「山」旅の途中

40代後半になって始めた山歩き。自分はどこから来てどこに行くのか。光、空気、花々の記憶を留めたい。

残雪の旭岳

2013-06-15 18:55:53 | 表大雪

                               東川町から望む表大雪の連なり                            

 

2013年6月9日 大雪山・旭岳:

ほぼ夏道で登られると聞いて、旭岳へ。午前6時半に着いたら、ロープウェイの始発は8時だった!

駅裏に広がるエゾノリュウキンカとミズバショウを眺めながら、おにぎりを頬張る。

眩しい朝日に包まれて、清々しい空気もおいしい。

 

ロープウェイに乗って、望む若葉の森と白い大雪山。

柔らかくて躍動感のある光景。 紅葉時に勝る素敵なシーンだと思う。

・・・客は少ない。

森の湿原  エゾノリュウキンカとミズバショウが咲く。 正面に旭岳

 

ロープウェイから望む森と大雪山系

 

ロープウェイ駅から姿見の池までは、一面の雪の原。 池も眠っていた。

稜線は、ほぼ夏道。ところどころの残雪も、粘性があって登りやすい。

快晴。空は澄みきり、十勝岳連峰、遠くは芦別岳・夕張岳、さらに増毛連山までも、くっきりと浮かぶ。

旭岳

十勝岳から遠くは芦別、夕張岳も望む

 

ところどころに残雪も、おおむね夏道を行く

 

二時間ほどで山頂に。

トムラウシ山を頂点に裾広がる、残雪模様が特に美しくて、ほれぼれとする。

登山路は無風で、光も温かったが、頂上は冷たい風が吹き抜けて寒い。

着込んで、温かいスープを胃に流し込み

絶景の中で一時間を過ごす。

 

山頂

 

頂上から見たトムラウシ山(正面のピーク)

 

帰路は知らぬ間に夏道を外れて、残雪帯を滑るように駆け下りてしまった。

姿見の池まで1時間ほど。

ぐるりと姿見平を周回する。

神々の遊ぶ庭とは、このことか。

キバナシャクナゲ

 

ミネズオウ

擂鉢沼

 

■登山記録

8時10分:姿見駅

8時30分:姿見の池

9時10分:七合目

9時35分:八合目

9時55分:九合目

10時10分:頂上

11時10分:下山開始

12時10分:姿見の池~周回

12時50分:姿見駅

 

■旭岳の登山歴


水鏡に映える旭岳

2012-09-22 22:36:06 | 表大雪

風が止まると、姿見の池に旭岳が映えた。

きょうは登らない「登山」。旭岳六合目の池を巡る。

紅葉しないまま枯れてしまったナナカマドに、ちょっと落胆。

高温続きで、今年の紅葉は期待できないかも。

とはいえ、水鏡に映える空と雲と山々に、秋の一服の清涼感。

旭岳に向かう登山路

きょうは、ここまで。

夫婦沼 (擂鉢池と鏡池)

当麻岳~安足間岳  鏡池

旭岳  草紅葉は、ぼちぼちと色づき始め・・・


緑岳~白雲岳 大雪山の光と星と

2012-08-28 21:34:23 | 表大雪

2012年8月25日~26日の登山記録:

層雲峡の高原温泉登山口から緑岳を経て、白雲小屋へ。

テント泊して、星を観る。そして、朝陽を浴びて黄金色に輝く山々を目に刻む・・・というのが、今回のテーマ。

濃い青空、いまだに雲はもくもくと、夏だ。

花を散らしたチングルマの風車がそよぎ、季節は移ろう。

うきうきと快調に登るが、緑岳の山頂に着くと、厚い雲が主峰の旭岳を覆っていた。

雲が切れている白雲岳に向かう。稜線には、早くも色づくウラシマツツジ。

無数のトンボがとんでいく。なぜかダイセツタカネフキバッタが目につく。

標高2000mの世界。

チングルマの風車

緑岳山頂から望む白雲岳 左手の旭岳は雲の中

紅葉のウラシマツツジ・・・トンボ三匹が映ってた・・・

ダイセツタカネフキバッタ

 

ウラシマツツジ

リシリリンドウ

 

谷に残る万年雪を渡ると、白雲小屋キャンプ指定地。夏と秋の端境期とあって、さほど人は多くない。

晩夏に咲くタカネトウウチソウやミヤマサワアザミが静かに迎えてくれた。

テントを張り終えて、40分ほど歩るくと夕暮れの白雲岳山頂に立つ。

湧き立ち、流れていく雲のなかに、たったひとり。愉しいのか、寂しいのか・・・

残雪と白雲岳

 

白雲小屋キャンプ指定地

タカネトウウチソウとミヤマサワアザミ

白雲岳の山頂

 

暮れなずむ白雲小屋とキャンプ場

 

闇が湧いてくると、雨が降り出した。

うとうとしていたら、テントを打つ雨音がいつのまにか鎮まり、しかも明るい。

午後9時前のこと。外を覗くと、半月がテントを照らし、大地に影がのびていた。白雲岳の輪郭もはっきり。

ナキウサギがピッと金属質の声をたてた。

月夜がこんなに明るいとは知らなかった。明るすぎて頭上の星があまり見えない。

23時ごろ、半月が雲に隠れながら視界から消えていくと、漆黒の空は満天の星。明日の快晴を確信し、わくわくする。

23時15分すぎに、テントの中で大地が揺れた。標高2000mで感じる地震。ラジオは帯広、釧路の震度5弱を伝えていた。

午前4時ころ、テントのまわりは霧に包まれていた。重たい気分に沈んでいると、東の空に赤い光が差す。

午前4半になって、あわてて東斜面の登山路を上って、小泉岳方向を目指す。

大雪山の夜明けが始まっていた。

小泉岳方向の朝焼け

白雲岳分岐から見た凌雲岳、桂月岳、黒岳、烏帽子岳・・・

朝陽を浴びて輝く白雲岳

 僕の長い影

斜光の朝

白雲小屋の頭上に、午前5時25分の飛行機雲 

 

