ヒトラー ~最期の12日間~ スペシャル・エディション日活このアイテムの詳細を見る |
♪「ヒトラー~最後の12日間」
公開当初から観たかったが、機会がなく(一人で行くのもつまらなく)見逃してしまっていた作品。最後の最後に、戦況に対する判断力もなくなり軍首脳の意見も聞かず、国民を救うことにも気が回らず全将兵に徹底抗戦を命ずる狂気のヒトラー。しかし同時に愛人エヴァや女性秘書、側近の家族には親愛の情を見せる。そして自ら命を絶った後の死骸を、連合国側に晒さないよう徹底的に焼き尽くすよう指示する冷静さも持つ。まさに狂人でありながら人間としての弱さも併せ持つヒトラーを克明に映し出した作品だ。
戦争の愚かしさや悲惨さを淡々と描いており、観ていて悲しく辛くなる。なんで人間は戦争をするのか、なんでドイツ人はヒトラーの異常さに気づかなかったのか、子供まで巻き込む争いはもう沢山だ。この映画はドイツ人が自ら作った、ドイツの狂気の時代の映画だ。日本人にはこういう映画を作れるのだろうか。今までにはなかったように思う。一概には言えないが、その辺が「日本人の歴史観」の限界なのかもしれない。
それと最後のエンディングに出てくるのだが、当時のナチスSSの関係者がつい最近まで生きていたことに驚いた。この話しの語り手である女性秘書はまだ健在だ。もっとも戦後60年しか経っていないのだから、当たり前のことだ。このナチスの生き証人たちは、後世の人々に何を語り何を残したのだろうか。とても興味深い。
ヒトラー役を演じたスイス人のブルーノ・ガンツは「もうドイツ人の役はやりたくない」と語ったそうだ。然もありなん。でも今度日本映画「バルトの楽園」にドイツ人将校役で出演する。この映画は第一次世界大戦時に、日本で始めて「第九」を唄ったドイツ人捕虜の収容所の話し(松平健が主演)。今から楽しみな映画だ。