赤羽じゅんこの三日坊主日記

絵本と童話の本棚
日々のあれこれと、読んだ本のことなど書いていきます。

Sunny 松本大洋

2014-01-25 19:21:41 | 日記
ドラマ「明日ママがいない」が話題になっています。児童養護施設の描き方が過激だとか、主人公のポストという名前がどうだとか。

そんな話題を家でしていたら、娘が松本大洋の漫画『Sunny』がいいと教えてくれました。
これも児童養護施設を舞台にしたもので、漫画です。作者の松本大洋自身、子どもの頃、そういう施設にいたことがあるとか。渾身の作だと、アマゾンでは話題になっていました。
作者が経験者のせいか、全体的にウソのないような、描き方です。子どもたちが秘めた淋しさも、それをあえて強調するのでなく、さりげなく盛り込んでいます。
「かあちゃんに会うの、こわいねん。会ったら、別れなきゃなんねえだろ」
「会いたいのに、会いたくないねん」
そんな会話……。


そして、松本大洋の絵がまた、アートっぽくて、雰囲気をだしています。第一巻目のこの子は、ホワイトと呼ばれていますが、なにも見ていないような、遠くを見ているような、不思議な表情をしています。鼻をたらしていたり、よだれまで書いたり、きれいな絵ではないのですが迫力があり、カラーページなどはいつまでもながめていたくなります。

ただ、はっきりしたストーリーがなく、どちらかといえば感じとる部分が多い作品なので、好き嫌いはあるかも。舞台はきっと昭和の時代なのでしょうか。どこかのんびりとしています。

児童文学がかく養護施設の話は、なんていってもイギリスの『トレーシービーカー物語』がおすすめ。
からっと明るく、とてつもなく元気でワイルドなトレーシーが、魅力いっぱい。

今、テレビは視聴率競争が激化しているように思えます。
低迷したら即、打ち切りとか話題になるし、視聴率がいいと蝶よ花よと持ち上げられて。
作り手は大変なプレッシャーを受けるでしょうね。
そこまででもありませんが、本の世界も似たような所もあるかもしれません。
児童書は、まだ、ちょっとあったかさも残っているかな? 残っていてほしいな。