「山」旅の途中

40代後半になって始めた山歩き。自分はどこから来てどこに行くのか。光、空気、花々の記憶を留めたい。

奈良・吉野山の桜

2010-04-16 21:37:09 | Weblog
(吉野山の参道)

11日の日曜日、京都から近鉄線を乗り継いで奈良の吉野山へ。駅前からはロープウェイではなく、臨時バスに乗って「中千本」を目指す。

深い杉の森を駆け抜けていく。やがて車窓の視界がひろがり、山の斜面を桜が染め上げていく。

「中千本」から、「上千本」~「花矢倉」~「吉野水分神社」~「金峯神社」と、4キロほどの参道を登ることにする。

京都・嵐山に続いて「登る」ことにこだわってみた。

参道はコンクリートで固められていて、ちょっと足の裏にはキツイ。

それでも、ここ数年の山歩きの成果か、僕の登るピッチはとても早いようで、数百人は抜いてしまった。

上千本から花矢倉にかけては、見下ろす桜が見事。桜色がふんわり、柔らか、雲のように広がっていた。

桜の果てには国宝・金峯山寺蔵王堂が浮かんでいる。木造寺院では東大寺大仏殿に次ぐ大きさだという。



(花矢倉から見た上千本と中千本の桜、桜、桜)


花矢倉から、ちょっと登ると吉野水分神社。「みくまり」と読む。

吉野一帯の水の分配をつかさどる神さま。子宝、安産のご利益があるという。

桃山様式の本殿と拝殿に、枯れた雅と風格を感じた。日だまりの一本桜も美しい。



(吉野水分神社)

水分神社から1.5キロほど登りつめると、奥千本入口。ここに金峯(きんぷ)神社がある。

中千本からマイクロバスで来ることも可能で、大勢の人でにぎわっていた。

吉野山の地主神。古くから修験道の修行の場で、ここに義経と弁慶が隠れたという。


(金峯神社)

一休みして、中千本まで下る。登山を始めたバス停から下に降りて行くと、古社寺やお土産屋さんが軒を連ねて、足の踏み場もないような人出。

南朝の後醍醐天皇が隠遁し、太閤秀吉が花見に興じたという吉水神社から、来た道を見上げてみると・・・

「一目千本」と名付けられた絶景が。


(中千本の吉野神社から見た「一目千本」)

世界遺産に登録された日本一の桜山。3万本のヤマザクラが咲くという。

道産子、亜寒帯育ちの僕には、計り知れない歴史と風土の積み重ねの中に、桜が咲いていた。

札幌に戻ると、暦を巻き戻したかのような雪模様。春と冬がぶつかり合っていた。

あらためて日々の暮らしの中で、春を待ち、北国の桜を待とう。


京都・嵐山の桜

2010-04-13 23:19:09 | Weblog
思い立って、桜咲く京都へ。10日朝、北野白梅から開業100年という荒電で嵐山へ向かう。

「山」にこだわっての花見旅。

途中、線路の両脇が桜のトンネルになっていた。アナウンスで知らせてくれたが、リュックのカメラを取り出す余裕がなく・・・、日だまりに白く輝く桜を記憶に刻む。

が、帰路に撮影して、しっかり記録に残すのも僕らしいか。

淡い桜色に染まっていた嵐山。見ごろを少し過ぎたかもしれないが、大勢の人でにぎわっていた。


(渡月橋から見た嵐山)


あてもなく渡月橋を渡ると、「グレートビュー」という英語の看板が目に止まる。「嵐山一の絶景」とあるので、「ミニ登山だ!」と喜ぶ。

川沿いを歩き、石段を山の中腹まで登ると「大悲閣・千光寺」に至る。ちょっと失礼かもしれないが、訪れる人も少ない小さな荒寺だった。

参観料400円は貴重な維持費だと実感。

保津川の渓谷と京都市内が遠望できて、看板に偽りなき絶景だった。


「花の山 二町のぼれば 大悲閣 」(芭蕉)



(大悲閣 千光寺)



(大悲閣から見た展望)




大悲閣を下って、渡船で向岸に移る。習性で高いところ、高いところと目指して歩くと、亀岡公園展望台に至る。

保津川の渓谷、大悲閣を抱く嵐山が目の前に屹立し、これまた絶景だった。


(亀岡公園から望む 嵐山と保津川)

帰路の荒電。仁和寺の御室桜が三分咲きとの看板で、途中下車。遅咲きで背の低い短躯なサクラ。こちらも超満員の人出、人出。

終点・北野白梅から徒歩数分の平野神社も桜まつりで、笑顔あふれる春爛漫。


(仁和寺の御室桜は三分咲き)



(桜まつりの平野神社)


名護城跡

2009-02-09 22:35:02 | Weblog
(写真:名護城跡 薄いピンク色に見えるのが寒緋桜)