ダイセツトリカブト

光の競演は一時間ほど。ふたたび山々は深い霧に包まれていく。

質素な食事をしてから、雨に濡れたテントをたたむ。

クマよけの鈴をちゃりんと鳴らして、視程の効かない登山路を黙々と下った。

 

霧に包まれた白雲岳避難小屋

 

■登山記録

09時15分:高原温泉から入山  09時45分:見晴らし台

10時00分:第一花園        10時15分:第二花園

12時15分:緑岳 山頂       12時45分:緑岳山頂を出発

13時45分:白雲岳避難小屋    16時10分:避難小屋を出発   16時30分:白雲岳分岐  16時50分:白雲岳 山頂

17時05分:白雲岳 山頂発    18時00分:テント場に戻る

04時30分:テント場出発      05時10分:小泉岳 山頂付近→テント場に戻る

06時25分:テント場出発      09時10分:高原温泉登山口に戻る

  大雪山高原温泉 700円  

午前9時半に訪れると、日帰り入浴は午前10時半から。「どうぞ、大広間でお待ち下さい」という親切な言葉。

青白色の源泉が心地良かった。キノコカレーやコーヒーを愉しむ。

■これまでの登山記録 

 

03年09月15日:銀泉台~赤岳~「白雲岳」
04年09月26日: 高原沼周遊~高原温泉~「緑岳」
05年08月14日: 高原温泉~「緑岳」~「白雲小屋」

05年09月24日:黒岳~北海岳~「白雲岳」~小泉岳~赤岳~銀泉台

07年09月17日:銀泉台~赤岳~小泉岳~「白雲岳」~北海岳~黒岳記録(プロローグ)  記録① 記録② 記録③

09年07月12日: 高原温泉~「緑岳」~「白雲小屋」~高根ケ原   

12年08月25~26日 高原温泉~「緑岳」~「白雲小屋」~「白雲岳」



          



あこがれのトムラウシ山

2012-07-22 19:52:18 | 表大雪

2012年7月21日 トムラウシ山(2141m)の登山記録:

登山路は乳白色の霧もよう。山頂付近は晴れているという山岳予報を信じて、ひたすら歩く。

一時間半ほど登ると、光がさして、やがて空に蒼いインクがにじみ始めた。

雲の上に出ると、そこは別世界。石狩連峰や東大雪の山々が逆光に浮かぶ。

沢に残る雪渓の頭上は抜けるような青空だった。

石狩連峰(左)と東大雪のニペソツ山(右)

コマドリ沢

 

雪渓を抜けると、ハイマツ帯と岩場が続く。

ピッ、ピッと、金属質の鳴き声が絶え間ない。氷河期の遺存種、ナキウサギだ。

ハイマツには小さなシジミ蝶が舞う。こちらも氷河期から命を繋いできたカラフトルリシジミ。

高山鳥のギンザンマシコのペアは、今年巣立った若鳥を連れていた。家族で移動している。

エゾシマリスもガンコウランやハイマツの実をむさぼる。

ここは生きものたちの躍動に満ちていた。

前トム平から高度を上げると、十勝連峰の連なりが目に飛び込み、登山意欲をさらにかき立てた。

ハイマツ帯と岩場が続く

ナキウサギ

天年記念物 カラフトルリシジミ

ギンザンマシコの♂

ギンザンマシコの幼鳥

ガンコウランをむさぼるシマリス

十勝連峰の山並が青く光る

 

「トムラウシ公園」から花々が競い始める。

横向きに長い筒を咲かせるチシマギキョウは初見。白い毛が目立つ。

青い空に白いチングルマと赤いコマクサが映える。

岩場の連続で疲労した心身には、清涼なときめき。

可憐な花に導かれて、南沼キャンプ場と山頂ルートの分岐に達する。

チシマギキョウ

チングルマ

コマクサ

山頂と南沼キャンプ指定地の分岐点

 

ガレ場を登りながら振り返ると、南沼が青く光っている。

荒々しく立ちあがる雲が、さきほどまで屹立していた十勝の山並を隠していく。

・・・山頂に立つ。

表大雪の主峰・旭岳も雲に隠れていたものの、白雲岳や忠別岳の雄姿が迫ってきた。

雨と霰に驚いて登頂寸前で引き返したのは2006年7月のこと。

今回の目的は再挑戦だった。

2009年7月には大きな集団遭難も起きていることから、そっと手を合わせた。

眼下は南沼キャンプ指定地   十勝連峰は雲に覆われた

山頂  雲が切れずに旭岳が望めない

白雲岳にズームイン

 

 ■登山記録

05時45分:トムラウシ温泉コース・短縮登山口

06時50分:カムイ天上

08時00分:カムイサンケナイ川に降りる(まもなくコマドリ沢分岐)

09時35分:前トム平

10時25分:トムラウシ公園

11時20分:南沼キャンプ指定地分岐

11時50分:山頂

12時30分:下山開始

17時25分:登山口に戻る

 トムラウシ温泉東大雪荘 500円 

ログハウス風の一軒宿。天井が高くて気持ち良い。

■過去の登山記録

06年2006年7月

 


駒草平から赤岳、小泉岳へ。

2012-07-01 10:24:04 | 表大雪

■6月30日 赤岳・小泉岳の登山記録

若々しい緑の森を眺めながら雪渓を渡ると、吹きさらしの砂礫帯に。

ここは駒草平。コマクサを食草とするウスバキチョウが舞う。

氷河期の遺存種である高山蝶目当ての登山者も多い。

ダイセツタカネヒカゲは大量発生で、見あきるほど。

蝶と戯れること、しばし・・・

大きな「第三雪渓」を仰ぐと、登山意欲がそそられた。

駒草平

コマクサ

ウスバキチョウ

ウスバキチョウの幼虫

ダイセツタカネヒカゲ

 

第三雪渓

歩幅を小さく、呼吸を整えて、この大雪渓を登る。

照りつける夏の日差し。

雪の冷気が、火照る身体を心地良く包んでくれた。

もうひとつ雪渓をつめると、やがて赤岳の山頂に。

雪の文様を纏う大雪山の山々が、優しい笑みで迎えてくれた。

 

