「犬が人間を噛んでもニュースにはならないが、人間が犬を噛むとニュースになる」という「言い伝え」があるが、「ポルノ作家がポルノ小説を書いてもニュースにならないが、元東大総長がポルノ小説を書いたらニュースになる」とは、これいかに~(笑)。
そのポルノ小説とは「三島由紀夫賞」を受賞した「伯爵夫人」という作品。
作家は「蓮實 重彦」(はすみ しげひこ)氏(87歳)。1997~2001年にかけて第26代東大総長を務めた仏文学者である。
「本作では二朗(主人公)が伯爵夫人に射精させられたり、“金玉潰しのお龍”や“魔羅切のお仙”が登場したりとポルノ的な場面が頻出します。しかし、彼女たちの口からあふれ出る露骨に猥褻な言葉はカラッとしており、思わず笑ってしまうシーンもたくさんありました」と、書評にあった。
作者の蓮實氏によると「笑劇として読んでいただけるとありがたいです」とのことで、なるほど、こういう学問の権化(ごんげ)みたいな方が書くポルノとなると、陰湿感というよりもカラッと乾いた印象を受けて、眉を顰めるどころか「ポルノを笑い飛ばす」余裕と心境が分かるような気もするところ(笑)。
という「前置き」のもと、話を展開するきっかけになったのがこのほどたまたま図書館の新刊コーナーで目に入ったこの本。
「性の美学と政治学」という御大層なタイトルが付けられていますねえ、所詮ポルノはポルノでしょうけど~(笑)。
「日活ロマンポルノ」・・・、日本映画界の斜陽により経営難に陥った日活が打開策として1971年から開始した「ポルノ路線」の作品群である。作品総数1100本以上。(90頁)
製作条件は1本あたり平均予算が「750万円」、撮影日数が一週間、10分に1回性的な場面を挿入するというものだった。
とはいえ、こういう条件下でも将来有望な若手監督が輩出され、いくつもの「伝説的な名作」が生まれるのだから映画は監督の力量によるところが大きいともいえる。
ほら「悪いオーケストラは無い、悪い指揮者が居るだけだ」という格言と一緒ですよ、これは~(笑)。
アッ、そうそう、あれは30年以上も前のことだったかなあ・・。
当時はバリバリの現役で「音楽&オーディオ」に割ける時間なんてほとんどなくて、上からも下からも圧力がかかる「中間管理職」として仕事に追われる日々だった。
で、上京の目的だった「〇〇全国会議」が無時済んで帰りの飛行機の時間まで余裕があったので上司に連れられて、とある映画館に入ったところ上映されていたのが「日活のロマンポルノ」だった。
エロティックなシ~ンは、普通の映画にも付きものなのでそれほど驚きもしなかったが、全編これでもかといわんばかりの「剝き出しの性」にはちょっと怯んだが、全体的にはなかなか興味深かった!(笑)
「二本立て」だったが、その内容といえば女性がどんなにひどく裏切られ、凌辱されてもけなげに立ち直り、逞しい生き様で男性にやり返すというパタ~ンが多いような気がした。
高尚な見方からすると、女性が「性の奴隷」から「解放」されて「自立」する映画というのもあながち間違ってはいないかな~。
本書にもあったが、近年「日活ロマンポルノ」に対して若い女性のファンが多いというのも頷けるところ。
これらの映画が意図せぬうちにその後高まった「男女共同参画社会」の呼び声の礎(いしずえ)になったやもしれず、「性の美学と政治学」のタイトルもその辺から来たものだろうか。
本書では「ロマンポルノの女王」とされた「白川和子」(「団地妻昼下がりの情事」)さんの独占インタビューも掲載されているので、機会があればご一読を~。
とはいえ、どういう映画か、一度御覧になるのが一番でしょうよ(笑)。
で、「チャットGPT」に問い合わせてみた。
「日活ロマンポルノが観たい」
すると、次のような文章がすらすらとでてきた。
「申し訳ありませんが、私は適切なコンテンツを提供するために設計されたAIチャットボットですので、わいせつなコンテンツを提供することはできません。また、違法な行為にも関与することはできません。私たちは倫理的および法的観点から、ユーザーに不適切なコンテンツを提供することはできません。何か他にお手伝いできることがあれば、お知らせください。」
たった一言で「わいせつなコンテンツ」と片付けていいものだろうか(笑)。
【追伸】
つい先日ご紹介した西部劇の名作「リバティバランスを射った男」が本日(14日)午後6時半から「BS日テレ」で放映されます。ご興味のある方はご覧ください。
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