「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~舌の根も乾かないうちに~

2011年06月21日 | オーディオ談義

16日の木曜日、夕方のこと。

丁度、大分方面にご用事が出来たとのことで、その帰りの道すがら湯布院のAさんが自宅に立ち寄ってくれた。

「ほら、真空管を替えるとこんなに音が変わるでしょう」なんて言いながら二人で試聴するうちに、ふと自作のSPボックスに収納しているフォステクスのウーファー(SLE-20W、以下「SLE」)3発の間に仕切り板を入れるとどういう音になるのだろうかと思いついた。

                      

ちょっと低音が膨らみ気味に鳴っているのが以前から気にかかっていたのだが、お客さんと一緒に聴いているとなおさら浮き立つので不思議。

前回の「ブロ愚」で、偉そうに「ようやく思い描いた音になった」なんて書いておきながら、その「舌の根も乾かないうちに」この感想!

まったく「恥も外聞もなし」、我ながら呆れてしまうが、とにかく今よりも(自分にとって)「いい音」になればそれに越したことはない。

目前のAさんに相談してみると、一考の後
「やってみる価値はあるでしょうね。とにかくSP周りはネットワークを含めてちょっといじるだけで、大幅に変わることはたしかです」。

思い立ったが吉日、「駄目なときは元に戻せばいいや」と、気楽な気分ですぐに翌日早朝から行動開始。

”どっこらしょ”と、SPボックスを倒して裏蓋を開けて仕切り板をどういう具合に入れらいいか実際に確認してみた。

    

幸いなるかな、丁度SPユニットの境目に2本の3cm四方の”さん”が入っていたので、この真下に板を挿入するとうまくいきそうだ。

慎重に寸法を測って、近くの量販店に走って木材をカットしてもらったが、あまりにきちんと切りすぎたため、実際に挿入してみるとキチキチでうまく嵌らず、再度、量販店に行ってmm単位でカットしてもらった。

今度はうまくいって、長いネジと二股の釘でガッチリと仕切り板を固定した。

     

あとは例によって、吸音材の「羽毛」を個室ごとにぎゅうぎゅう詰めに押し込んで、無事終了。

書くと簡単に済んだようだが、左右両チャンネル分なので、ようやく作業が完了したのは14時ごろだった。昼食を挟んでのことだったので、実質作業時間は5時間半といったところ。経費は木材の購入費+カット代でおよそ3000円なり。

さ~て、どういう風に音が変わるかな~。

オーディオマニアならお分かりのとおり緊張と期待が入り混じってドキドキする何ともいえない気持ち。

試聴盤は歌劇「マクベス」(ベルディ作曲)。

オーケストラの豊かな響きと迫力のあるボーカル(フィッシャー=ディースカウほか)が程よく混じった名盤。

いやあ、素晴らしい!低域のふやけたようなイヤな膨らみが見事に取れたのには驚いた。そのおかげで低域の分解能が向上し、楽器の音色がくっきりと浮かび上がる。

どうやらこのSPユニットさんは集団生活よりも個室をあてがったほうが快適だったようだ。

小躍りしてすぐにAさんに連絡すると翌18日(土)の午前9時過ぎにお見えになった。


持参されたのがジャズファンにはお馴染みのホリー・コールの「テンプテーション」(1998)。

         

知人からいただいたCDだそうだが色気たっぷりの女性ボーカルに背筋がゾクゾクするが、バックのピアノとベースも見事に録れていて試聴盤にはもってこい。

「ハートレーのウーファー(口径64cm)で聴いたときのよう
な部屋の空気の揺れらしきものを感じます。見事な低音です。いやあ、こんなに変わるなんて思いませんでした。こりゃあ○○さん(自分のこと)、頬が緩みっ放しで笑いが止らないでしょう?」

「そうですね。狙いがバッチリ当たりました。こういう低音が出るのなら、アルテック403Aの3発入りのボックスはもはや不要で製作中止です。


以下、やや専門的になるが独断も交えてうまくいった原因を分析すると次のとおり。

☆ SPボックスの剛性が高まった

仕切り板を入れることで、SPボックス全体の剛性が高まり不要な共振が少なくなった。そのせいでウーファー自体はもちろん、中高域の「アキシオム80」までもが一段と澄んだ音になった。

☆ 各ユニットの役割分担が明瞭になった

現在のSPユニットのおよその周波数の分担は次の通り

40ヘルツ以下    スーパーウーファー

40~200ヘルツ   フォステクスSLEー20W~3発

200~1万ヘルツ   アキシオム80 

1万ヘルツ~     ツィーター(JBL075) 

中高域の「アキシオム80」はユニット自体が2ウェイ方式だから、今のところすべての可聴帯域を5ウェイで聴いている勘定になるが、SLEの分担域についてはおよそ「ミッドバス」(低中音域)に当たる。

結局、このミッドバスの音が締まったために、上方(中高音域)と下方(最低音域)への干渉が大幅に減って濁りが取れたというわけで、特にスーパーウーファーの音域が明瞭になったのが大きかった。


それにしてもSLEの性能には改めて驚いた。強力なアルニコマグネットとエッジレスのメリットにより音声信号への的確な追従性は「アキシオム80」のスピードにピッタリついていくほど。

ところでAさんはさすがに超がつくオーディオマニア、「こんなに良くなるのなら、SLEを4発にするとどうなるんでしょう?」

ウ~ン!

Aさんは既にSLEを12本購入されており、自分もあと4本スペアを持っている。

ユニット4本(片チャンネル)にすると理論上は口径20cm×√4だから40cm口径のウーファーに匹敵することになり、魅力が一段と増すが、インピーダンスの低下(8Ω÷4本=2Ω)によりアンプの負担の増加などいろんな課題も見えてくる。

ひとつ、じゅっくり腰をすえて考えてみることにしようか。


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