赤岳山頂

 

赤岳から小泉岳へ。吹きさらしの砂礫地に丈の低い花々が咲き乱れていた。

大雪山固有の花もいくつか。

小泉岳からさらに緑岳に向けた稜線をしばらく行くと、僕のお気に入りのポイントに。

白雲岳を背景に、そこは宝石を散らしたようなカムイミンタラ (神々の庭)。

砂礫地はお花ロード

ホソバウルップソウ

キバナシオガマ

タカネスミレ

チョウノスケソウとエゾオヤマノエンドウ

 

■登山記録

07時55分:銀泉台から入山

09時10分:駒草平 

09時45分:駒草平を出発

10時50分:赤岳 山頂

11時10分:赤岳 山頂を出発

11時45分:小泉岳 山頂  さらに緑岳方向に進んで12時20分まで撮影して戻る

13時00分:赤岳出発

15時05分:登山口に戻る

 

 ■赤岳 登山歴

03年9月15日:銀泉台~赤岳~白雲岳
05年7月03日:銀泉台~赤岳~小泉岳
05年9月24日:黒岳~北海岳~白雲岳~小泉岳~赤岳~銀泉台
07年9月17日:銀泉台~赤岳~小泉岳~白雲岳~北海岳~黒岳
          記録(プロローグ)  記録① 記録② 記録③

09年6月28日: 銀泉台~赤岳~小泉岳~白雲小屋  記録① 記録② 記録③

12年6月30日: 銀泉台~赤岳~小泉岳

 

 


冠雪の大雪山・旭岳

2011-09-25 22:59:11 | 表大雪

 冠雪した旭岳(五合目の旭平から)

 

2011年9月25日 旭岳~間宮岳~裾合平の登山記録:

大雪山の最高峰・旭岳が22日に初冠雪を迎えた。

19日に周辺を歩いたばかりだが、日本で一番早い雪見の誘惑に吸い寄せられる。

午前六時、始発のロープウェイに乗り込んで森林限界の五合目へ。

白い霜に縁取られたチングルマの紅葉が、ぴりっと引き締まった静謐な朝を告げる。

風弱く、磨かれた姿見の池が逆さの噴煙と冠雪を映し出す。

山頂にかかる雲の傘が少々気になるが、澄んだ青空の大きさに心が躍った。

凍てつく草紅葉

姿見の池

六合目付近

 

高度をかせぐにつれて、登山路右手に見える十勝連峰やトムラウシ山、忠別岳の展望が迫力を増す。

40キロほど離れている旭川の街なみは雲海に隠れていた。

八合目を過ぎると、日陰の積雪が次第に固くなる。

足ににチカラを集めて、慎重に進む。

 

忠別岳

 徐々に登山路が雪に包まれていく

日陰は圧雪状態

 

九合目を過ぎると、雲が前後左右から押し寄せてきた。

たどり着いた山頂も雲の中。山頂標識に「エビのしっぽ」(樹氷)がついていた。

風が弱いせいか、寒さはあまり感じない。熱いコーヒーを飲みながら、雲が切れるのを待つ。

三十分して、一瞬の雲間に来し方が姿を現すと、頂きに登山者の歓声が上がった。

しかし、雲の勢いは強く、すぐにミルク色のベールに包まれる。

さらに二十分待つも、成果なく。お鉢平を目指して裏旭のコルに降りる。

山頂標識

一瞬、雲が切れる

裏旭のコルに降りて、お鉢平に登る

 

お鉢に上って間宮岳の分岐に達すると、すさまじい風と共に雲が散った。

日を浴びた山並みが青空を刻む。

爆裂火口のクレーターを覗くと、積雪の一筋、一筋が川の流れのようだ。

クレーターを囲む稜線を中岳分岐から左に折れると、やがて硫黄臭漂う中岳温泉に。

20分ほど天然の足湯を愉しみ、疲れを癒す。

リフレッシュして、チングルマが紅葉する裾合平へと向かう。

 お鉢平の間宮岳分岐を左に進む

クレーターも雪景色

 

中岳分岐から中岳、北鎮岳方向を望む。ここを左に下る

中岳分岐を下って見返すと北海岳

中岳温泉

裾合平から望む北鎮岳と中岳

 

裾合平から望む山体の紅葉は芳しくない。

ウラジロナナカマドは立ち枯れたまま、台風で葉を散らしていた。

チングルマの草紅葉も遅れているのか、あるいはくすんでいるような気がする。

それでも年に一度、この時期の大雪山の紅葉である。

秋と冬の際を歩く、充足感に満たされた。

熊ケ岳

 

■登山記録(09年9月12日と同じ行程)

06時15分:姿見駅(五合目)から入山

07時10分:七合目

07時45分:九合目

08時00分:旭岳山頂(2290m) 50分間滞在

08時50分:裏旭のコルへ向けて下り開始

09時05分:裏旭コル

09時30分:お鉢平 間宮岳分岐

09時55分:お鉢平 中岳分岐

10時30分:中岳温泉 25分滞在

11時35分:裾合平分岐

12時40分:姿見駅

大雪山白樺荘 前泊したところ、下山後の入浴は無料

旭岳の登山歴

  •  03年09月07日 姿見駅~旭岳山頂~間宮岳~中岳分岐~裾合平~姿見駅
  •  04年08月28日 姿見駅~旭岳山頂~姿見駅
  •  04年09月04日 姿見駅~旭岳山頂~北海岳~黒岳~黒岳ロープウェイ駅
  •  04年09月12日 姿見駅~旭岳山頂~間宮岳~中岳分岐~裾合平~姿見駅
  •  05年08月06日 姿見駅~旭岳山頂~北海岳~北鎮岳~中岳分岐~裾合平~姿見駅
  •  08年10月05日 姿見駅~旭岳六合目から引き返す
     09年09月12日 姿見駅~旭岳山頂~間宮岳~中岳分岐~裾合平~姿見駅     
  •  11年08月01日 旭岳山麓~姿見池
  •  11年09月19日 旭岳五合目周辺 

