赤羽じゅんこの三日坊主日記

絵本と童話の本棚
日々のあれこれと、読んだ本のことなど書いていきます。

ジェンナーーー奇跡を生きる少女

2012-07-13 08:51:57 | 日記
夢中になった本に出会いました。『ジェンナ』メアリ・E・ピアソン 三辺律子・訳

ミステリータッチのSFです。ジェンナは、事故のせいで記憶がありません。かつての自分がうつっているDVDの動画を見て、記憶をつくっていきます。両親の愛と期待をいっしんにうけて育ったジェンナがそこにいます。
でも、暮らしていくうちに、少しずつ違和感に気づいていきます。なぜ、祖母はわたしをさけるの? なぜ、普通の学校に行けないの? 頭の中でひびいている声の意味は何?

そのなぞにひきつけられ、一気に物語にひきこまれ、読んでしまいます。

わたしはどんな子なのでしょう? それは、記憶があっても立ち止って考えてしまうものです。かくゆうわたしだって、ブログを書くわたし、昔の友人と話すわたし、母と話すわたし、義母と話すわたし・・・・と、少しずつちがっています。同じわたしのはずなのに。

DVDにうつっていたのは、両親の期待にそわなきゃっと必死になっていたジェンナ。そのジェンナが、驚きの事実を知り、それを乗り越え、新しい自分をつくっていく前向きさがたのもしく、心に響きます。

SFの世界観も新しいです。もしかしたら、こういうことが事実おこっているのかもと思わせてくれます。

この本を知ったのは、読売新聞のひこ・田中さんの紹介からです。ひこ・田中さんの紹介文は、いつもその本をたくみに読みたくさせてくれます。沢木耕太郎さんの映画批評もそう。あまりに紹介文がうまくて、期待値があがりすぎちゃうことも、たまにありますが。

この本を読んで、ああ、翻訳はおもしろいなっとひさしぶりに感じました。日本の児童文学は、ライトノベルの影響が大きい中、器が小さくなってきてるのかもしれません。
とくに三辺律子さんの訳するものには、はずれが少ないようです。
この頃、本を読む速度は落ちてきてるのですが、今年は、翻訳本も注目して読んでみようと思いました。