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ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2011.9.6 心はきっと救える-「神様のカルテ」-

2011-09-06 21:09:52 | 映画
 先日、文庫(夏川草介さんの「神様のカルテ」(小学館文庫))を読んでなかなか面白かったので、標記の映画を観てきた。

 加賀まりこさんが、初公開のスッピンで、胆のうがんの末期患者を毅然と、かつ少女のように丁寧に演じておられた。
 そういえば、以前観た「デンデラ」でも、浅岡ルリ子さんをはじめ錚々たる女優陣がスッピンどころか汚れメークで体当たりの演技をしていたことを思い出す。女優さんも、綺麗なだけではダメなのだなあ、と思う。

 主演は人気グループ・嵐のメンバー(私は5人のうち誰が誰なのかわからず、いつも息子に馬鹿にされている。)と、NHK大河ドラマの主役を張った若い二人だったが、敬語調の会話にじんわりと心が暖かくなり、素直に気持ちの良い涙が流せた映画だった。(隣にいた年配の男性はかなり派手に泣いておられた。)

 告知のあり方、リビングウィルの話等、がん患者として考えさせられるエピソードはテンコ盛りだった。病気以外のシーンで、主人公を取り巻く夢破れゆく脇役たちの境遇にも泣かされた。
 もちろん、実際の医療現場ではこうはできないだろう、という映画的なプレゼントシーンもあった。けれど、何より信州の山々の風景がとても美しく、心が洗われた思いがした。

 「たとえ命は救えなくとも、心はきっと救える」という強いメッセ―ジ。
 そう、不治の病になり、たとえ命は救ってもらえなくても、孤独で傷ついたやるせない心を救ってもらえれば、「ありがとう」と言って微笑みながら心穏やかに最期を迎えられるのかもしれない、と思う。
 前にも何度か書いたけれど、患者は心に串を刺されている者。だから、切ったり張ったりされた体からだけでなく、心からもずっと血が滲んでいる。それを上手に抜いてもらえれば、心の痛みはずいぶん楽になるのだろう。

 「ありがとう」と言える最期を迎えたいと思う。
 色々なことに、そして、お世話になった沢山の人たちに。
 そして「生きたようにしか死ねない」という言葉を信じ、日々、感謝の言葉を素直に言えるように過ごして行きたい、と思う。

 今日は前泊なしで朝から都心を往復したのと、おなかを壊してしまったのとで、ちょっとグロッキー気味。頭も体も重いが、休薬の週なのが救いだ。

コメント
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