「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

真空管の生涯

2024年04月17日 | オーディオ談義

名曲「4つの最後の歌」を遺した作曲家「リヒャルト・シュトラウス」に「英雄の生涯」という曲目があるが、それにちなんで今回は日頃お世話になっている真空管の生涯について。

3年ほど前のこと「高級オーディオ フェア」(福岡)で軽く500万円以上もするTRアンプをいくつも聴かせてもらったことがあるが、倍音が何だか蒸留水みたいに味気なくて貧弱そのもの・・、結局出来のいい真空管アンプには及びもつかないものだった。

爾来、いっさいの迷いなくひたすら「真空管道」へ~(笑)。


で、真空管を愛すればこその心理だろうが、ときどき真空管と人間の生涯を重ねたくなることがある。両者とも「寿命」という共通の運命に支配されているのでそう無理筋でもないと思うがどうなんだろう。

まず人間の生涯を大まかに分けると「幼年期~壮年期~老年期」に分けられるが、寿命を80年としてその内訳を順に「15年~40年~25年」としよう。

これを真空管に当てはめてみると、
球の種類(電圧増幅管や整流管など)もいろいろあるし、ブランドによっても違うし、アンプごとのプレート電圧のかけ方も様々だろうが、十把一からげに大まかに時間単位でいくと寿命を6000時間として幼年期が1000時間、壮年期が3000時間、老年期が2000時間といったところかな~。

人間に比べると幼年期が短いのが特徴で人間の幼児教育にはとても手間と時間がかかるのがわかる(笑)。


さらに人間の場合、己がどの年期に属するのか把握するのは簡単そのものだが、真空管ともなるとはたしてどの時期に相当しているかこれを見分けるのが実に難しい。

なにしろ、人の手を転変とするのが宿命なので見分するだけでは判定できない。

壮年期に当たるのならもちろんいいが、もし老年期に入ったとするといったいどのくらいで「姥(うば)捨て山」に行かせるか、その時期を常に意識せざるを得ないのが課題だ。

で、そもそも真空管は初代のものほどツクリが良くて音質もいいとされているのをご存知かな・・、年代でいけば1940年代前後~。

ちなみに、「WE300A」の初期版なんかはオークションで160万円(ぺア)で取引されている。
 

    

およそ80年以上経っても管内の真空度が高いので鮮烈な濃いブルーが色鮮やに浮き出ていますね・・、よほどツクリがいいんでしょう!

ただし、当時は現代では使用禁止となっている「放射性物質」を一部に使用していたという、まことしやかな噂があります・・。

メーカー側にしてみると開発時は音質の良さを広くPRしなければならないので手間はかかるが音が良くてSN比に優れる高級な材質や丁寧なツクリになるが、そのうちひと通り行き渡ると途端にコスト優先で手を抜きたがるのはどこの国でも同じ(笑)。

なにしろ「(コストを度外視して)いい製品を作るメーカーほど早く潰れる」という悲しい伝説が横行しているのが、この業界の特徴である。

したがって音質はそっちのけでコストダウンを図って開発費を回収しようとばかり安価な材質、簡単なツクリへと移行してしまうのが常套手段である。まあ、耐久性への対策も含まれているんだろうが、音質的にけっして良くないのは同じこと。      

ちなみに「有識者」に真空管の寿命のノウハウに関して伝授していただいたので紹介しておこう。

「真空管は頻繁にON-OFFを繰り返しますと著しく寿命を縮めます。真空管の寿命があとどれくらいあるのか推定するのは非常に難しいです。Hickok社のチューブテスタでライフテストを実施するのが最も簡便な方法でしょう。 

ライフテストはHickok社の特定のモデルのみで可能ですので機種の選定は重要です。ライフテストが可能な最も安価なモデルは533型と思います。現在私は533型を使用しています。 
 
539Cが最も有名な高級機種なのですが、完動品はメチャ高いです。WEタイプは更に高価で故障時のメンテナンス費用も相当にかかります。 
 
最も有名なチューブテスタTV-7はHickok社の設計ですが、ライフテストができないのが難点です。」

というわけ~。


我が家では真空管アンプのスイッチのオン・オフは慎重にしており、半日以上連続運転というのは日常茶飯事である。

で、2時間以上家を空けるときはオフ、それ以外のときはオンの状態にしている。スピーカーだって鳴らせば鳴らすほど箱の木の細胞が一定方向にこなれてくるはず・・。


これって迷信かな~(笑)。



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