「山」旅の途中

40代後半になって始めた山歩き。自分はどこから来てどこに行くのか。光、空気、花々の記憶を留めたい。

表大雪の大展望 ニセイカウシュッペ山に登る

2010-06-29 23:49:11 | 北大雪
               (写真: 高速道路出口から見たニセイカウシュッペ山)

6月26日(土)、北大雪のニセイカウシュッペ山(1878.9m)に登る。延々と続く林道を行くと標高1100m地点が登山口。

登山路は雪解け水で潤っていて、土色のエゾアカガエルが何度も飛び出しては、どきっとさせられる。


(写真: 林床を跳ねるエゾアカガエル)

50分ほど登ると、通称「展望台」に。右手に表大雪の大展望、左手に目指すニセイカウシュッペのなだらかな山頂が見えてくる。

やがて行く手には大槍、小槍と名付けられた鋭い岩峰が天を突く。

その威容にどきどきしているうちに「見晴らし台」に着く。


(写真: 左端が大槍、右端が小槍)



(写真:表大雪の山並)


(写真:左端のなだらかなピークが山頂)

こここから雪解け斜面を登る。雪渓に足を置くと、さわやかな一陣の風が駆け抜けていく。

背中の汗が冷やされて、実に心地よい。

咲き競う花々の可憐な姿に、春と夏がまるで同時に進むかのような大雪山独特の季節を感じる。


(写真:キバナノコマノツメ)


(写真:ジンヨウキスミレ)

"
(写真:エゾコザクラ)


(写真: 稜線はお花畑の道)


(写真: コメバツガザクラ)



頂上の手前で、来た道を振り返ると・・・

大槍と背景に構える表大雪が、その雄姿を気高く重ね合わせていた。

左手には、恐竜の背骨を彷彿させるアンギラスと呼ばれる岩尾根が花の名山「平山」に連なる。

ここがこの山の核心だとうなづく。


(写真: 来た道を振り返ると大槍と表大雪が構える)


(写真: 平山に連なるアンギラス。背景は北大雪の山々)


3時間かかって山頂に。東京から来た単独行の男性と、北見から来た夫婦が絶景を堪能していた。

記念写真を撮りあったり、コーヒーやミカンを頂いたりと、愉しく過ごす。

5年前に登った時は、2時間半ほどで到着。体力的に余裕があって、もう着いたのかと物足りなさも感じた。

が、今回は登り応えも十分。この実感の差は、残雪のせいなのか、加齢のせいか。

前回は厚い雲のベールで大展望を得られなかったが、今回は念願のリベンジで、心は踊る。

こんなに素晴らしい山行きなのに、この日の入山はペア三組と僕を含めた単独二人とは、なんと贅沢なことか。

少々、風が強いものの真夏の陽気も手伝って、珍しく山頂に一時間。


(写真: ニセイカウシュッペ山のなだらかな山頂)

■登山記録:2010年6月26日(土)
09時00分:入山
09時50分:「展望台」 表大雪が見える。
10時15分:あと2キロの標識
10時20分:見晴らし台
11時20分:大槍の基部、あと1キロの標識
11時30分:廃道との分岐
12時00分:山頂
13時00分:下山開始
15時00分:登山口に戻る

■過去の登山歴
2005年7月23日

 層雲峡温泉 湯元銀泉閣  600円
小さいが清潔なホテル。自己PRによると、温泉街で唯一の100%天然温泉とのこと。
軽やかなお湯は心地よい。
しかし、他の施設が100%ではない!というのが驚き。

ランが燃える夏の藻岩山

2010-06-25 21:17:05 | 藻岩山
W杯サッカー・デンマーク戦の勝利を見届けて、早朝の藻岩山へ。

山に垂れていた雲の傘もとれて、日ざしが眩しい。森の若葉は、葉緑素を蓄えて緑濃く。

夏だ。つい先ほどの春でもなく、初夏でもなく。まぎれもない夏だ。

斜めに差す木漏れ日を浴びて、モイワランが妖艶に輝いていた。

森のスポットライトを独り占め。

鮮烈な赤い衣を着ているのに、恥じらうかのようにうつむく心の意図は?



※サイハイランは笹状の大きな二枚の葉を持つが、モイワランは葉を持たない。なぜ、だろう。

新緑の長万部岳

2010-06-12 21:33:34 | 道南の山々
(五合目・鉱山跡から見た長万部岳)


札幌からの視点だと、長万部は道南の入口というイメージ。新緑と残雪のコントラストを楽しみに長万部岳を目指す。

北海道南部が日本の北限となっているブナの新緑も目的だ。

施錠されたゲートが事実上の登山口で、かつてあった山小屋「うすゆき荘」跡まで林道を歩く。

雪解け水が潤す路側に、オオバミゾホオズキやエゾワサビが咲く。単調な林道歩きにプレゼントされた一服の清涼感。


(エゾワサビ)

30分余りで旧うすゆき荘跡に。ここから「七曲り」と呼ばれるカーブが続く。荒れた林道なので、あまり心地よいものでもない。

それでも木漏れ日が照らすシラネアオイの紫に癒される。

目を左右の森に振ると、ところどころに太いブナの幹が立っていた。

数は多くないが、その立ち姿の存在感が胸に迫まる。頭上の空を覆う新緑も清々しい。

期待通りのブナのチカラに、元気をもらった。


(ブナの新緑)

林道の先に空が開くと、五合目・旧鉱山跡に。整備された広場から長万部岳の展望を得る。

新緑と残雪のコントラストが眩しい。

鉱山跡?

