「山」旅の途中

40代後半になって始めた山歩き。自分はどこから来てどこに行くのか。光、空気、花々の記憶を留めたい。

マガモの親子 さらに2組

2008-07-27 22:23:09 | 鴨々川の自然
           (写真:孵化まもないマガモのヒナ)
22日にマガモの親子と出会う。ヒナはまだ小さく、7月初めに見かけた親子とは明らかに違う。普通なら春に見かけるような、生まれてまもないサイズだ。
おそらく最初の繁殖に失敗して2度目の産卵から孵ったのだろう。季節が2ケ月さかのぼったような不思議な心地だった。突然、強い雨が降り出し、地下鉄駅まで走ったのも、愉快だった。


24日に大きく育ったヒナを見かける。数えたら7羽。7月初めに見かけたファミリーのヒナは5羽だったので、こちらも別の集団だ。河畔の草を夢中になって食べていた。
毎日歩いている通勤路なのに、どうして、今まで気づかなかったのかと不思議に思う。世の中には見えないことが多い。

          (写真:草を夢中に食べるマガモのヒナ)

雲間に咲く高山植物

2008-07-25 22:02:52 | 表大雪
             (写真:中岳の山頂とお鉢)

21日の登山記録③:
当麻岳、安足間岳、比布岳までは、ゆるやかな稜線を進む。右手に望む旭岳は雲のベールに包まれたままだ。比布岳から北鎮岳の道は初めて歩く。いったん下って、急な斜面を登る。山の間は平坦な台地になっていて、お花畑も広がる。風に揺れるクモマユキノシタが互いに身を寄せながら咲いていた。素敵な名前が大好きだ。「雲間に咲く雪の下」。命名者はどんな人なのだろう。その詩情あふれる感性も素敵だ。


(写真:クモマユキノシタ)

北鎮岳から中岳に向かう。お鉢平という巨大なクレーターを囲む稜線の小さなピークだ。
チシマクモマグサが咲きはじめていた。「千島の雲間草」というこの名も想像力を刺激する。名前の由来は遥か北方の、霧に包まれた千島列島なのだろう。大雪山の風景は北へ北へと連なる。

(写真:チシマクモマグサ)

中岳分岐から裾合平に下る。ピウケナイ沢の源流には天然の岩風呂がある。登山者2人が足湯を楽しんでいた。歩き疲れた足を暖めると、もうひと歩きする元気をもらった。
裾合平全体が広大なチングルマのお花畑だ。残念ながら、見ごろは過ぎていた。
ノゴマの囀りを聞きながら旭岳ロープウェイ駅に戻る。9時間のぐるり一周だった。


(写真:標高1800m 中岳温泉)


※ 7時45分:旭岳ロープウェイ駅から入山(1600)
  8時55分:裾合平分岐(1690)
  9時40分:当麻乗越(1680)
 10時50分:当麻岳(1967)
 11時55分:安足間岳(2200)
 12時15分:比布岳(2297)
 13時30分:北鎮岳(2244)
 14時05分:中岳(2113)
 14時30分:中岳分岐
 14時50分:中岳温泉(1800)
 15時35分:裾合平分岐(1690)
 16時40分:旭岳ロープウェイ駅(1600)

旭岳温泉「湧駒荘」600円 
老舗旅館が1年前に日帰り温泉棟を新築。源泉かけ流しが気持ちよい。食事がおいしかった。

※過去の登山記録
【当麻岳】
・05年9月17日 
愛山渓~永山岳~比布岳~安足間岳~当麻岳~沼の平~愛山渓
・06年9月24日
愛山渓~沼の平~当麻岳~永山岳~愛山渓
【裾合平】
・03年9月7日
旭岳~間宮岳~中岳分岐~裾合平~旭岳ロープウェイ
・04年9月12日
旭岳~間宮岳~中岳分岐~中岳~中岳分岐~裾合平~旭岳ロープウェイ
・05年8月6日 
旭岳~北海岳~北鎮岳~中岳~中岳分岐~裾合平~旭岳ロープウェイ








氷河期伝える高山蝶

2008-07-24 21:36:23 | 表大雪
           (写真:当麻乗越から見下ろす沼ノ平)

