音楽家、作家、書道家・・・
芸術にかかわる職業には家がつく。
ビアニストにバイオリニスト。
アルピニストは登山家だから、洋の東西を問わずに、職業登山家は芸術家の領域なのか。
山に登るようになって気づいたことは、プロセスと結果に自分の人生観が投影されることだ。
だから魂が昂る。
五木寛之は「下山の思想」(幻冬舎新書)で、「私たちは今、下山の途中にある」という。
経済的な成長を求めることなく、そこには幸せがある・・・ということ。
下山の途中で見えてくるもの。それは足もとの可憐な花や遠くの美しい風景だったりする。
自らの来し方、行く末を考えるだけの時がある。
山行きの達成感を下山の流儀に求めるという観点から、この本は「登山本」だ。
今年の夏山シーズンこそ、下りたときに、へとへとにならぬようにと肝に銘じた。