に白水社からようやく新訳が刊行された。よかった。
長い小説だが、けっして読者を飽きさせることがない。
苦難に満ちた過酷な青春時代、小説家として身を削るように作品を書き続ける日々、そしてあまりに衝撃的な結末。
読み終えたときには、なんだか世界の端っこに立たされたようなしんとした気持ちになってしまう。
「残酷なほど力強い本だ。パワフルな絶望。前向きな自滅。」というのが、僕がこの本(白水社版)の帯のために書いたコピーだ。」
ジャック・ロンドン(1876~1916)
アメリカの作家。家計を助けるため少年時代から新聞配達や缶詰工場で働き、牡蛎泥棒で悪名を馳せた・・。
創作、旅行、農園経営と精力的な活動を続けたが、長年の疲労と大酒で健康を害し、1916年に尿毒症と鎮痛薬モルヒネの過剰摂取により40歳で死去。
とまあ、粗削りの「破天荒な人生」を送った人みたいですね。ある意味で一定の枠に「はまらない」豪快な生き方に敬意を抱いてしまう。
それにしても、久しぶりに本格的な長編小説と対峙することになるが、借入期間の2週間内にこの長編が読めるかどうか不安だなあ・・(笑)。
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