呑む気オヤジ/蔵王山麓蓬莱庵便り

蔵王山麓暮らしのオヤジの日記。合唱も映画もドライブも温泉も、たまには俳句も・・・😄

呑む気オヤジの、読む!~「羊の目」

2012-07-22 | 本の話
羊の目 (文春文庫)
伊集院 静
文藝春秋



♪「羊の目」伊集院静著 文春文庫

今、同じ仙台の地に住み、言ってみれば「同じ土地の空気を吸っている者」という親近感があり、伊集院静の「大人の流儀」は2巻とも読んだ。(2冊とも感想をアップしています)
書店で本書を見かけ、「そういえば伊集院の本格的小説ってあんまり読んでいないな」と思い、購入した。
ご多分に漏れず、本書も読み終えるのに相当の時間を費やしてしまった。よっぽど面白くて先が気になる本でもないと、最近はなかなか読書が前に進まない。
合唱の譜読みうんぬんもあるが、やっぱり歳のせいで、集中力とかが薄れているんだろうか。だめだねぇ~。

昭和初期、「夜鷹」が産み落とした子供が、侠客として義理の父親(育ての親、親分)のために『義』を貫き通す壮絶な人生の生涯記だ。
「なぜそこまでやるの、もういいじゃない」と思わず言ってしまいそうな神崎武美の人生。今のやくざとは一線を画す「任侠」の心を貫き通した人生ともいえる。
因みに「任侠」とは、本来「仁義を重んじ、困ったり苦しんだりしている人たちのために、体を張る自己犠牲的精神」を意味するらしい。当然、そのために敵対する相手を攻撃したり、体を張って身内を守ったりということはあったのだと思う。でも今のやくざの所業とは全く違うものだ。
以前に清水次郎長の生涯を描いた山本一力の「背負い富士」を読んだが、まさに自分の身内や庶民の平和を守るのが「侠客・任侠の人」だ。
この小説の主人公神崎武美は「任侠」とは少し違う世界を歩んできた。育ての親である親分を、体を張って守り抜くことに人生を懸けた一生は、もちろん僕の人生とは全く違うものであるし、共感できるものではない。でも、1つのものに命を懸ける、「一所懸命」を貫く人生に、畏敬の念を覚えることも確かだ。
そういう人生は、普通の人では、やりたくてもなかなか具現化できない。今のやくざの世界でも、そんな生き方をする人はいるのだろうか。ある意味「古き良き時代」の任侠物語でもある。


PS)
伊集院さんの長編小説は初めてだけど、ちょっと暗いね。特に本書は伊集院さんの出生や半生と多少なりともリンクする部分があり、思い入れも深いのだろうが、内容的にも重い。
次は、もっとスカッと明るい本が読みたい。(なにせたまにしか読まないもので…)


コメント
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