ヒトがはじめて身につけたものは、
衣服や腰巻、ふんどしではなく
帯といわれている。
携帯という文字通り、
腰に巻いた帯(はじめは縄ひもであろう)に
狩の道具などを引っ掛ける目的がある。
そのうち人も服を着るようになってくるが、
毛皮時代を過ぎて、ようやく機を織るようになる。
南国の木綿織りならば、広幅の長方形に織って
体に巻くだけで服になる。
日本は木綿の栽培には涼しすぎるため、自生もしている大麻草を利用する。
ただし、アサは体に巻くには硬いため、
シンプルながら形を作ったほうが着やすい。
それが、頭からすぽりとかぶる貫頭衣で、
きもの以前の服のかたち。
広幅に織ってから穴をあけるのではなく、
はじめから、正中線から二の腕までの
約35cm幅で織ると、組み合わせて作業しやすい。
織り幅の耳を切らないことで、端処理が要らなくなるから。
貫頭衣は頭を通す隙間があるが、
着てからはそこが前後にずれやすい。
それを防ぐのも帯の役割。
元々の帯は手編みでひもに近いが、
機を織るようになると幅が広がってくる。
幅があって、服と触れて摩擦が多いほうが
よりずれにくい。
騎馬民族、遊牧民は腰に帯を締めることで
馬上の揺れによる胃下垂を防いでいるともいわれる。
現在のきもの帯は装飾的な意味合いが大きいが、
帯には前述の通り、道具の携帯、衣服のずれを防ぐ、
内臓を支えるという機能、そして何より
氣持ちを引き締めることにつながります。
コルセットのようにウエストを締め上げるのではなく
腰骨の高さできゅっと結ぶのがおすすめ。
洋装の方も、中にくんと帯が締めてあると
心身の安定につながると思います。
さらしや浴衣地を2mちょっとで裂くだけでも帯になります。
中心をお腹に当て、後ろで交差してから
正面に戻って結びます。
ぜひ試して、違いを体験ください。
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