「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~「真空管アンプ熱中人」

2010年09月21日 | オーディオ談義

「明日(17日)の金曜日に佐久間式真空管アンプの特集番組があるの知ってる?」と高校時代の同窓のU君からメールが入った。

「えっ、全然知らなかった~、教えてくれてありがとう、感謝感激!」

やはり持つべきものは友人である。危うく大事な番組を見逃すところだった。

NHKーBS2「我ら熱中人」(夜の10時45分~11時)。

早速録画して番組をじっくり観た。

番組の主役である「佐久間 駿」(さくま すすむ)さんは真空管マニアなら一度は耳にしたことがあるはずの有名な方。

およそ20年ほど前に著作の
「直熱管アンプ放浪記~失われた音を求めて~」を購入して読んだことがある。手元にないので倉庫に入って探したところやっと見つけた。

        (画像クリックで拡大可)

この本で知る限り、たいへんジャズがお好きで「お気に入りの音」で聴くためにWE300Bなどの銘管を使って次から次へのアンプづくりのノウハウが主体になっているので完全にハードのマニア向き。

自分は真空管アンプを愛好するだけなのでオーディオ的関心からザット目を通しただけだったが、当時、館山市〔千葉県)の「コンコルド」(レストラン経営)で樽入りローサー〔1本)で聴かれているジャズと真空管アンプへの愛情と熱気が十分伝わってきた。

ただし、これはあくまでも想像の範囲だがあまり周波数レンジを欲張らない昔の音で録音されたソースをそのまま忠実に再生するのが目的といった印象で、CD時代の広い帯域を持ったソースの再生には向いていないアンプという読後感を持った。

もちろん、この辺は好き好きの世界なので良し悪しの問題ではないが、自分は低域から高域まで十分レンジが伸び切ったワイドレンジの音が好きなので、「佐久間式真空管アンプ」はその点でやや不安という受け止め方が正直なところ。

さて、今回の番組の内容である。〔画像クリックで拡大可)

           

「一曲につき一つのアンプ」という贅沢(?)主義のもと、今回は秋葉原の専門店で真空管VT51〔送信管:通称841)を発見し、北島三郎の「兄弟仁義」を聴くためにアンプを作るという話。

特筆すべきは、「縛られるのがイヤ、その中に閉じ込められるのがイヤ」で
設計図、配線図を引かないで自在にアンプを作るというのには驚いた。

なお、余談だが、番組中、WE300Bのオールド〔1956年製)が1本17万円と出ていた。近年発売の復刻版のWE300Bがペアで7万円前後なのでまるで段違いの差だが、そんなに5倍もするほど音質に開きがあるんだろうか。

それにしても15年ほど前に1950年代のWE300Bを17万円(ペア)で購入した記憶があり、2倍以上の値上がりなのでビックリ。


さて、この番組を観た友人たち(3名)からいろんな意見が寄せられた。無記名で引用させてもらおう。無断掲載、ゴメン!

「回路図、配線図無しで本当に出来るのかなあ。
ただ、裸銅線でアース母線を張り、1点アースとしているのは彼のアンプ製作人生から生まれたテクニックと納得。
千葉・館山のコンコルドはアンプの聴き比べ会場として有名なようで、雑誌(無線と実験)の中で見た記憶があります。」

「いや~、私的にはいい取材とは思えなかったデス!
いかにも、真空管を懐古趣味的な「マスゴミ」の扱い~チョッと不愉快!
サンバレーさんが、頑張ってあるように、ビンテージアンプを現代に
復刻したすばらしい真空管アンプの世界があるのです。
そのように、紹介して欲しかった!

「色々な(真空管)アンプを所蔵して、それぞれのアンプがどんな音だしをするか楽しみで、いざ試聴しようとするところで目が覚める夢を時々見ます。(しかし目覚めはさわやかです~)
○○君が知らせてくれた番組を観ていて、何か私の“夢”の一部を観ているような気がしました。それにしても、この広い世の中には色んな凄い方がいるもんですね!」

最後に自分の意見を。

15分という番組はちょっと短すぎる印象。佐久間さんはたしかに名人クラスだろうが、「こだわり」という面ではトランスのカバーを鉄製から木製に替えるなど「モノスゴイ」アンプづくりの名人たちをほかにも知っているので、広い世間にはまだまだ佐久間さん級の方々がいらっしゃるような気がする。

それから、中段の意見のように一般的に真空管というデバイスを懐古趣味で片付けがちの傾向があるのはたいへん残念なこと。自分なんかは現代のデジタル録音にも十分通用する音質上のメリットを明らかに感じるので嬉々として使っている。

特に、中高域にかけては実にvivid(生々しい)で艶(なまめ)かしくて抜けのよさを感じるところが一番の特徴。この辺は同価格帯のトランジスターアンプでは絶対出せない味わいがある。

とはいえ知人の説によると、トランジスターアンプではたとえば出力100ワットの場合、せいぜい聴くときは10ワット程度の小出力なので、それが音が悪くなる原因の元で、能率の低いSPを6~7割程度のレベルで駆動するときが一番音がいいと聞いたことがある。

そこで今年に入ってマイナーだが良心的な会社が製作した出力10ワットのトランジスターアンプを購入して聞分けたところ、意外と善戦したがまだ真空管アンプに「一日の長」があると思った。ただし値段の方は真空管アンプのほうが6倍程度だったので同列の比較は酷というものだろう。

ともあれ、現在真空管アンプを5台所有し、うち2台(「PX25」と「2A3」シングル)しか使ってないので、上述したWE300B シングルを含めて3台がお休み中。

勿体ない限りだが、いずれも愛着があって予備もかねているので処分する気にならず、結局、このままズルズルと「宝の持ち腐れ」になっていくんだろうか?

 


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