 



 

 

 


紅葉遅い旭岳 冬に備えるホシガラス

2011-09-19 23:27:48 | 表大雪

 稲田と旭岳の山並み(帰路に撮影)

 

2011年9月19日 旭岳・姿見の池 周辺 登山記録:

 

三連休の最終日。ようやく、雨が上がったので大雪山の旭岳へ。

正午過ぎの遅いスタート。ロープウェイの姿見駅を降りて、片道一時間のトレッキングと決めた。

紅葉が遅い。例年より一週間ほどの遅れか。

赤く染まるはずのウラジロナナカマドの葉も黄色く、立ち枯れ状態だ。

チングルマの赤い絨毯も始まったばかり。

とはいっても、気温六度。薄着の行楽客は鼻を赤くし、肩をすぼめていた。

寒さに鎮まる沼は鏡のよう。

水鏡に映った防寒具のカラフルな色彩が、確かに進む季節の歩みを伝えていた。

 

 

ウラジロナナカマド

チングルマの紅葉とエゾオヤマノリンドウ

 

旭岳と鏡沼

鏡沼に映る登山者

 

浅い紅葉の登山路に、ハイマツの松ぼっくりが大量に散らばっていた。

ホシガラスの食跡だと思う。

周囲を見渡すと・・・

ガレ場とハイマツ帯を数羽のホシガラスが、ひっきりなしに往復している。

松ボックリをガレ場に運んでは、突く。

そして埋める。

近づく冬を前にした貯食の習性。こうして種が散り、ハイマツの海原が拡がっていく。

 

 

当麻岳の浅い紅葉

ズームインすると、秋色に

 

食い散らかされた「松ぼっくり」

ハイマツの実

 

ハイマツの実を運ぶホシガラス

貯食するホシガラス

 

■登山記録

12時45分:姿見駅から入山  裾合平方向へ

14時00分:姿見駅から2キロと少々の地点でUターン

15時30分:姿見駅

 


黒岳~桂月岳 ブロッケンの妖怪、エゾオコジョ、日の出

2011-08-28 23:27:03 | 表大雪

国道39号から望む黒岳(左端)

 

2011年8月27日~28日 黒岳~桂月岳の登山記録:

黒岳(1984m)山頂直下のキャンプ指定地でテント泊し、満天の星空と燃えるような日の出を見よう。

晩夏の日差しがきつい昼下がり。ロープウェイ、リフトと乗り継ぎ山頂を目指す。

快晴の夏空が、次第にミルク色のベールに包まれていく。

ウラジロナナカマドの向こうのマネキ岩がおぼろげに霞む。

ウラジロナナカマドとマネキ岩

 

一時間少々で山頂に着く。待つこと10分ほどで、雲が一瞬のうちに散って、山々が姿を現した。

太陽を背に、東側の斜面を見下ろしていた男性が、「虹や、おいで」と幼い子供たちを呼ぶ。

雨上がりでもないのに変だな、と思う。

恥ずかしながら一緒について行ったら、「ブロッケンの妖怪」だった。

雲のスクリーンに自分の影が映る。手を振ると、行動が一致するので確かに自分だとわかる。

自分の目がとらえた光現象なので、ひとりひとりの目に映るのは、自分の影だけ。

7人いたが、それぞれ自分の影に向かって手を振り歓声をあげていた。

 

 太陽が位置する西側の凌雲岳、北鎮岳  雲が散っていく

太陽を背にした東側の斜面  虹色のリングの中に自分の影

 

ブロッケンの妖怪

 

山頂から黒岳石室に続く緩やかな登山路を下りていくと、見晴らしの良い小さなピークがある。

赤く染まり始めたウラシマツツジと、ごつごつとした岩場。

ピィー、ピッと金属質の甲高い鳴き声が連鎖する。

複数のナキウサギが鳴き交わしている。

振り向いたら、どきっ。

・・・華奢な小動物の瞳が僕をじっと見つめていた。 

初めまして、エゾオコジョ。 体長は20センチほどか。

好奇心旺盛で、あちこち走り回っては近づき、こちらを凝視する。

可愛いが肉食のハンターだ。

ナキウサギの岩場   背景は白雲岳(右)と北海岳(右)

初めまして、エゾオコジョ

シマリス

ナキウサギ

 

ナキウサギの岩場から見下ろす黒岳石室

 

午後4時半。たどり着いた黒岳石室に50人、隣接するテン場も、ほぼ満杯だった。

標高差50mの桂月岳の裾に位置していて、この頂きから日の出を見るのが、今回の目的。

夏休みと紅葉の端境期なので、閑散としていると思ったが、おおはずれ。 

やっと見つけた隙間にテントを張る。

北大クマ研の学生がスコープで凌雲岳を見つめていた。

11日から観察していて、沢筋を中心に6個体を確認しているという。

桂月岳と黒岳石室 標高差は50m

テン場と凌雲岳

夕映え

 

深夜に目覚めると、テントの中は、真っ暗ではなく、目が十分に効く。

夜明けかと思ったら、まだ零時過ぎ。

標高1890m。寒いので寝袋にくるまったまま、数センチだけテントを開けてみる。

目の前に無数の星屑・・・山々の稜線や立ち並ぶテントを見事に照らす。

顔を出して、ぐるりと周囲を見渡すと、頭上に天の川が巨大な雲となって横たわっていた。

午前4時過ぎにテントを出て、桂月岳に向かう。東の空に、ほとんど新月に近い細い月を見つけた。

月明かりがほとんどなかったので、星のひとつひとつが際立っていたことを知る。

まもなく新月

 

桂月岳から望む大雪山の夜明け

 

テン場から15分ほど登ると、桂月岳(1938m)の山頂に。

つぎつぎと登山者がやってきて、声も出さずに日の出を待つ。

夜と朝の際に、柔らかな茜色の光がにじみ、川筋にひろがる低い雲海が静けさを奏でいる。

やがて、神々しい赤い太陽が頭をもたげた。

日の出(午前4時46分)

ギャラリー40人

 

日の出に飛んでいく飛行機雲(国際線?)

