1月23日(土) 曇
寒に入り、寒さが厳しくなってきました。当分の間冬籠りとなりそうです。毎年のことながらこの時期はバイオリズムは最低、世を憂うことはあっても、世を楽しんだことはない。他にすることがないので本はよく読む。名前が同じことからある幕末の志士の生涯を葉室麟の著作で読み直した。若い頃に(確か童門冬二の著作だったと思ったが)読んだ時とずいぶん異なった感想を持つことになった。史実は同じと言えばそのとおりであるが人としての情緒、感情の描写が「春風伝」の方が自分には良かった。また周囲の仲間に理解してもらえない苦悩を抱えながら信じる道を突き進んで行く姿とそれを影になり支えてくれる周布政之助、彼の人となりを理解し最後まで付き従った井上聞多や伊藤俊輔などなど周囲の隣人にも好感を持つことができた。多分に創作的要素も入っていたと思うが所詮は歴史なのであるから許されるのであろう。
あっという間に600ページを読み終わってしまったので、これまた昔読んだことのある「カモメのジョナサン」を完結編が揃った文庫本で読んでみた。まぁ以前も今回もなぜこの本があの当時ベストセラーになったのか自分にはよくわからなかった。でもあの当時は限界に挑むジョナサンが自分にふさわしいと同名のヨットチームに所属していた。もう着ることもないが背中に Jonathan と書かれたユニホームは今も大切に保管してある。ところでカモメのジョナサンを読んでいるとなぜか星の王子様を思い出したり、金子みすずの詩を思い出したりする。何かうまく言葉では言えない心に残るフレーズが散りばめられているような気がする。
たとえば
それは目にみえる形をとった、きみたちの思考そのものにすぎない。思考の鎖を断つのだ。そうすれば肉体の鎖も断つことになる・・・。
あるいは
憎しみや悪意を愛せないのは当然だ。きみはみずからをきたえ、そしてカモメ本来の姿、つまりそれぞれの中にある良いものを発見するようにつとめなくちゃならん。彼らが自分自身を見い出す手助けをするのだ。わたしの言う愛とはそういうことなんだ。
と言ったフレーズは心に響く。もう一つ自分の気に入ったフレーズを
・・・彼らもみんな特別、才能に恵まれたカモメかね?きみたちと同なんだ。わたしとも同じだ。ひとつ違うのは、たったひとつだけ違っているのは、彼らは本当の自分と言うものを理解しはじめていて、そのための練習を・・・・
我々は日々生活の中でたくさんの心に響くフレーズを多分聞いていることと思う。でもすぐに忘れてしまうのも自分を含めて大多数だと思う。まぁそれで良いのだと言い聞かせている。なぜなら同じことでも忘れる分だけ多く心に響くことになるのだから。こうして日が暮れて行くのもまた楽しからずやと思わなくては。