「山」旅の途中

40代後半になって始めた山歩き。自分はどこから来てどこに行くのか。光、空気、花々の記憶を留めたい。

オオムラサキのペア

2010-07-26 20:14:58 | 藻岩山

(写真: オオムラサキの雌雄)

25日の日曜日は、予報が外れる晴天。午後から予定を入れていたので、藻岩山へ。

初めてオオムラサキの雌と出会う。表翅は雄のような青紫ではなく地味な文様。が、体躯を比較すると、一回り以上大きい。

雌雄が低空でもつれ合いながら飛行すると、バサッバサッと空気を揺らす音が聴こえた。

別の雄もやってきたが、追い払われてしまった。

ドラマを見た。


(写真: 別の雄が追い払われた)



雌阿寒岳に登る(3) オンネトーへ

2010-07-23 21:38:59 | 道東の山々
                                      (写真: 阿寒富士のコルへ下る)

7月17日(土) 雌阿寒岳の登山記録③

雌阿寒岳山頂から火口の淵を進み、阿寒富士との間に広がるコルに下っていく。

上りとは別ルートのオンネトーコースで下山することにした。

砂礫地を下るのは思わぬ苦行。ズルズルと足がとられて、何度も転びそうになる。

後続の登山者たちも足を滑らせる音が耳につく。

足の裏の感覚を最大限に研ぎ澄ましながら、膝を柔らかくして小幅に歩を進める。振り返ると、山頂は尖っ台形であることを知る。


(写真: 雌阿寒岳の山頂)


コルから仰ぎ見る阿寒富士は、急斜面ながら、直感としては30分ほどで登れそう。

しかし、登ってしまえば、次回の楽しみもなくなる。5分ほど上がって、来し方の雌阿寒岳を眺めて退却する。

阿寒富士に登る5人のパーティーはみんなで演歌を歌っていた。先日のNHKの「ためしてがってん」で演歌のテンポで登ると疲れないと放送していた。

テレビの力に感心。

コルに戻ると、その先はオンネトーを見ながらの下山。この道筋は飽きることがない。

秋になると肉厚の葉が真紅に燃えるウラシマツツジに小さな釣鐘状の花がついていた。

この花は初めて見たので、ちょっと得した気分になる。


(写真: 阿寒富士に登る途中から見た雌阿寒岳)


(写真: オンネトー登山口に向かって下山する)


(写真: ウラシマツツジの花)

砂礫地からハイマツ帯、そしてアカエゾマツの森林帯へと下山のテンポは快調に進む。

木漏れ日がさくっと差すアカエゾマツの林床にはゴゼンタチバナが多く、ランやイチヤクソウの仲間も凛と静かに咲いていた。


(写真: アカエゾマツの森)



(写真: ゴゼンタチバナ)


(写真: カラフトイチヤクソウ?)


(写真: アリドオシラン)

オンネトー登山口からは湖畔のアカエゾマツ林を縫う遊歩道を歩いて、野中温泉登山口に戻る。

オンネトーは近くで見てもコバルトブルーで、小さいが奥深い魅力を放つ独特の存在感が素敵だった。

登山口から車でビューポイントに。絶景を心に刻んでから野中温泉で疲れを癒した。


(写真: 倒木が沈むオンネトー)


(写真: オンネトーに構える雌阿寒岳と阿寒富士)

■登山記録 2010年7月17日(土) 晴れ/時々曇り
09時00分: 野中温泉(雌阿寒温泉)登山口から入山
09時40分: 三合目 ハイマツ帯に
09時55分: 四合目 砂礫地にメアカンフスマの群落 オンネトーも眺望
10時35分: 六合目
11時10分: 八合目 大勢の登山者が小休止
11時20分: 九合目 火口壁に
11時30分: 山頂
12時20分: 下山開始(オンネトー・コース)
12時40分: 阿寒富士との分岐
13時00分: 阿寒富士から中途退却して、下山ルートに戻る
14時45分: オンネトー登山口に下山 遊歩道を進む
15時40分: 野中温泉登山口に戻る
野中温泉ユース 200円 新鮮で力強いお湯 硫黄の匂いを感じる

雌阿寒岳に登る(2) 荒々しい活火山の鼓動

2010-07-22 20:34:11 | 道東の山々
        (写真: 火口と赤沼)