 

■登山記録

13時55分:ロープウェイ、リフトを乗り継いで7合目(1500m)から入山

14時30分:八合目

14時50分:九合目

15時15分:黒岳 山頂(1984m)

15時50分:山頂出発

16時30分:黒岳石室(15分ほどの距離だが、撮影に夢中) 標高1890m 

キャンプ場 500円  冷えたビールも500円

04時00分:テン場発

04時15分:桂月岳 山頂(1938m)

 黒岳の湯 600円のところ、ロープウェイ駅に100円引きの券あり

 

過去の黒岳登山記録

070917 銀泉台~赤岳~小泉岳~白雲岳~北海岳~黒岳
061001  黒岳~北海岳~間宮岳~中岳~北鎮分岐~黒岳
050924 黒岳~北海岳~白雲岳~赤岳~銀泉台
040904 旭岳~北海岳~黒岳
030713 黒岳~石室~お鉢平~北鎮分岐

020922黒岳~石室~お鉢平     020913黒岳~石室~桂月岳    020719 黒岳~石室 


ギンザンマシコ飛ぶ 旭岳

2011-08-01 20:14:50 | 表大雪

    ワタスゲ咲く 旭岳一合目の天女ケ原

 

2011年7月30日(土) 旭岳の登山記録

ロープウェイに乗らないで、旭岳五合目の姿見の池を目指そう。

いつもはゴンドラの窓から見下ろす森の中を歩き、花園で静かな時を過ごそうと思った。

アカエゾマツの森を進むと、天女が原に出る。湿原に夏を告げるワタスゲやエゾカンゾウが咲いている。

湿原と湿原を結ぶ荒れた登山路には華奢なアカモノが見ごろを迎えていた。

 

エゾカンゾウ

ミヤマリンドウ

アカモノ

 

湿原を抜けると、山腹を縫うジグザクな登山路を行く。

今は廃止になったが、かつてロープウェイには「天女ケ原」という中間駅があった。

小学生のころ、父親とふたりで「天女ケ原」で降りて、「姿見」まで歩いた記憶がある。

その理由は覚えていない。当時は駅がここまでで、花と山の写真が好きな父が息子を友としたのかもしれない。

・・・森の中の岩道。花も空も覚えていないが、するすると出てきたアオダイショウ。

捕まえようとして、父に止められたことが瞼に焼きついている。

確かに既視感のある道を大人の目の高さで歩く。

木も岩も子どもにとっては、もっと丈があつた・・・

 

四合目に出ると、台地に続く緩やかな傾斜となる。山肌を埋めるウラジロナナカマドの柔らかい緑が心やさしい。

このウラジロナナカマドが赤く染まった錦秋を想像してみるのも楽しい。

登山路の脇にはエゾノツガザクラやアオノツガザクラが鈴なりだ。

マルハナバチがあちこちで吸蜜して、ぶんぶんと空気を震わせているのも夏らしい。

ウラジロナナカマドの柔らかな緑色

 エゾノツガザクラとマルハナバチ 背景はアオノツカザクラ

登山口から二時間で、登山者で賑わう五合目・姿見の池に到着。

池に映っているはずの巨大な山体は重い雲に覆われ、硫黄臭のある噴気と重なっていた。

 

 

姿見の池

標高1650mの周辺は、姿見駅の恩恵で軽装のハイカーや観光客でも賑わっている。

見たかったチングルマは終盤だったが、エゾイソツツジが咲き誇っていた。

クジャクチョウ、ミヤマカラスアゲハ、コヒオドシ、名前のわからないセセリの仲間が吸い寄せられている。

一瞬、雲が流れて青空を背負った頂上の一部が顔を出す。

エゾイソツツジとセセリの仲間

コヒオドシ

山頂の一部が顔を出す

 

帰路、野鳥の撮影スポットに立ち寄る。

いつも十数人が大砲のような長ダマを構えいる場所だが、本日はひとりだけ。

しかも退屈して散歩している。

出ないんだなあと安心していたら、ハイマツの海原から赤い胴体が目に飛び込んできた。

ギンザンマシコだ。

遠くに一羽。夢中になってカシャカシャしたら、近くにもっと赤い一羽が顔を出す。

大サービスと思ったら、「近くの赤」の隣にメスまで顔を出して、三羽ですいすいと飛んで行った。

長ダマの男性は東京から来たとのこと。しかも6月末に続いて二回目の来訪。

「あと4ケ月があるが、今年の運を全部使った」と満面の笑みを浮かべて喜んでいた。

雌雄と今年生まれた若鳥が一緒に行動しているのかしらと話もはずみ、楽しい時間を頂いた。

近くのオス

 

親子?スリーショットわかりますか?  

 

■登山記録

10時15分:ロープウェイ山麓駅横の登山口から入山(1100m)

10時45分:一合目 天女ケ原(1200m)

11時10分:二合目

11時25分:三合目 山腹を登る

11時40分:四合目 ハイマツ帯(1550m)

12時00分:ロープウエィ駅分岐

12時20分:五合目 姿見の池(1665m)

14時30分:ロープウェイで下山(10分 片道1500円)

 大雪山白樺荘 

500円 新しくてきれいでユースの趣あり。しかも、温泉街の最安値も嬉しい。

旭岳青少年野営場 

500円 標高1000mアカエゾマツの森の中。ログハウスのトイレも実にきれい。

今夏から少し変化を求めてテント泊を始めてみた。

夜、霧が晴れた。照明灯に集まって来る蛾を見ていたら、スッー、スッーと空を切る生きものがいる。

おそらくコウモリだと思った。虫を食べているのだろうか。

夜明けとともに野鳥のコーラスで目覚める。ヒガラが蛾を追いかけて空中で捕食するシーンを見た。

遠くでクマゲラが飛ぶときの鳴き声が聞こえる。クルッ、クルッ・・・

散歩して戻ってきたら、その雌雄が鳴き交わしてアカエゾマツの幹にとまったのには、驚いた。

 

