昨年からバルト11で上映している『午前10時の映画祭~デジタルで甦る永遠の名作』は、さすが名作ばかりで『観たい、行きたい』とずっと思い続けていましたが・・・・なんせ、午前10時という開演時間は、サラリーマンにはハードルが高い。
だいたい1週間限り、せいぜい2週間という短期間上映では、さらに厳しい~。
でも『1度スクリーンで見たかった。もう一度スクリーンで見たかった』というキャッチコピーが、胸をくすぐります。なのに見逃してばかり。
これは絶対に行きたいと、春先から思い続けて、2年越しでやっと行けました。
その映画は『日の名残り』
想定外のノーベル賞を受賞したイギリス在住のカズオ・イシグロのブッカー賞受賞作の映画化です。
イギリス貴族の大邸宅で執事としての仕事に、身も心も仕事に捧げている初老男性がアンソニー・ホプキンス。本心を出さない抑えた演技は『羊たちの沈黙』のレクター博士とはベツモノです。
1930年台(第二次世界大戦前あたり)のイギリスの貴族の大邸宅の様子が、ものすごい。
部屋数から使用人数から調度品から、どれもため息もので、さすがイギリスのザ階級社会。
何が起こるというわけでもないのですが、静謐・品格・厳粛・気品そういう2文字の漢字が、じわじわぁとしみ出てくるような映画でした。
観終わったあと『いい映画みたなぁ』と、しみじみ満足。
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スクリーンで観れたなんて羨ましい!
ロンドンに行く娘には「カズオイシグロ読んでおかないと、ロンドンに住む日本人の資格ないよ」、と本を持たせました。
同じように貴族の邸宅ものでも、ヴィスコンティのイタリア貴族とは、雰囲気がちがってました。
イギリス映画好きの私はもちろんこちらが好み。
イギリス留学の娘さんにカズオイシグロを持たせる!
その発想、さすが!もものすけさん(笑)
ところで、どの作品をもたせたんですか?
カズオイシグロは著名な作品は読んでなくて、彼の長編作品で唯一なんの賞もとっていない『忘れられた巨人』だけ読みました。
この人の寂寥感あふれる文体はすごい。
って、翻訳で読んだので、多くを語れないが(爆)
「日の名残り」は最後に執事が気付く「想い」のところが印象に残っています。これが映像だとどんなだろう?!観てみたい!!
「わたしをはなさないで」は綾瀬はるかちゃんと水川あさみちゃんでドラマになりましたよね。三浦春馬くんもいたかも。
娘さんには、それ全部読め!って、ことですね。
私は初カズオイシグロが『忘れられた巨人』で、中世の荒野を旅する孤独感が、ひしひしと伝わってきて、読後感がものすごく寂しかったものです。