7月17日(土) 雌阿寒岳の登山記録②

八号目付近から左手に阿寒湖が見えてくる。空には「ぴゅー、ぴゅー」と金属音をで鳴き交わすイワツバメが乱舞する。

そういえば、十勝岳の山頂付近にも、飛んでいたなと、思い出す。活火山のごつごつとした岩場が好きなのか。

ビューと風を切る音に驚いて首をかざすと、ブーメランのような翼で滑空するハリオアマツバメ。

九合目に達すると、目の前に噴煙を上げる爆裂火口が開く。褐色の素肌に鈍く光る水たまりは赤沼。

野中温泉登山口から2時間半ほどで山頂に。

行く手の左に阿寒湖。右に阿寒富士。爆裂火口にはコバルトブルーの青沼が浮かぶ。

活火山の荒々しさが心を揺さぶる。


(写真: 山頂から見た阿寒湖)



(写真: 山頂から見た阿寒富士と青沼)



雌阿寒岳に登る(1) メアカンフスマの絨毯

2010-07-20 23:03:49 | 道東の山々
(写真: アカエゾマツの森と雌阿寒岳)

7月17日(土) 雌阿寒岳の登山記録①

思い立って、雌阿寒岳(1499m)に登ることにした。道東の山に登るのは初めて。

札幌から5時間で野中温泉登山口に。アカエゾマツの森に覆われた山裾から荒々しい活火山の体躯が空を削る。

森を抜けてハイマツ帯に出る。来た道を振り返ると、オンネトーの静かな湖面が夏の光をはじいていた。

あっと、息をのむようなコバルトブルー。


(写真: オンネトー)


砂礫地には白い絨毯が目立つ。この山の名を冠にするメアカンフスマの群落だ。

ちょっと肉厚のぷりぷりとしたグリーンのマットに星たちが浮かぶ。五枚の白い花弁が素敵だ。

いまが最盛期とにぎやかに咲く花園に、登山者ばかりでなく無数の蝶も引き寄せられていた。


(写真: メアカンフスマの群落)


(写真: メアカンフスマ)


(写真: メアカンフスマとコヒオドシ)


(写真: メアカンフスマとスジグロシロチョウ)


カシワ林に舞うキタアカシジミ

2010-07-11 19:51:43 | 自然公園/原野/海浜

石狩湾の海岸線にまとまったカシワの林が点々と続く。午後になると、キタアカシジミが盛んに飛ぶという。

車を空き地に止めて、カシワ林を眺める。灰色の低い空から、かろうじて夏の光が差しこむ。

体を吹き抜けていく少々強めの風が、日本海の匂いを運んでくる。

樹上の高いところを数匹の小さなシジミチョウが交差しながら上下に舞い始めた。

翅は明るい茶色。「アカイ、アカイぞ」と、出会いに喜ぶ。

カシワ林の樹冠のあちこちで、乱舞が始まった。数が多いことに驚く。

残念なことは、高く飛ぶので距離がある。カシワの葉にとまっても遠い。

撮影が難しい。

「写真」になっていないが、雰囲気は心に刻めた。


(写真: 飛翔)


(写真:飛翔)


(写真: カシワ林)


ミヤマカラスアゲハの集団吸水

2010-07-08 22:17:34 | 北大雪
6月26日、ニセイカウシュッペ山の林道を走行中、前方の光景に眼が釘つけに。

橋の上の水たまりで、黒いアゲハチョウが集団で休んでいる。その数、20匹ほど。

2匹が死んでいて、おそらく交通事故死。

水を吸っているのか、仲間の死骸を舐めているのか、少々判然としなかった。

帰宅して調べたら、ミヤマカラスアゲハの雄は集団で吸水するという。その理由は定かでないらしい。

まわりに小さなセセリチョウも吸水していたが、近づくと移動するので撮影はできなかった。

山歩き、いろいろな出会いがあるもの。

"


オオムラサキ舞う藻岩山

2010-07-04 23:27:17 | 藻岩山
北海道新聞によると栗山町ファーブルの森で、国蝶のオオムラサキが次々と羽化しているという。

藻岩山にも食草のエゾエノキがあるので、出かけてみる。

森の樹冠の高いところから、僕の頭上までの高低を自由自在にひらひらと舞っていた。

オス同士が威嚇しあったりと、ずいぶんとせわしく飛び交う。

夏空を背景に舞う姿は祭りの演武を見ているよう。

残念なことに、僕にシャッタースピードの調整もできるはずもなく。

エゾエノキの木の葉にとまったところを、息を止めてパチリ。



新緑と残雪の高原沼めぐり

2010-07-03 11:12:12 | 表大雪

(写真: 高原沼登山口のヒグマ情報センター)