逆光のシルエット写真  2羽映っているような気もする

 


紅葉ウォーク 当麻乗越

2010-09-20 22:01:46 | 表大雪
(写真:紅葉のチングルマと当麻岳の山並)


日本一早い紅葉の旬を求めて、大雪山の旭岳ロープウェイ駅(1600m)から当麻乗越(1680m)までを歩く。標高差のあまりない往復4時間ほどの山歩き。

今年のウラジロナナカマドの赤は色鮮やかというよりは、すでに枯れ始めたものも。猛暑ゆえに、色づく前に枯れたのか。

とは言っても、広大な山体の斜面を駆け下る錦秋の帯は、大雪山ならでは。

どこを見ても、唸るようなスケールの大きさ。


(写真:行く道を振り返っても広大な紅葉)


(写真:稜線下手の岩コブが当麻乗越)


ロープウェイ駅から1時間ほどで裾合分岐。ここから湿地帯に入り、ピウケナイ沢に下る。

この沢は勢いが強く、水量も多いので渡るべき飛び石が見当たらない。

前の人につられて、えいやっと、靴を脱いで裸足で渡った。心地良いというよりは、さすがに冷たかった。


(写真:ピウケナイ沢を渡って振り返ると、大雪山最高峰の旭岳)


当麻乗越は頂きの当麻岳と裾野の湖沼群を結ぶ見晴らしの良い岩尾根。

目の前に、並立して構える旭岳と熊ケ岳をじっと見つめてみる。なんともぜいたくな時間。

眼下の湖沼の数々も、きらきらと輝いていた。

吹きさらしの岩尾根。大雪山を渡る風は、頬を刺す秋の肌ざわりだった。


(写真:当麻乗越から望む旭岳と熊ケ岳)


(写真:当麻乗越から望む湖沼群)

■登山記録:2010年9月20日
11時25分:ロープウエィ駅から入山
12時25分:裾合分岐
12時40分:ピウケナイ沢
13時05分:当麻乗越(上り1時間40分)

13時50分:下山開始
15時35分:ロープウェイ駅

大雪山白樺荘ユースホステル 500円
ログハウスの清新な宿。小さいが心地良い。

■「当麻乗越」の登山歴
.08年7月21日
 旭岳駅~当麻乗越~当麻岳~安足間岳~比布岳~北鎮岳~中岳~裾合平~旭岳駅
06年9月24日
 愛山渓~沼の平~当麻乗越~当麻岳~永山岳~愛山渓
・05年9月17日 
 愛山渓~永山岳~比布岳~安足間岳~当麻岳~当麻乗越~沼の平~愛山渓


新緑と残雪の高原沼めぐり

2010-07-03 11:12:12 | 表大雪

(写真: 高原沼登山口のヒグマ情報センター)


6月27日(日)、高原沼を巡ることにした。錦秋の見ごろに何度か歩いたが、雪解け時期に訪れるのは初めて。

ヒグマ情報センターでレクチャーを受けてからの入山。施設の中に入らないと、登山口に踏み出せない仕組みになっている。

去年の夏は、人がいても逃げないヒグマがいて1ケ月間も入山を禁止したという。その時のビデオを僕ひとりに見せての丁寧な説明。

現在、クマの姿はないが、食跡が出始めたころなので、油断しないで下さいとのことだった。

登山路に入ると、雪解け水が作った湿地が点々と続き、ミズバショウが遅い春を告げていた。

これはクマの大好物。


(写真: ミズバショウ)


奥に進むにつれて、登山路は消えて、残雪の上を進む。

赤いテープの目印が丁寧に付けられているので不安感はなく。

若々しい新緑。雪渓を頂く高根ケ原や緑岳の立ち姿。春と夏が一緒にやってきた清々しさ。

50分ほどで土俵沼に。ここから次々と森に浮かぶ沼が顔を出す。



(写真: 高根ケ原~白雲岳~緑岳)


(写真: 土俵沼)


(写真:滝見沼)


土俵沼、滝見沼と進むと、戻ってきた男性単独者と家族4人とすれ違う。

登山者名簿を見ていたので、ここから先の登山者は僕ひとりと理解する。

この先に、クマの監視レンジャー二人がいると聞いていたので不安感はなく、若葉と雪渓の織りなす妙にときめく限り。

大きく視界が開けると、緑沼。開けた厚い氷が水に浸り、薄っすらと青く輝く。



(写真: 緑沼)

この世のものとは思えぬ緑沼を背にして、テンポ良く湯の沼、鴨沼と進む。

鴨沼はほぼ結氷状態。木道を右に行くのか、左に行くのか。

高低差の小さい左の雪渓を行くも、頼みの赤いテープが見当たらない。


(写真: 湯の沼)


(写真: 鴨沼)

鴨沼左側の雪渓を登っていくと、雪が途切れて踏み跡が。そして大きな沼。

えぞ沼かと思ったが、沼の淵にあるはずの登山路が見当たらず、水浸し。

踏み跡は踏み跡でも、これは獣道。よく見ると、あちこちに獣道がついていた。

えぞ沼から見えるはずの緑岳も見えない。ルートミスは明らかで、慎重に来たルートを戻る。

あとで、ヒグマ情報センターのレンジャーに聞いたところ、この沼は「淵無し沼」という。

夏道がなく、行けるのはこの時期のみ。その名の通り、沼の周辺に歩ける淵がなかった。




(写真: 淵無し沼)

淵無し沼から鴨沼に戻り、そのまま帰路を進もうと思った。

が、鴨沼の木道起点手前に赤いテープを見つけた。

沼に向かって左側に登山路が続いていたのだ。

思い出した! 鴨沼は行き止まりで、その手前を左折するのだった。

帰ろうと思ったが、もうひと踏ん張りと、えぞ沼へ。森の中で沈むコバルトブルーがなんとも魅惑的だった。


(写真: えぞ沼)