帰宅してネットで調べたら砂鉄を掘っていたらしい。砂鉄は海浜じゃないの?

長く暮らしてきた北海道の歴史に、知らないことがあまりに多い。


(五合目・鉱山跡に構える長万部岳)

五合目を過ぎると、林道歩きから解放されて登山路となる。笹が濃いところもあるが、

フギレオオバキスミレも登場し、うきうきする。オオバキスミレと比較すると、葉に不規則な切れ目がある。

七合目の標識付近から道は雪に覆われるが、その残雪伝いに右に曲がると、夫婦が立ち往生していた。この先に足跡がないという。

試しに5分ほど登ってみると、濃い笹やぶに阻まれてしまう。引き返して、右カーブに留まっていた夫婦と合流する。

左手の長万部岳に連なる雪渓に出て偵察してみると、その先に夏道を見つけた。

残雪時期はルートミスがこわい。

夏道は2度途切れ、心地よい風が渡る雪渓を歩く。

下りで迷わないように、地形を頭の中にしっかりと刻む。


(フギレオオバキスミレ)


(雪渓を行く)

登山路左手には、黒松内岳、その向こうにニセコの山々。右手には大平山。

雪渓から夏道に入ると、シラネアオイ、エゾイチゲ、ツバメオモト、カタクリが咲き乱れ。

ツツジのムラサキヤシオの色彩も鮮烈だ。


(ムラサキヤシオと大平山)

チシマザクラが咲き始めた山頂からは、道南の山々、なかでも白く輝く狩場山がお見事。

ルートミスの苦労も報われたか。それにしても「長万部岳」のプレートが大きい。

看板の左端に見えるのが、カニカン岳だと思う。「蟹缶」を連想して微笑ましい。

アイヌ語由来の地名は面白い。調べたら「黄金」という意味で、実際に金山だったという。

最高の青空。気温も上がり、暑い。肌を刺す虫も多く、もっと居たかったが30分ほどで下山する。

道なりに下りていくと、迷った地点より20mほど下に、するりと出たのには驚いた。

錆びついた小さな道しるべに、まったく気づかなかった。迷った右カーブの手前20m付近に

左に折れる夏道があったのだ。

暑くて900ミリリットルの水も足りなかった。反省。


(長万部岳の山頂:左端がカニカン岳か?)


(山頂標識をはずして撮影すると、こんな山並み)



(狩場山)

■登山記録:
08時40分 林道ゲートから入山
09時15分 「うすゆき荘」跡
09時55分 五合目・鉱山跡
       七合目過ぎて、ルートミス
11時05分 ルート再発見
11時20分 九合目
11時40分 山頂
12時10分 下山開始
14時15分 林道ゲートに戻る

 二股ラジウム温泉 1000円

河畔に石灰華のドームが立つ効能自慢の秘湯。が、施設は新しく清潔。お年寄りが多かった。

男湯だと思って入った大浴場は女湯とつながっていて、混浴だった。おばあちゃんがひとり。

入る時、気づかなかったが大浴場の右手に入口が別な小さな男湯があった。

つまり、男湯と女湯と混浴の大浴場がある、不思議な施設。


(石灰華ドームが特徴の二股ラジウム温泉)


白老海岸のスミレとイソスミレ

2010-06-07 21:01:16 | 自然公園/原野/海浜
(イソスミレ)

少々以前、5月22日の話。

ポロト自然林、仙台藩陣屋跡を散策した帰路に、白老の太平洋沿岸を歩いてみた。

近くの湿地はヨコスト湿原というらしい。

砂丘地帯では、初めて対面するイソスミレが咲いていた。花弁はタチツボスミレによく似ている。

葉はボールのように、ころんと盛り上がっていて、砂地に適応している感じ。

つまり、タチツボスミレが海浜の環境に進化して対応したのだ、と勝手に推測。


(イソスミレのアップ)


周辺に目を凝らしたら、もっと赤紫の色彩が濃いスミレがぽつぽつと目に入った。

写真にすると、あまり赤みが出ないのが解せないが。

これぞ、何も形容詞のつかない「スミレ」だ。

札幌の藻岩山に咲くスミレと形態は同じ。海辺のスミレも森のスミレも同じ形態というのも不可思議だ。

しかも、日本海側に咲くスミレは、アナマスミレと称して区別するという。

スミレって、ややっこしくて、奥が深い。


(スミレ)


(スミレ)




初夏到来の藻岩山

2010-06-06 08:41:45 | 藻岩山
(新緑の木漏れ日)


低温続きで体調を崩す。今朝、久しぶりに藻岩山に入ったら、若々しい新緑がまぶしかった。

野鳥のコーラスに耳を澄ましてみたら、遠くにエゾハルゼミの鳴き声が混じっていた。

標高を稼ぐにつれて、しだいにその音は強まり、尾根に上がったら、大合唱。

その名に「ハル」を飾るけれど、エゾハルセミの喧騒はサッポロに初夏を告げる祭囃子だ。



(目を凝らすとエゾハルゼミ)


馬の背から頂上を目指すことなく、T2分岐までのジグザグを登る。スミレの残花が小さく形をとどめていた。

葉がヘラのように細長い。何も形容詞がつかないスミレの中のスミレ。

今年も出会うことができた。


(スミレ)