前々回のブログ「エ~ッ、真空管アンプから宗旨替えするんですか?」からの続きです。
オーディオに熱中していた青春時代には、それこそ手当たり次第にオーディオ誌を読み耽ったものだが、近年はそれほど内容に惹かれることもなく、ときどき本屋で立ち読みする程度・・、その中で全国各地のオーディオ愛好家への訪問記事などは今でもなかなか興味深い。
さすがに取材を受けられるだけあって、ご自慢の豪華なシステムがズラリと勢ぞろい~(笑)。
ただし、「真空管アンプ」を使っている方はとても少ない・・、圧倒的な少数派といってよく、およそ2割程度くらいだろうか。
そして、残りの8割が「TRアンプ」派というわけだが、その中でも二種類に分かれるように思う。
一つは「真空管アンプを使ったけど気に入らなかった」・・、もう一つは「最初からTRアンプを使っていて、もうすっかり音質に慣れ親しんでいる、そもそも真空管の良さなんて教えてくれる人もいないし、それにやたらに値が張るし、トランスがどうのこうのと面倒くさいしね~」
で、個人的には後者の「食わず嫌い」派が圧倒的に多いと思っている・・、これは問題だと思うよ~。
オーディオは選択肢が多ければ多いほど確実に音質が向上するのにもったいない、しかも音質を大きく左右するアンプなんだからもっとシビアになってほしい・・、まあ要らん世話だけどねえ~(笑)。
そこでの話だが「食わず嫌い派」にとって前々回の記事はよほど興味があったと見えてなかなかの好調なアクセスだった。
少し穿(うが)った見方かもしれないが「真空管アンプ一辺倒のブログ主がTRアンプの良さにようやく目覚める」、そういうドラマの展開を期待したいのかな・・、ふっ、ふっ、ふっ、そうは簡単に問屋が卸しませぬぞ~(笑)。
という前置きのもと、
TRアンプの試聴を兼ねてオーディオ仲間のYさんがお見えになったのは去る日曜日(31日)のことだった。
実際にフルートを演奏される「Y」さんは我が家のオーディオのご意見番としてとてもありがたい存在だが、れっきとした現役として活躍されているので、なかなか日程の折り合いがつかなかったが、ようやく陽の目を見た。
お好みのシステムは先刻承知なので、まずはご機嫌麗しくとはじめに「AXIOM80」を聴いていただいた。駆動するアンプは、これまたお気に入りの「LS7」シングルアンプ。
サブ―ファー「ウェストミンスター」(改:200ヘルツ以下)には「モノ×2台」のTRアンプをあてがった。
まずは持参されたCDを鳴らしてみた。
「6トラックのエリー・アメリング(ソプラノ)を聴かせてください・・」とYさん。
鳴り始めて数秒後に「これは素晴らしい! この独特の潤いと艶は我が家のシステムではとても出せません・・。1千万円の値打ちがある音だと思います」と手放しの絶賛振り~。
そして「200ヘルツ以下を受け持つTRアンプもまったく違和感がありませんよ」
たしかに・・、不遜ながら自分もそう思った。スピーカーとアンプとの絶妙のコンビじゃないとこういう音は無理でしょう・・。
ただし、個人的にはこういうすべてを「白日の下(もと)にさらす」ような、リアルな感じの音は長時間の試聴には不向きだと思っている。
のんびり、ゆったりできないのが難点で日常的にはあまり使いたくないスピーカー・・、やはりオーディオは難しい(笑)。
で、低音域の起用については見事に合格したTRアンプだが、他の2台のTRアンプをフルレンジ「スーパー10」(植木鉢容り)に起用して聴いてみた。
結論から言うと結構いい・・、音にうるさくならなければこれで十分、ただしわざわざ真空管アンプを排してTRアンプに代える必要はいっさいない・・。
そしてTRアンプといっても「十把(じっぱ)ひとからげ」というわけにはいかないようで、左側のアンプは真空管アンプの音色に近かったのには驚いたが、右側に比べて少々パワー不足かな・・、その一方右側のアンプはパワーは十分だけど分解能がイマイチのような気がして・・、いろいろと個性がありそう。
ふと、レコードとCDの関係と対比したくなった。
CDはレコードに負ける・・、ただし不十分なレコードシステムと十分なCDシステムとの勝負なら後者が優る。
同様に、TRアンプは真空管アンプに負ける、ただし不十分な真空管アンプは十分なTRアンプに負ける・・、という構図です。
ただし、今回のケースではプリアンプに真空管式を使ったうえでの実験なので、そのせいでTRアンプっぽい色彩が随分緩和されたように思っている。
最後に・・、しっかりしたTRアンプを購入して低音域専用に使うのは十分にありだと思いますが、(「高次倍音」の再生力の点で)全面的な「真空管アンプ」から「TRアンプ」への宗旨替えはいっさいありませんので念のため~(笑)。
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