ここから先、大学沼を経て高原沼が、この日の目標。夏道だったら、あと20分というところか。しかし、ルートミスで心身に疲れも。

判断力も落ちているので、えぞ沼を終点とした。

■登山記録  2010年6月27日
09時15分: ヒグマ情報センターから入山
10時05分: 土俵沼
10時45分: 鴨沼で迷う
11時10分: 鴨沼に戻る
11時20分: えぞ沼
12時40分: 登山口に戻る

■これまでの登山歴

10年6月27日 新緑と残雪の高原沼

06年9月30日 高原沼一周(紅葉ピーク)
05年9月25日 高原沼まで  (紅葉は遅れていた)
04年9月26日 高原沼まで  (紅葉は終盤)

高原温泉 
いつ入っても心地よい。露天風呂から眺める山々も素晴らしい。1500円ランチ付き入浴を
堪能。ヤマベ塩焼き、山菜、キノコ鍋と野趣満点。


大雪山を行く 紅葉と初冠雪 旭岳~間宮岳~裾合平(3)

2009-09-14 21:14:31 | 表大雪
                 (写真: 中岳分岐から間宮岳を振り返る)

お鉢平を囲む外輪山の中岳分岐。振り向くと、緩やかな間宮岳のピークが青空に浮かぶ。

ここから裾合平にくだり、旭岳ロープウェイ・姿見駅を目指すことにする。

下山路の右手には冠雪した安足間岳。裾野の紅葉も映えて、コントラストが美しい。

眼下の裾合平は秋色に染まり始めている。ここは、冬から秋に時間が戻る下山ルート。


(写真: 冠雪したこ安足間岳)




(写真: 中央奥が裾合平)


天然の足湯、中岳温泉を過ぎると広大な裾合平に。おそらく大雪山で一番広大なチングルマのお花畑。抜けるのに30~40分もかかる。

裾合平から見る旭岳は座りの良い台形だ。見る位置で大きく変化する表情も面白い。

雲が厚くなって、光に元気が無くなったのが残念だ。

行き交う大勢の登山者が光りを待っていた。次の機会は斜光の早朝に歩いてみたいと思う。




(写真: 紅葉のチングルマと旭岳)




(写真: 紅葉が招く)



(写真: しっとりとした錦秋の衣)

裾合平を抜けると、姿見駅までは3キロほど。人の往来も多い。

しかし、その道はウラジロナナカマドのトンネルもあり、いかにもクマと出会いそうな感じ。

と思ったら、数日前のクマの糞を発見。大勢の人に踏まれて泥との区別は難しい。意外と近くに彼らは潜んでいる。

姿見駅周辺は、大勢の観光客でにぎわっていた。いつのまにか雲も散り、爆裂火口を抱える旭岳が青空に映えていた。


(写真: ロープウェイ駅近くから望む旭岳)


■登山記録
06時30分: 姿見駅から入山
08時05分: 山頂
09時05分: 間宮岳分岐
09時40分: 中岳分岐
10時20分: 中岳温泉(足湯につかる)
11時15分: 裾合平を抜ける
12時40分: 姿見駅に戻る


湧駒荘・日帰り温泉「神々の湯」 600円
老舗温泉宿の日帰り部門。疲れが癒される熱い源泉が良い。

※旭岳の登山歴
03年09月07日 姿見駅~旭岳山頂~間宮岳~中岳分岐~裾合平~姿見駅
04年08月28日 姿見駅~旭岳山頂~姿見駅
04年09月04日 姿見駅~旭岳山頂~北海岳~黒岳~黒岳ロープウェイ駅
04年09月12日 姿見駅~旭岳山頂~間宮岳~中岳分岐~裾合平~姿見駅
05年08月06日 姿見駅~旭岳山頂~北海岳~北鎮岳~中岳分岐~裾合平~姿見駅
08年10月05日 姿見駅~旭岳六合目から引き返す
09年09月12日 姿見駅~旭岳山頂~間宮岳~中岳分岐~裾合平~姿見駅


大雪山を行く 紅葉と初冠雪 旭岳~間宮岳~裾合平(2)

2009-09-13 10:39:48 | 表大雪
(写真: 旭岳山頂)

八合目、九合目と進むにつれて風が強くなり、防寒のためにフリースと雨具を着込む。

ごつごつとした岩肌にも着雪があり、滑らないようにと気を引き締める。

斜面をひと登りして頂上に出た瞬間、一気に視界が開けた。白く染まった山々の連なりが大雪山の大きさを物語る。ロープウェイ姿見の駅から1時間半ほど。

ここは標高2290.3m。大雪山、そして北海道の最高峰。

北海道上空3000メートルには10月初旬並みの寒気が入っていて、この雪は昨夜までに降り積もったのだろう。


(写真: 比布岳~北鎮岳の連なり。右手前は熊ケ岳)



山頂には一等三角点が埋設されていて、その由来が記されていた。

明治33年(1900年)9月10日に選定とあるので、109年前の仕事ということになる。

映画「剱岳 点の記」を彷彿させる、明治の男たちの偉業。迫る冬を前に時間とも闘いながら、大きな仕事を成し遂げた証だ。



(写真: 山頂標識と1900年選定の一等三角点)



旭岳山頂からは、急斜面を下って間宮岳との間のコルに降りることにする。

夏は歩きにくい砂礫地で、この斜面は難所だと思う。今回は新雪で、むしろ夏より歩きやすかった。

先行者一人の真新しい踏み跡も、ありがたく利用させていただいた。

足跡は、もうひとつ古いものがあった。晴れた今朝ではなく、前日に歩いた人がいると知る。

おそらく吹雪のなか、驚きだ。


(写真: 画面中央付近の底部に降りて、左手を再び登る)


(写真: 最近、右膝が痛むのでサポーターを装着)



旭岳山頂から降りたコルは、裏旭と呼ばれている。振り返ると裏から見た旭岳。登山者だけが見ることができる、もうひとつの表情だ。

「表」は山体が崩壊し、爆裂火口の荒々しさが印象的。一方、「裏」は丸みを帯びた優しい表情を見せてくれる。

新雪の白と、真紅に染まったチングルマの葉。秋と冬の季節のコントラストが鮮やかだ。

初冠雪を気象台が発表したのだろう。テレビ局のヘリコプターも飛来する。


(写真:「裏」から見た旭岳)



