前回からの続きです。
24日(水)に福岡の「音と”ものづくり”資料館」(以下、資料館)に持ち込んだ、我が家の故障した真空管(出力管)は、下記の通り。(再掲)
WE-300B(アメリカ)が1本、PX25(イギリス)が5本、VV52B(チェコ)が3本、GD4-300BC(中国)が1本で、全部で10本。
かなり本数が多いと思われる方がいるかもしれないが、20年間ほどの足跡(?)だから、だいたい2年に1本の割合で故障していったことになる。ほとんど毎日、真空管アンプのスイッチを入れているので、(故障のペースは)まあ、こんなものかな?
しかし、中にはいきなりウンともスンとも言わずに、急に音を出さなくなった真空管もあり、万一何らかの「秘法」でもって蘇ってくれればと、祈るような気持ちで、この資料館の主宰者で真空管のオーソリティである「H崎先生」に診てもらったわけだが、これが予想以上の大成功だった!
当日は、あまりにも本数が多いため真空管測定機にかける時間の余裕がなく、そのまま「H崎先生」に預けておいて帰途についたところ、翌日の25日(木)の午前中、(「H崎先生」から)我が家に電話がかかってきた。
「故障していたWEー300Bが見事に蘇りましたよ。実測したところ、わずか20mAの電流しか流れていませんでしたが、処置を施したところ規格値80mAのところを、ほぼ新品並みの78mAの電流が流れるようになりました。念のため自宅のアンプで鳴らしてみたところ、朗々たる音で鳴っています。完璧です。GDの4-300BCも同様に良くなりました。」
「ワァ~、先生ほんとですか!まさか生き返るとは予想もしませんでした。ほんとうにありがとうございました。」
しばらく、とても言葉では言い表せないほどの喜びに浸った。
ここで、金額のことを持ち出すのはけっして本意ではないが、喜びの深さを知っていただくため、あえて記載させていただこう。
このWEー300B真空管は製造番号が「139」とあって、1950年代の製品で「オールド」と称されるものである。
10年以上も前にペアで16万円で、三重県のとあるウェスタン専門のショップから購入したものだが、現在では何とオークションで1本20万円以上の高値がついている代物。
ただし、「はたして値段ほどの音質なのか」となると、これは別問題。今や300Bの真空管は中国製をはじめいろんな種類の類似管が巷に氾濫しており性能の方も研究熱心なメーカーもいてバカにならない。
したがって、オリジナルで聴いているという安心感、誇らしさも値段のうちと思えばいいのかな。「病は気から」という言葉があるが「音は気から」(笑)。
さて、その300Bだが3年ほど前に、1本だけ音が急に”か細く”なって雑音が出始めた。
当時、「おかしいなあ、長寿命で有名なWE-300Bがこんなにアッサリ悪くなるなんて」と思ったものだが、現実に明らかに故障の症状を呈し始めたのだからどうしようもない。とはいえ、捨てるに捨てきれず泣く泣く部屋の片隅で死蔵の状態で保管の憂き目に。
それが今回の「秘法」で見事に蘇ったというのだから「20万円丸儲け」の、この嬉しさを分かっていただけようか。
おまけに、同様の方法で中国製のGD4-300BCまで良くなったのだからもう言うことなし。
また、「H崎先生」からは、「残るPX25の5本についても慎重にエージングしながら回復を図ってみましょう」とのことで、「先生、是非、ぜひお願いします」。
さて、「H崎先生」の真空管を蘇えらせた「方法」についてだが、概略お聞きしているのだが実際に見学していないので正確を期する必要があり記載は後日ということで。
そもそも、誰もが自由に見れるブログに記載する以上、公開ということになるが、はたしてスンナリ公開していいものかどうか、「H崎先生」に事前のご同意を得る必要もある。
この方法は個人的にはこれまで読んだ中で、どの本にも記載されておらず、どんな方からの口伝えでも聞いたことがないが、明らかに「盲点だった」と、納得できるものである。