「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

名器「ストラディヴァリ」の秘密

2014年05月12日 | 音楽談義

「先日、NHKのBSでストラディヴァリの番組がありました。ご存知かと思いますが、ストラディバリとはイタリア・クレモナで名工ストラディバリが製作したヴァイオリンの名器で、それを扱った番組でした。ゴールデンウィーク直前の放送でしたが、ご覧になった方はおられますか。」

                        

これは、去る4月5日(土)に我が家に試聴に来てくれた高校時代の同級生たち(福岡組3名:U君、S君、O君)うちのU君から、音楽家のOH君を含めて4名に対する配信メール。

しまった!どうやら貴重な番組をウッカリ見逃してしまったようだ。「残念です。観ていません」と返信したところ、
S君からさっそく反応があった。

「観ました、聴きました、且つ録画しました。面白く興味深い内容でした。色々な角度から検証していましたねぇ~。それでも、人間の歴史の中で科学万能の現世においてさえも再現出来ない様ですね。職人魂(霊)の為せる 技(術)でしょうか?」

続いて、桐朋学園大学を卒業して指揮者として武者修行のため渡欧したOH君(現在は福岡で音楽アカデミー開設:ブログ  jmc音楽研究所最新情報 ←クリック可能)から興味深いメールが入った。

「私の留学はザルツブルグ・モーツアルテウム音楽院の夏期講習から始まったのですが、ザルツブルグ音楽祭を初めて聴いたのがカラヤン指揮の<アイーダ>でした。(幸いなことに、宿の主人がチケットをゆずってくれたのです)

全ての点で余りにもスゴくて《ブッ飛ばされた》ことを覚えています。この時、舞台上で演奏された(古代の)トランペットがYAMAHA製だと聞きました。ヤマハが管楽器を手がけた最初の事例でしたが、結果は良かったと思います。

この時、ヤマハはヨーロッパの金管楽器の名器を入手して、全ての部分の厚みの変化や、金属の質などをコンピューターで分析しながら開発したと聞きました。この方法で、それ以後のヤマハの金管は優れたものを作っています。

その後、ウィーンのスイートナーのクラスで学んだのですが、あるとき日本から帰国したばかりのスイートナーがヴァイオリンを抱えて教室にやってきました。

“使ってみて欲しいと言われて、ヤマハから預かって来た”と言って楽器を生徒に見せ、ヴァイオリンの生徒が弾いて“うん、いいイイ”と言っていました。

後で聞いた話ですが、ヴァイオリンの銘器をコンピューターで詳しく分析して、そのように作ろうとしたそうです。しかし、どうしても本物に近い楽器にまでは作れなかったようです。金属では成功したのですが、(自然の)木が相手ではコンピューターも分析しきれなかったように思います。


また、ヤマハの工場に行った時、聞いた話ですが、スタインウェイを入手して、全てバラバラに分解してから、組み立て直すと<ヤマハの音>になってしまったそうです・・・やはり職人(名工)の『感性』が重要な鍵を握っているのでしょうか。」

すると、S君から再度のメールが配信。

「大変興味深い面白い返信を頂きありがとうございます。随分前から銘器の解析は為されているんですねぇ~。U君ご紹介の番組でヤマハの例が取り上げてありました。銘木を銘器のレベルまで経年変化させる技術でした。

その他、世界各地での取り組みが紹介されてましたが少しずつ近づいてはいるけれども、まだまだ人間の感性技には遠いようですね。将棋の世界ではコンピューターが人間を負かしているようですが、こうはなりたくないですね~。」

そういえば人間の感性技が重要なカギを握っている例として往年の名器とされる「マランツ7」にまつわる話を思い出した。

「マランツ7」といえば、1950年代の初めに市販のアンプにどうしても飽き足りなかった大の音楽好きの「ソウル・B・マランツ」氏(アメリカ)がやむなく自作したプリアンプの逸品である。

ある専門家がそっくり同じ回路と同じ定格の部品を使って組み立ててもどうしてもオリジナルの音の再現が出来なかった曰くつきの名器だと、ずっと以前のオーディオ誌で読んだことがある。

この「マランツ7」は一時所有して実際に使っていたものの、真価が発揮されるのはフォノイコライザーなので現在はレコード愛好家のO君の手元にある。

感性技が求められるオーディオ機器の典型的な例として挙げてみたわけだが、これを敷衍(ふえん)すると、一つの課題が導き出される。

それは「オーディオ機器の製作に携わる方は少なくとも音楽愛好家であって欲しい!」

大学の工学関係科を卒業したというだけで音楽に興味を持たない人たちが(メーカーで)機器づくりに携わることは、まるで
「仏(ほとけ)作って魂入れず」、使用する側のマニアにとってはもはや悲劇としか言いようがないのだ(笑)。

さて
、「ストラディヴァリ」関連のメールのやり取りはこれで終わりではない。さらに興味のある論争が続くが、長くなるので次回へ持越し~。

それにしても今回のブログは随分と“楽”をさせてもらっている。コピーをし“貼り付け”して、upすればいいだけだから。他人の褌で相撲を取らせてもらって、まことに申し訳なし(笑)。

 


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