21日の登山記録②:
裾合平分岐を過ぎると、やがてピウケナイ沢に。雪解け水を集めた勢いが強く、踏み石の見当がつかない。浅瀬を探してバシャバシャと足を濡らして渡る。ここから尾根を登ると当麻乗越(とうまのっこし)に着く。見下ろすと沼ノ平の池塘群が広がる。たおやかな溶岩台地が、大雪山の大きさを物語る。

一気に斜面を登ると、雲が行き交う当麻岳(1967m)だ。ここから安足間岳(2200m)、比布岳(2297m)、北鎮岳(2244m)、中岳(2113m)と一気に縦走する。残念ながら雲が多く展望は、今ひとつさえない。しかし、稜線に群落を作る花々が美しい。
うきうきして歩いていると、コヒオドシがたくさん舞っていた。北海道では平地の蝶だが、夏になると蜜に引き寄せられて高山に集まってくる。
   
   (写真:コヒオドシ)

コヒオドシの群に加えて、豹柄の蝶も、せわしく動く。あとで調べたら天然記念物のアサヒヒョウモンだった。その名は「旭岳の豹紋蝶」という意なのだろう。日本では大雪山にだけ生息する高山蝶。北海道が大陸と地続きだった氷河期に北方からやって来た。予期せぬ出会いが楽しい。

   
   (写真:砂礫で休むアサヒヒョウモン)
   
   
   (写真:横から見ると、荒々しい豹紋)

風が吹き抜ける砂礫地では、低く飛ぶ薄黄色の蝶も。天然記念物のウスバキチョウだ。これも思わぬ出会いで、「あっ」と声をあげてしまった。しばらく待つと数羽が飛び交う。原始的なアゲハで、この蝶も大雪山だけに棲む氷河期の遺存種だ。せわしく、ひらひらと舞い続け、残念ながら撮影はかなわなかった。周囲を見渡すと幼虫の食草「コマクサ」が砂礫地を赤く染めていた。
大雪山の、遥か氷河期に連なる時空を歩く。

   
    (写真:風衝地に咲くコマクサ)


大雪山・旭岳 白鳥の雪渓 ノゴマが歌う

2008-07-23 22:46:02 | 表大雪
          (写真:白鳥の雪渓を抱く旭岳と後旭岳)

21日の登山記録①:
3連休の最終日、大雪山は「曇り時々晴れ」の予想。標高1600メートルの旭岳ロープウェイ駅に着くと、ガスで何も見えない。大勢の登山者も無言・・・
ロープウェイ駅~裾合平分岐~当麻乗越~当麻岳~安足間岳~比布岳~北鎮岳~中岳~裾合平~ロープウェイ駅という縦走を目指す。「裾合平分岐~当麻乗越」と「比布岳~北鎮岳」間を歩くのは初めて。狙いは、「未踏の登山路をつなぐ」。
ノゴマが喉の赤い日の丸を震わし、高らかに歌う。大きな群落を作るチングルマの見ごろは過ぎていたが、アオノツガザクラとエゾノツガザクラが鈴なりに咲き競う。
鳥と花々と、大雪山の一瞬の夏が体を吹き抜ける。

(写真:ノゴマ)


(写真:エゾノツガザクラ)


(写真:アオノツガザクラ)

裾合平分岐で、来た道を振り返ると雲の切れ間から北海道の最高峰・旭岳が見え隠れする。大きな山体には「白鳥」の雪渓がくっきり。地元の登山者が関西から来たグループに
「白鳥に見えるでしょ」と、ちょっと自慢気に説明していた。行く手の晴れ間から当麻岳も顔を出し、歩く意欲を誘う。


(写真:旭岳 白鳥の雪渓)


(写真:当麻岳)

夏の花咲く藻岩山

2008-07-14 21:49:42 | 藻岩山
(写真:エゾアジサイ)
12日の土曜日の記録。
曇天の藻岩山へ行くと、エゾアジサイが一斉に咲き始めていた。例年より早いような気がする。突然の驟雨。
アジサイは元気に水滴を弾いて、涼しげだ。広葉樹の傘の下で雨宿り。青い飾り花が圧倒的に多いが、稀に淡いピンクが森の中で存在感を示す。

(写真:エゾアジサイ 青花)

散りかけのエゾスズランは、なんとか形を留めていた。名前は似ているが、ニホンスズラン(鈴蘭)とは異形で、紛らわしい名前だ。スズランはユリ科で、エゾスズランは蘭の仲間。

(写真:エゾスズラン)


