前々回のブログに記載していたように、昨年(2014年)から身辺整理の一環として不要になったオーディオ機器を順次オークションに委託出品している。
値が張りそうなものはあらかた片付いたが、最後に大物がでんと控えていた。泣く子も黙る真空管「WE300Bオールド」(1951年製のペア)である(笑)。何せ“音がいい”うえに稀少管とあってオークション相場では程度次第にもよるがおよそ50万円はいくほどの代物だ。
WE300Bはツクリが丈夫で長寿命で知られており、現在手元に5本あるのでそのうち2本くらいは出してもどうせ使い切ることはあるまいと踏んだが、およそ60年ほど前の古典管だから程度の方がサッパリ分からない。
これまで「勿体ない精神」であまり実装はしてきていないものの、購入した時点でかなり使い込まれていた可能性は否定できない。たしか20年ほど前のことだが、周知のとおり真空管は消耗品なのでピークを過ぎると性能が劣化するばかりで本来の実力とは程遠くなる。
やはりこういう値の張りそうな古典管は「測定数値付き」で出品する方が明らかに説得力が増すし、オークションの入札者に強力にアピールするのは間違いない。
さて、どなたに測定を頼もうかと考えたときに、ふと浮かんだのが関西在住の「ひま人」ことM女史。昨年(2014年)の暮に、刻印付きのWE300B(ペア:1930年代前後の製造)を「911000円」で落札された御仁である。
とにかく真空管の収集と造詣の深さ、そして熱意は並々ならぬものがあって、ホームページ「ひま人の館」をご覧になっていただければどなたも頷いていただけよう。
先日、オーディオ仲間(福岡)から連絡があって「“ひま人の館”を見ましたが凄いコレクションですね。ほんとに女性なんですか?お幾つぐらいの方ですか?領土問題の主張も理解できるし一度お会いして話してみたいですね。」
「会社員とだけ伺ってますが、女性に年齢を訊く訳にはいきませんのでその辺はまったく不明です。興味は尽きませんが・・・」(笑)と、とりあえず回答しておいた。
そのM女史に単刀直入に「WE300B真空管の測定をしていただけませんか。ついでに測定結果による真空管の相場(適価)についてもご教示いただければ幸いです。」とお願いしてみると、次のようなメールが返ってきた。
「そのWE300Bはゲッターが十分あって、フィラメント点灯時に輝度差がないもの、電極間のタッチがないものということでよろしいでしょうか?問題のない品なら測定しますが、高価な品ですので、測定時の破損は保証できません。
以上のとおりだったが、もちろんそれでOKですよ~。
送付してから待つこと1週間、画像付きで次のようなメールが返ってきた。
Ep=300V、Ip=60mA、Eg=-62.5V、Ip=50mA、Eg=-64.8V、Gm=4.3mA/V
②ゲッターの少ない方(ほぼ消失)
Ep=300V、Ip=60mA、Eg=-58.1V、Ip=50mA、Eg=-60.4V、Gm=4.3mA/V
以上のとおりだったが、な~んだ、夢に描いていた50万円とは程遠い金額にガックリ!
これこそまったく「捕らぬ狸の皮算用」だった。それにしてもオークションにすんなり出さなくて良かった。危うくトラブルのもとになって「詐欺師呼ばわり」されるところだった(笑)。
このWE300Bはこれから頻繁に使って我が家で生涯を全うさせることに決~めた。