寒緋桜が咲いていたのは城跡だった。
名護城(ナングスク)跡は標高100mほどの小高い山から沖縄の海を見下ろしている。史跡全体が公園になっていて、桜の名所にもなっていた。
小さな山でも、僕にとっては登山気分だ。石段が整備されていたが、ところどころは登山路の風情もあって楽しかった。でも植生は南国。常緑の雨林と桜の組み合わせが、北海道生まれの僕にはとても不可思議な異国情緒だった。

(写真:常緑の森)


山麓は祭り一色で、エイサーの踊りやブタの丸焼きを見たのは生まれて初めて。



ハクチョウと桜

2007-03-31 15:10:36 | Weblog
29日、30日は東京出張だった。
29日は良く晴れていて、滑走路の背景に白銀の夕張岳が浮かんでいた。
ハクチョウの群れが、ひらひらとひとすじに飛んでゆく。
陽光が翼を照らし、きらきらと輝いていた。
空港ロビーで得た至福の一瞬。

東京では桜が満開だった。
モノレールからの車窓も、仕事先も、宿泊先も、桜が満開。


30日、新千歳から札幌へ向かう車窓に、ハクチョウの群れ。
水田で落穂をせっせっと食べていた。シベリアへ帰る準備だ。
南北に細長い日本列島の春は多彩。


車窓バードウォッチング

2007-03-15 23:49:41 | Weblog
出張でオホーツクの紋別に。旭川から都市間バスを利用。
旭川・永山の河川で「ハクチョウ」の群れ。
遠いのでオオハクチョウなのかコハクチョウなのかは不明。
上川町の小さな川で渓流の野鳥「カワガラス」1羽。
滝上町の河川で「オジロワシ」。青空を舞う尾羽が白く輝いていた。
よーく見ると、河川敷の樹木に数羽の猛禽。
オジロワシにオオワシも混じっていたような気がする。
3時間のバス旅、車窓バードウォッチングが楽しかった。

着いた紋別のオホーツク海に流氷と海鷲の姿は無く、暖冬を感じる。
毛カニ漁は20日から。この3日間のシケで魚も揚がらず。
海の幸を実感できず。

帰路、国道沿いの天塩岳登山口の標識からくっきりとしたトレースを確認。
この白い大雪原を登っているんだなあ。うらやましい

タンチョウの遺伝子

2007-01-22 21:18:03 | Weblog
20日の土曜日に「タンチョウのシンポ」を聴講。
ニッカの創業者が竹鶴さん。その親会社がアサヒビールということで、
スポンサー付きの講演会だった。
企業の社会貢献のおかげで、面白い話が満載だった。
タンチョウも離婚し、再婚すること。
道東の生息地は限界で、日高山脈を越えての
道央進出も現実化するだろう。
しかし、水田地帯の農薬が懸念。
トキやコウノトリは農薬で滅んだ。

北海道のタンチョウは近親でDNAの系統が2つしかないこと。
いっぽうで大陸のタンチョウは7系統あること。
両者の人工的な交配で、果たして種は保たれるか否か・・・
11月に中国チチハルでタンチョウを見ただけに、ふたつの
地域の交流に新春のユメを託してみた。

(※写真はチチハルの人馴れタンチョウ)

06年山行き

2006-12-29 23:29:02 | Weblog
今年登った夏山を(藻岩山と円山を除いて)数えてみたら29回の山行きだった。
ずいぶんと遊んだものだ。
列記してみると、我ながらびっくり。
今年は未踏の山行きが目標だったので、このうち18回が初めての山。
むきになったのか、とりつかれたのか。
行きたいという衝動を押さえる事ができなかった。
来年は、もう少し、ゆっくり遊ぼう。


【1】4月30日 砥石山(826.7m)残雪多く帰路で迷い猛省。
【2】5月06日 赤岩山(371.1m)オタモイ海岸から。カタクリが爛漫。
【3】5月13日 伊達紋別岳(714.5m)ケタチツボスミレが多い。洞爺湖を展望。
【4】5月21日 アポイ岳(810.6m)~吉田岳(825.1m)花の固有種咲き乱れ。
【5】5月27日 尻別岳(1107.4m)羊蹄山の見晴らし台。花も多い。
【6】6月03日 当丸山(800.3m)残雪の積丹岳を大展望。行者ニンニク収穫。
【7】6月04日 ピンネシリ(1100.3m)登山靴忘れて街靴で。ヒメギフチョウひらひら。
【8】6月11日 ワイスホルン(1045.8m)残雪あり、夏道なき山頂踏む。
【9】6月18日 オロフレ山(1230.8m) 花の名山。羊蹄山も美しく。
【10】6月25日 暑寒別岳(1491m)残雪の増毛山系大展望に感動!
【11】7月02日 ニペソツ山()あこがれの鋭鋒。大雪山の大展望も美しい。山手帳紛失でショック。
【12】7月09日 芦別岳(1726.9m)ハードな山。自信になった。
【13】7月16日 トムラウシ山(2141m)微妙な天気に日帰り。もう少し堪能したかった。
【14】7月17日 東ヌプカウシヌプリ(1252.2m)カラフトルリシジミひらひら。
【15】7月19日 沼の原(1435m) ミルク色の幻影、霧で下山。
【16】7月21日 イワオヌプリ(1116m)天気が悪く残念。温泉楽し。
【17】7月29日 雨竜沼~南暑寒別岳(1296m) 花のピークはずすも美女と会話。
【18】8月06日 大平山(1190.6m)エーデルワイス堪能も、転倒し猛省。
【19】8月26日 羊蹄山(1898m)京極コースはきついのに単調。大展望は満足。
【20】9月02日 八剣山(498m)南口コース エゾミセバヤ狙いで。
【21】9月03日 夕張岳(1667.8m) 秋の花にぎりぎり間に合う。
【22】9月15日 黒岳~北鎮岳  山頂の紅葉を楽しむ。
【23】9月23日 ユニ石狩岳(1756m)ナキウサギと紅葉。
【24】9月24日 沼の平~当麻岳~安足間岳~永山岳   紅葉楽し、泥道つらし。
【25】9月30日 高原沼  3年連続通うが、過去もっとも絶景。
【26】10月01日 黒岳~北海岳~間宮岳~北鎮分岐~黒岳   白銀の世界を行く。
【27】10月14日 神仙沼~チセヌプリ~ニトヌプリ~大沼~大谷地   ニセコの晩秋。
【28】10月21日 札幌岳(1293.8m)  寒かった。
【29】10月28日 イチャンコッペ山(828.9m) 小春日和、支笏湖絶景。