エゾニワトコは赤い実をつけ、華奢で小粋なクルマユリも深い緑の中で異彩を放っていた。
森は夏の花で賑やかだった。

(写真:エゾニワトコ)


(写真:クルマユリ)

蝶が舞う八剣山 

2008-07-13 21:33:21 | 札幌・小樽周辺の山々
(写真:八剣山の岩峰に立つ登山者)

切り立った岩峰が連なる八剣山は498mながら、高度感あふれる秀峰だ。寝坊で出遅れた日はこの山に登ることにしている。
捕虫網を持つ人が多くて驚く。この時期、オオムラサキが羽化する。「飛んでますか」と聞くと、日当たりがよくなると出てくると言う。15分ほど見物したが、なかなか登場しないので、山頂を目指すことにする。

(写真:蝶が舞う岩場)

45分で山頂に。さらに切り立った岩峰が恐竜の背骨のように続く。そこを歩いている人が4人。初めて見たが、むずむず、どきどきした。戻ってきた青年に聞くと、スポーツジムで知り合った仲間で山登りをしていると言う。手軽な低山ハイクの締めくくりを冒険に
スイッチしたのだろう。みんなニコニコしていて、恐怖心はないみたい。若者の特権だ。
ミヤマラッキョウが頭を空に突き出すようにいっぱい咲いていた。
岩場にはニホントカゲもチョロチョロ。青く輝く尾に見とれてしまう。
30分ほど滞在して、下山する。

(写真:ミヤマラッキョウ)

(写真:ニホントカゲ)

蝶が舞う岩場ではジョウザンシジミの姿も。北海道の固有種ということで、夏休みで鹿児島から来たという夫婦に出会う。地元の男性が親切に解説してくれた。ジョウザンシジミは5月下旬と7月下旬に羽化する。5月生まれは青くて、7月生まれは地味な色。今年は羽化が早いので7月中旬の今日も見られたとのこと。鹿児島から来た2人はラッキーだった。
手が届かない高いところをオオムラサキがひらひらと行く。初めて見たが、意外と大きく、ゆったりと飛ぶ。待ったかいがあった。


(写真:ジョウザンシジミの食草 エゾノキリンソウ)


(写真:ジョウザンシジミ)

山麓の砥山地区では「八剣山さくらんぼ祭り」が行われていた。ここは札幌最大の果樹園地帯。サクランボの種飛ばし大会が楽しそう。思わぬことにオオムラサキに出会う。近くの小学校で飼育・観察している数匹が展示されていた。地域の自然を知り、学び、守ろうと町内会が中心になって活動しているそうだ。
市価より2割ほど安いサクランボ(佐藤錦)を買って帰る。


(写真:八剣山さくらんぼ祭り)

(写真:小学校で飼育しているオオムラサキ)

※11時:入山
 11時45分:山頂
 12時15分:下山開始
 12時45分:登山口に戻る
※過去の登山歴
02年6月9日、03年8月2日、04年10月9日、05年5月28日
06年9月2日

小金湯温泉「まつの湯旅館」500円 単純アルカリ硫黄泉と表示。




新発見!マガモ親子に、ヤマグワ 

2008-07-04 22:46:17 | 鴨々川の自然
通いなれている鴨々川で、発見が相次ぐ。数日前、マガモの親子に出会った。母親とコガモが5羽。コガモといっても、ずいぶん成長していて、大きさはあまり親と変わらない。背中にフワフワとした産毛が、かろうじて残っているので、コガモとわかった。おそらく、まだ飛べないだろう。バタバタと羽ばたいても、まるで短い手を動かしているようだ。
100羽以上の越冬地なので、シベリアに帰らないで繁殖する個体もいるはず・・・と思っていたが、実際に親子連れを見たのは初めて。普通、8羽前後の子を産むので5羽という生存率は高いと思う。天敵のカラスに狙われない場所に潜んでいて、子が親と同じサイズになって、出てきたのだろう。写真はコガモが4羽。1羽撮り損なったのが残念。

カラスがずいぶん、うるさいので周りを見渡したら、河畔の樹木に赤い実がズラリ。サクランボかなと思ったら、これはおそらくヤマグワだろう。
小枝に不釣合いな大きな体を揺さぶり、夢中になって食べていた。食べ残した実が道を赤く染めていた。ここにヤマグワが生えていたなんて、知らなかった。いつも何を見て歩いているのかしら・・・