我が家のオーディオに絶対に欠かせないものといえばネット・オークションかな・・、使っている機器や真空管などの部品のうちおおかた7割くらいは該当する~。
もちろん、不要になった機器の処理に利用した事例も数知れない。
で、ここ30年ほどは「掘り出し物」に一喜一憂しているが、成功率となるとおよそ8割くらいかなあ。
今でも「夢よもう一度」みたいな感覚で ”しょっちゅう” オークションを覗いているが、高額商品ともなると人生の残り時間を勘案してさすがにダボハゼみたいに飛びつくことがなくなった。
たとえば・・、このたび出品されていたDACの「パガニーニ」(英国:dCS)。
たしか発売当時の価格は「380万円」だったと記憶しているが、ちょっとビンボー人には手が出ない価格。
さあ、中古品になったらいくらで落札されるんだろうと、興味津々だったら結局「93万2千円」(1月17日付)で落札されていた。
これは自己採点になるが、我が家の同じ「dCS」の「エルガー プラス」が90点だとすると、「パガニーニ」はせいぜい95点ぐらいだろう・・、たった5点あげるのに93万円も突っ込むのか。
ちょっと分別臭くなった自分が嫌になる・・、「気に入ったらお金に糸目をつけない!」それが趣味というもんでしょうが~(笑)。
それにしてもこの「パガニーニ」はスタート価格がたったの千円だったのには驚く。出品者は「ストア」だったが度胸ありますねえ・・。万一、入札者が少ないときは、たいへんな安値で落札される可能性だってありますからね。
そういえば、過去に「競争心理」を駆使した展開事例があったのでご紹介しよう。
それは「VAIC VALVEモノラル・パワーアンプ VV52Bペア」に関する一連の動き。
30年ほど前に発売されたアンプだが、当時欲しくてたまらなかったアンプで、とにかく評判が凄くよかった。今でも当時の記事のコピー(前期型)を保管している。
しかし、ペアで88万円という価格の前にやむなく涙を呑んで諦めた。
ところが、この忘れられないセパレート・アンプがオークションに出品されているではないか・・、懐かしい!
出品価格はピタリ30万円。中古専門のストアの出品だから安心感が漂うが、今のところ手元の使用中の真空管アンプ群(9台)で十分間に合っているし、もっと値段が下がると参加してもいいのだが、置き場にも困るしねえ。
とりあえず「ウォッチリスト」に登録して追いかけることにしたが、30万円という価格の前に入札者が1件もなしの状況が2クール(1クール=1週間)続いて、出品者もようやく腹を括ったのだろうか、一転して今度は開始価格を一挙に1000円に値下げしての再スタート。
これは見物!
最終的に落札価格が10万円以下に落ち着きそうなら考えてもいいがと、俄然色気が出てきてオークションの解説を再度詳細に読んでみると、1台の重さが何と50キロもある。スピーカーならともかく、アンプがこの重さではねえ。
「オーディオ機器の性能は目方に比例する」のは、経験上おおむね正鵠を射ていると思うが、年齢を経るにつれて体力面から機器の重量は切実な問題になる。動かすときにギックリ腰への用心をはじめ、とにかく扱いずらい。
故障したときの発送処理などを考えるだけで億劫になる。したがって機器の性能よりも、むしろ軽さなどの扱いやすさの方に次第に魅かれるようになるのは、おそらく同年配の方々には思い当たるはず。
そういうわけで、潔くキッパリ諦めることにして落札当日になっても気にすることなく早めに就寝。
で、翌日起き抜けにメールを見たところ何と「落札価格29万2千円」とあった。
落札寸前に凄い「叩き合い」があったみたいで入札、価格ともに凄い高騰ぶり!
それにつけても、30万円では2週間以上、買い手がいっさいなかったのに、1000円スタートにしただけで29万2千円もの高値で落札され、ほぼ、出品者の思惑通りになったところが興味深い。
オークションの「競争心理」をうまく利用した出品者側の作戦勝ちだが、前述したようにその一方で1000円スタートなので超安値で落札される危険性もあるから、危ない橋を渡った「リスクの代償」ともいえる。
自分にも経験があるが、落札間際にどうしても欲しい商品が競争状態になったときに平常心を保つのは難しい。「たとえ借金をしてでも絶対に手に入れるぞ」と、我を忘れる事があるが、賭けごとにのめり込むのもこういう心境だろうか。
以前の“おおらか”なオークションの時代ならともかく、こうして“鵜の目鷹の目”のご時世ともなると、つい、うっかりの見逃しはありそうもないので、出品者側にとっては、いきなり高値から出発するよりも安値から出発して参加者の「競争心理」をうまく煽(あお)った方が結果的には得策かもしれないなあ・・、まあ、対象機器の魅力次第だが。
自分の場合にしても、いずれオークションなどを利用して手持ちの真空管やもろもろの機器などの処分を考えるタイミングが視野に入ってこらざるを得ないが、今回の事例は大いに参考になった。
つまりは、出品物をしばらく高値でさらして広く周知したうえで、一気に値下げして競争心理を煽るという作戦だ。
まあ、「生き馬の目を抜く世界」なのでそうは簡単に問屋が卸すまいが(笑)。
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