6月27日(日)、高原沼を巡ることにした。錦秋の見ごろに何度か歩いたが、雪解け時期に訪れるのは初めて。

ヒグマ情報センターでレクチャーを受けてからの入山。施設の中に入らないと、登山口に踏み出せない仕組みになっている。

去年の夏は、人がいても逃げないヒグマがいて1ケ月間も入山を禁止したという。その時のビデオを僕ひとりに見せての丁寧な説明。

現在、クマの姿はないが、食跡が出始めたころなので、油断しないで下さいとのことだった。

登山路に入ると、雪解け水が作った湿地が点々と続き、ミズバショウが遅い春を告げていた。

これはクマの大好物。


(写真: ミズバショウ)


奥に進むにつれて、登山路は消えて、残雪の上を進む。

赤いテープの目印が丁寧に付けられているので不安感はなく。

若々しい新緑。雪渓を頂く高根ケ原や緑岳の立ち姿。春と夏が一緒にやってきた清々しさ。

50分ほどで土俵沼に。ここから次々と森に浮かぶ沼が顔を出す。



(写真: 高根ケ原~白雲岳~緑岳)


(写真: 土俵沼)


(写真:滝見沼)


土俵沼、滝見沼と進むと、戻ってきた男性単独者と家族4人とすれ違う。

登山者名簿を見ていたので、ここから先の登山者は僕ひとりと理解する。

この先に、クマの監視レンジャー二人がいると聞いていたので不安感はなく、若葉と雪渓の織りなす妙にときめく限り。

大きく視界が開けると、緑沼。開けた厚い氷が水に浸り、薄っすらと青く輝く。



(写真: 緑沼)

この世のものとは思えぬ緑沼を背にして、テンポ良く湯の沼、鴨沼と進む。

鴨沼はほぼ結氷状態。木道を右に行くのか、左に行くのか。

高低差の小さい左の雪渓を行くも、頼みの赤いテープが見当たらない。


(写真: 湯の沼)


(写真: 鴨沼)

鴨沼左側の雪渓を登っていくと、雪が途切れて踏み跡が。そして大きな沼。

えぞ沼かと思ったが、沼の淵にあるはずの登山路が見当たらず、水浸し。

踏み跡は踏み跡でも、これは獣道。よく見ると、あちこちに獣道がついていた。

えぞ沼から見えるはずの緑岳も見えない。ルートミスは明らかで、慎重に来たルートを戻る。

あとで、ヒグマ情報センターのレンジャーに聞いたところ、この沼は「淵無し沼」という。

夏道がなく、行けるのはこの時期のみ。その名の通り、沼の周辺に歩ける淵がなかった。




(写真: 淵無し沼)

淵無し沼から鴨沼に戻り、そのまま帰路を進もうと思った。

が、鴨沼の木道起点手前に赤いテープを見つけた。

沼に向かって左側に登山路が続いていたのだ。

思い出した! 鴨沼は行き止まりで、その手前を左折するのだった。

帰ろうと思ったが、もうひと踏ん張りと、えぞ沼へ。森の中で沈むコバルトブルーがなんとも魅惑的だった。


(写真: えぞ沼)

ここから先、大学沼を経て高原沼が、この日の目標。夏道だったら、あと20分というところか。しかし、ルートミスで心身に疲れも。

判断力も落ちているので、えぞ沼を終点とした。

■登山記録  2010年6月27日
09時15分: ヒグマ情報センターから入山
10時05分: 土俵沼
10時45分: 鴨沼で迷う
11時10分: 鴨沼に戻る
11時20分: えぞ沼
12時40分: 登山口に戻る

■これまでの登山歴

10年6月27日 新緑と残雪の高原沼

06年9月30日 高原沼一周(紅葉ピーク)
05年9月25日 高原沼まで  (紅葉は遅れていた)
04年9月26日 高原沼まで  (紅葉は終盤)

高原温泉 
いつ入っても心地よい。露天風呂から眺める山々も素晴らしい。1500円ランチ付き入浴を
堪能。ヤマベ塩焼き、山菜、キノコ鍋と野趣満点。