コルからは再び登り返して、やがて「お鉢平」という大きなクレーターを囲む外輪山に至る。ここが間宮岳分岐。旭岳山頂から1時間ほど。

お鉢はぐるりと一周できるが、右に進めば北海岳。左に進めば間宮岳、中岳、北鎮岳、凌雲岳と連なる。ここは左廻りを選ぶ。

秋の装いを淡く整え始めたお鉢を白雪が包み込む。

間宮岳分岐から中岳分岐までは、30分ほど。ここで北海岳を望みながら一息つく。

この時間、次々とテレビ局のヘリコプターが来る。新聞社の小型ジェット機もあわただしく旋回する。夕方のニュースが楽しみだ。


(写真: お鉢を囲む外輪山。高い山が北鎮岳、その右が凌雲岳)


(写真: 中岳分岐から見たお鉢と北海岳)

大雪山を行く 紅葉と初冠雪 旭岳~間宮岳~裾合平(1)

2009-09-12 22:59:09 | 表大雪
(写真:ロープウェイ駅から望む初冠雪の旭岳)

未明の札幌、空に散る星の数々がきれいだった。きょうは、紅葉を求めて大雪山・最高峰の旭岳(2290.3m)へ。

午前6時ごろ、ロープウェイ駅に着くと山頂が白く輝いていた。やった!初冠雪!

日本一早い冬。始まったばかりの秋から一足飛びに季節の装いを変える、その名も大雪山。


(写真: 紅葉狩りの登山者が列をなす)

火山岩の山腹を黙々と登る。十勝連峰の山並が朝日に耀く。先週から色づき始めたという紅葉も目に優しい。

先行の登山グループから「わっー」という歓声が何度も響く。頬と頬がゆるみ、輝く目と目が山々に一斉にそそがれる。


(写真: 十勝連峰)

歩を進め、高度を得る度に神々しい光景が広がり、心身が日常の鎧から解き放たれる。

旭岳と十勝連峰の中間に位置するトムラウシ山の頂もうっすらと冠雪していた。


(写真:トムラウシ山にズームイン)

大雪山を行く 天人峡~化雲岳(3)

2009-08-12 22:45:06 | 表大雪
(写真: 1947峰で出会ったシマリス)

ポン沼から少々行くと、1947峰に。岩に登ると、右手に構えるトムラウシ山と、それに連なる十勝岳連峰の迫力にわくわくする。

ふと、左手の岩に生き物の気配。シマリスがぽつんと、遠くを見ていた。

背景は表大雪の残雪。絵になるなあと、感嘆。

岩峰を降りると、1933峰から化雲岳まで続くゆるやかな草原を行く。

すでに花の季節は過ぎ去り斜面は寂しいものの、大きく迫るトムラウシ山の気高さに見とれる。

心中でそっと手を合わせた。先日、大勢の登山者の生命を奪ったばかりの、その山に。

百名山、憧れのトムラウシ。大きなその立ち姿が、自然と向き合うことの厳しさも教えてくれる。


(写真: トムラウシ山。右手の連なりは十勝岳連峰)


(写真: 行く手の化雲岳)

1947峰と1933峰の間で、化雲岳から降りてきた単独登山者と会う。僕より1時間早い午前4時半に天人峡から上がった、先行者だ。

1933峰を過ぎると、化雲岳は手に取るほど近い。

が、登山路に予想外のクマの糞。今まで何度も見てきたクマの落とし物は、茶系で大きくて、馬糞に似ていた。

しかし、これは黒くてカタチも少々細くてまとまっている。クマかどうか? 

少々疑問だったが、その後にふたつも見たので、これはクマに違いないと思う。

差異は食べ物の違いなのだろうと納得する。

化雲岳の頂上に近づく最終の登り。嬉しさのあまりに、歩みのピッチが早くなる。まるで、初登校する小学一年生の気分だ。

と、心臓がバクンと胸骨から飛び出しそうになる。クマよりこちらのほうがはるかに危険だ。年齢にふさわしく慎重に歩むことの大切さを思い知る。



(写真: 予想外のクマの落し物?)


(写真: 化雲岳の山頂。大きな岩が特徴)

山頂(1954.3m)には大学生のパーティーが休んでいた。様子からすると、ここからヒサゴ沼、そしてトムラウシ山に向かうのだろう。先日の遭難者と同じコースだ。

頂上からは2年前にクチャンベツコースから登った五色岳が、すぐそこに。1時間ほどの距離だろう。忠別岳の向こうには先月歩いた高根ケ原も望む。

大雪山を巡る幾筋もの登山路が全身の感覚で、つながり始めた。

自宅に戻って、五色岳から撮影した写真と化雲岳から見た光景を比較しようと、過去の写真を探す。が、07年7月14日のフォルダーだけがない。

バソコンを買い替えた時に、このフォルダーの移動をミスったのだろう。大ショック!

でも、記憶に刻まれている。ブログも残っている。(07年7月の五色岳)

と、自分を励ましてみると少し気持ちが落ち着いた。

今度はクチャンベツコースから五色岳、そして化雲岳まで歩くという目標がひとつ増えた。


(写真: 化雲岳山頂から望むトムラウシ山)


(写真: 手前は1954峰。その奥のなだらかなピークが五色岳。背景は石狩連峰)


(写真: 山頂から見た表大雪)

■登山記録
05時30分: 天人峡の登山口から入山
06時15分: 滝見台
07時40分: 第一公園
08時20分: ハイマツ帯
09時ごろ: 第二公園付近
09時30分: 礫地
10時10分: ポン沼
10時30分: 1947峰
11時15分: 化雲岳山頂
11時45分: 下山開始
16時15分: 登山口に戻る  (上り6時間15分、下り4時間30分)

天人閣 1000円 明治33年開湯の源泉温泉。古ーい感じの岩風呂がよい。