樹氷と山女魚(ヤマメ)

2006-12-17 20:28:27 | Weblog
【写真:樹氷】
知人に誘われて、平取町にあるログハウスに泊まる。
満点の星空、白い息。
朝起きると河畔林に氷の花が咲いていた。
朝食はヤマメの塩焼き、刺身などなど。
釣堀の魚を狙っていろいろな鳥が来るという。
鴨の仲間、カワアイサの話が面白い。
「こらっー」とご主人が駆けつけると、食べ過ぎで飛べない。
ためこんだヤマメを吐き出して、逃げるそうだ。
皆で笑ってしまった。


潜るマルハナバチ

2006-09-01 21:55:43 | Weblog
きょうは僕の誕生日。
門限ぎりぎりの娘に「いまどこ?」と説教のメールを
書こうとしたら、ケーキを買って帰ってきた。ホロリ・・・

あすはどこの山に登ろうかと迷っていたら、なぜか羊蹄山で見たマルハナバチを
思い出した。かたくなに閉じているエゾオヤマリンドウの花びらを頭からこじ開け、
潜っていた。つまり逆立ち。見ていて楽しくなった。
このハチを子供のころはクマンバチと言っていた気がする。当時は怖かったが、今見るとなんとも愛らしい。
トマトの受粉のため輸入された西洋マルハナバチが「大雪山でも繁殖」と先日の
ニュースで伝えていた。
最近、気になる存在だ。
写真はアトピンでハチがピンボケ。悔しいが、記憶に残るぞ。

虫の音

2006-08-20 20:14:40 | Weblog
【写真:スズムシソウ】

体調不振から1週間。昨日の土曜日(19日)は花の写真家・梅沢俊さんの講演を北大で聴く。
札幌に咲く花の奥深さを知る。
きょうは日曜出勤し、駒苫VS早実の延長15回引き分け戦に遭遇。
歴史的な試合を見られて得した気分になる。
帰路、虫の音に気づく。近所の花畑から静かに、小さく、耳に届く。
暑い日々に、近づく秋を知る。
来週は、元気になって山へ行こう。

※写真は05年7月18日 砥石山で撮影したスズムシソウ。
花期は7月なので、ちょっと時期が違うが、涼を求めて添付してみた。

黄色のスミレ

2006-06-09 21:33:47 | Weblog



オオバキスミレとフギレオオバキスミレのほかにも、黄色のスミレは多い。
これまで出会った黄色をまとめてみた。高山に咲くスミレが多い。
(写真はアポイ岳のエゾキスミレ 06年5月21日)



 タカネキスミレ 夕張岳(04年7月3日)
   
       ジンヨウキスミレ 赤岳 (05年7月3日)小さくて形が、もこっとして印象に残っている。ピンボケだが・・・
          
           キバナノコマノツメ 平山 (05年7月17日)

フギレオオバキスミレ

2006-06-07 21:46:01 | Weblog
(フギレオオバキスミレ:ピンネシリ06年6月4日→)

スミレ地獄という言葉があるのかしら・・・
とにかく見分けが難しい。特に紫色が苦手だ。
が、黄色のスミレはわかりやすい。
最近登った当丸山やピンネシリのフギレオオバキスミレは、
オオバキスミレの葉に不規則なギザギザがあるもの。
北海道の日本海側特産の珍しいスミレということ。
お勉強モードになるが、山行きのとき、「このスミレは何?」というのも
楽しみのひとつ。が、苦行にもなる。


  (フギレオオバキスミレ:黄金山05年6月5日)

 (オオバキスミレ:恵庭岳04年6月13日)