民主党の議員の質問に対して、中谷防衛省は集団的自衛権行使の判断基準として「邦人が米艦船に乗っているかどうかは絶対的な条件ではない」というとんでもない答弁を行った。
安倍首相は、米艦船に日本人母娘が避難している場合に防護ができないのか、と感情に訴えていた。
これも集団的自衛権を行使するための「方便」だったということである。
「戦争法案」の答弁は、あまりにも抽象的で、すこし具体的になると、すぐにウソとごまかしが明らかになってしまう。
これでよく衆議院で可決したものだとつくづく思う。
自民・公明の衆議員が「イエスマン」ではなかったのか?
参議院の辰巳孝太郎議員の質問は、2004年からの自衛隊のイラク派遣では、「輸送総力の99%を民間輸送力に依存」と書かれていた問題をとりあげた。
ということは、「戦争法案」では自衛隊員だけではなく、多くの民間事業者、民間人が兵たん活動に参加することを意味し、法案で「非戦闘地域」をなくして、「戦闘地域」にも行けることになる。
実際、日本航空も一度だけ参加したことが明らかになっている。
「戦争法案」では、アメリカ軍への武器弾薬を「戦闘地域」まで輸送し、さらに負傷者救出に「戦闘現場」まで行けるとなると、自衛隊員だけではなく、多くの民間人も犠牲になってしまう。そこでの労働者の「安全確保」はまったくない。
厚労省は「海外であるため労働安全衛生法は適用されない」と答弁した。
今年の11月には米海兵隊の実弾射撃訓練が矢臼別演習場で行われる。これにも民間輸送業者が多く関わっている。とりわけ兵士は民間航空機で輸送される。一部は民間の定期便に同乗している。
軍人が乗ると国際条約の保護から外れる。
国際民間航空条約
第3条(b)軍、税関及び警察の業務に用いる航空機は、国の航空機とみなす。
「戦争法案」は、自衛隊員だけではなく、民間人の「戦死者」をつくりだしてしまう。