災害に対処するのは「消防」であり、本部は「自治体」に設置する。そして、この本部のもとにさまざまな情報が集中し、指示がでる。
・・・はずである。
ところが、陸上自衛隊が中心になり、アメリカ、オーストラリア軍が参加する。
ノーザンレスキューである。去年の「南海レスキュー」に次ぐものだ。
何かおかしい・・・ 今まで、議員として災害訓練に携わってきた私としては、最初に思った。
大規模災害に対しては、本部が中心となることは、当たり前であり、司令部が複数あったら、大混乱を起こす。自衛隊が災害に動く場合は、あくまで、この対策本部が中心にならないと、混乱を起こす。とりわけ「軍隊」は、縦からの命令で動くから。
大規模災害においては、北海道庁の計画がある。
その中に「米軍」や「オーストラリア軍」の計画はない。
道の計画を飛び越えて、自衛隊と外国軍の災害訓練を行い、それに市町村自治体が協力する。
本末転倒ではないか。自治体の計画すら無視している。
そもそも災害は「消防」が対処するものであり、大規模災害に対しても東京の「ハイパーレスキュー」の活躍は、私たちの記憶に新しい。
この「ハイパーレスキュー」をもっと充実させることこそ、重要な課題である。
「特定秘密保護法」以来、自衛隊の秘密保護もますます広がっている。
救援する自衛隊そのものの「秘密」のベールが広がることは、災害とはまったく相反することである。
そもそも自衛隊に災害用の機器・装備があるのだろうか。
十数年前、元自衛隊幹部がある雑誌に、「誤解されては困る。自衛隊に災害救助専用の装備はない。あくまで戦闘用の装備を『流用』するもの」と書かれていたことを思いだした。
東日本大震災での自衛隊員の活躍は大きく報道され感謝されたが、迷彩服を着用しての救助は、被災者から見えにくい。遭難している人から見えない、という批判があった。迷彩服は敵から見えにくくするものであり、被災者は敵ではない。
消防のレスキュー隊は非常に目立つ色になっている。
大規模災害訓練は、本来の計画に戻るべきである。
「災害」と名を付ければ、市民的理解をえられるだろう、という考えは浅はかである。私は「隠れた軍事訓練」としか思えない。
日本の「ハイパーレスキュー隊」をもっと大きくし、海外レスキュー隊として派遣すれば、どれほど感謝されるか。これが「9条」にもとづく国際貢献ではないか。